レンズ構成による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 01:47 UTC 版)
トリプレット 単玉レンズを第一群から凸・凹・凸に置いたもの。ザイデルの5収差をともあれ一通り補正できる、簡にして要を得た設計。なお、レンズタイプの多くがドイツで開発・発展したが、トリプレットは英国産である。イギリスのクック&サンのデニス・テイラーが設計、1893年にテーラー、テーラー&ホブソン(現テーラーホブソン)から発売されたクック・トリプレットが原型といわれている。 この構成を持つレンズは次項のテッサーと並び大変多い。例としてカール・ツァイスのトリオター、シュナイダー・クロイツナッハのラジオナー、日本光学工業(現ニコン)のニッコールT105mmF4等のほか、RMSマウントのマクロ写真用レンズにも採用例が見られる。詳細は「トリプレット」を参照 テッサー ルドルフによって設計された3群4枚構成のレンズ。他の光学機器メーカーも多くの写真レンズにこの設計を用いるなど多大な影響を与えた名レンズの一つである。エルンスト・ライツ(現ライカ)のエルマーの一部はテッサーとレンズ構成はほぼ同じだが、絞りの位置が違っている。詳細は「テッサー」を参照 ヘリアー トリプレットの前群と後群を色消しの貼り合わせにしたもので、フォクトレンダーのカール・アウグスト・ハンス・ハルティングによって開発された。張り合わせレンズの凹凸の組み合わせによって形式は2通り存在する。貼り合わせ面の多さから高価になり、次第に衰退していった形式のレンズである。詳細は「ヘリアー」を参照 クセノター 最初の製品はビオメターであるが、1954年にシュナイダー・クロイツナッハによって開発されたクセノターの名前で「クセノター型」とする場合が多い。絞りを挟んで前がガウス、後がトポゴン型。後方の接合レンズを凹レンズ1枚に変えた変形ダブルガウス型と見ることもできる。詳細は「ビオメター」および「クセノター」を参照 ダブルガウス 数学者カール・フリードリヒ・ガウスが発明した望遠鏡レンズの構成を2つ対称形で使用する形式のレンズ。詳細は「ダブルガウス」を参照 ゾナー カール・ツァイスのルートヴィッヒ・ベルテレが1931年に設計したレンズ。詳細は「ゾナー」を参照 望遠型(テレフォト) 凸成分の主光学系の後ろに凹成分のレンズ群を配置して焦点距離を伸ばしたもの。望遠域のレンズに使われる設計で、第2主点が全レンズ系の前方にあるように構成したレンズの総称。レンズの全長を短縮することができるが、その反面糸巻き型の歪曲収差が発生しやすく、ボケの形も崩れやすいという欠点をもつ。 逆望遠型(レトロフォーカス) 望遠型と逆に、凸成分の主光学系の前に凹成分のレンズ群を配置して焦点距離を縮めたもの。バックフォーカスを確保したまま焦点距離を短くできるため、主に広角レンズで用いられる方式。詳細は「逆望遠」を参照 反射望遠レンズ 焦点距離の長いレンズを小型にするため内部でドーナツ型のミラーで反射させているレンズ。絞りはF8などの一定値に固定され、背景の画像のボケ方がドーナツ状になる特徴がある。ミラーを使用しているため色収差が少ない。ただし反射鏡のみでなく収差補正のためにレンズ光学系を追加して反射屈折光学系とすることが多い。詳細は「反射望遠レンズ」を参照
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レンズ構成による分類
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レンズ構成的には機械補正式の「2群ズーム」「3群ズーム」「4群ズーム」と光学補正式の4種類に大別できる。しかし近年の高倍率化のため2群ズームや3群ズームは最後部の凸成分をさらに2群や3群に分離してフローティング化することが普通で「多群ズーム」と呼ばれるなど、上述のように単純に分類できない光学系も増えてきた。 2群ズーム 広角ズームレンズやコンパクトカメラに多用される。広角レンズやデジタルカメラでは逆望遠型(凹凸)、コンパクトフィルムカメラでは望遠型(凸凹)が用いられ、第1群と第2群の間隔を変えることで変倍を行う。 逆望遠型の2群ズームは3群、4群よりも周辺光量が落ちにくく、なおかつバックフォーカスを維持して焦点距離を小さくできるため広角レンズに向いている。また像側テレセントリック性に優れる(像側レンズから受像部に投射される光の平行度が高い)ためデジタルカメラに向く。 望遠型の2群ズームはより受像部までの距離を縮められるためカメラ全体としてコンパクトに仕上がるが、像側テレセントリック性が悪くなるためコンパクトデジタルカメラには用いられない。 群数が少ないため純粋な2群ズームでは2倍ズーム程度が限界である。 3群ズーム 高倍率ズームレンズに多用される。レンズ群の成分は前から凸凹凸の順に配置されており、原理的には第2群を第1群に近づけると全体として逆望遠型の構成になり焦点距離が短く、第3群に近づけると望遠型の構成になり焦点距離が長くなり、ズームレンズとなる。実際には焦点も移動するため、補正のために3つの群が全てカムによって移動するようになっているものも多い。広角端では全長が短くなるため携行性に優れたレンズになる。 かつて精密機械加工技術が未熟だった時代、大量生産されるスチールカメラ用レンズでは、複雑なカム加工を避けて第1群と第3群を固定し第2群のみを直線移動としたもの(ただしこの場合ズームに伴って焦点がズレるため厳密にはズームレンズではなくなる)や、逆に第2群を固定した上で屈折率をほぼ等しくした第1, 3群を連動して直線移動するようにしたものが製作された。前者は焦点移動を補正するレンズ群を追加し4群ズームレンズへ、後者は光学補正式ズームレンズへ発展した。また第1, 3群の屈折率をほぼ等しくした上で第1群は直線移動、第3群は若干の曲線移動として焦点補正をかけたものといった光学補正式と機械補正式の合いの子や、第2群の後ろに焦点補正レンズ群を配置した「3群ズーム発展型4群ズーム」とも言うべきものも製作された(第1群がズームで動く上に第4群がズーム動作に組み込まれており、ズーム方式の分類としては4群ズームには含めない)。 4群ズーム 高級低倍率ズームレンズで主用される。レンズ群の成分は前から凸凹凸凸あるいは凸凹凹凸で、第1群はフォーカスのみ、第2群はズーム(変倍)のみ、第3群は焦点補正のみ、第4群は結像のみと群ごとの役割が完全に分離されているのが特徴。前述のとおり3群ズームレンズから発展したもので、第2群が第1群に接近すると広角、第3群に接近すると望遠となり、第3群がズームに伴う焦点の移動を補正する。第4群はズーム動作には関与しない。第1, 2, 3群からなる光学系が焦点を結ばない無焦点系であるため、アフォーカルズームレンズとも呼ばれる。 各レンズ群の機能が独立していることとズーム系を構成するレンズ群が多いことから収差補正がやりやすく、また絞りがズームに関与しない第4群にあるため機械式の絞りではズームしてもF値が変わらないメリットがある。ただし第1群がズームでは移動しないため広角側でも鏡筒が長く、周辺光量が落ちる、携行性が悪いといったデメリットがある。 光学補正式ズーム かつては3群ズームの応用例として固定された凹群の前後を直線運動する凸群ではさむことで変倍する光学補正式もあったが小型化、大口径化に不利で画質的にも制約が大きく今日では消滅している。
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