ボッチャ
歴史と沿革
ボッチャは重度脳性麻痺者、もしくは同程度の四肢重度機能障害者のためにヨーロッパで考案されたスポーツです。
世界初の国際ボッチャ大会として認められているのは、1984年に開催された米国ニューヨークでのストーク・マンデヴィル・パラリンピック大会です。男女別に17人が参加しています。パラリンピックの予選大会としては、1987年に重度障害者のスポーツとして、ポルトガルでワールドカップが開催されました。
1988年の韓国・ソウルでのパラリンピックから、正式種目に採用されました。当初はC1とC2クラス(*)の選手による個人戦とC1/C2の団体戦のみの実施でしたが、1994年の米国アトランタ大会から、C1選手が補助具を使って競技するWAD種目が加えられ、個人のC1WDAと団体戦ペアWADも実施されるようになりました。
(*) C1とC2:脳性まひ国際スポーツ・レクリエーション協会(CPISRA)によるクラス
2000年のオーストラリア・シドニー大会では観衆数も増大し、人気の高まりを証明。ボッチャは パラリンピック運動の重要な競技として確固たる地位を得ました。2004年のギリシャ・アテネ大会でも種目が増え、2008年の北京大会には20カ国から88人の選手が参加、個人・団体戦合わせて7種目で熱戦が繰り広げられました。
日本では1996年、国内で初めて国際脳性麻痺者スポーツ・レクリエーション協会(CP-ISRA)のボッチャ競技規則集を翻訳し、国際ルールにそった競技会(千葉ボッチャ選手権大会)が開催されました。千葉県を中心に関東近県から療護施設、作業所、在宅者などの重度脳性麻痺者が約40名参加しました。この頃から各地域でボッチャ競技が重度障害者のスポーツとして少しずつ広まり始めました。
1997年11月、全国各地へのさらなる普及と、パラリンピックを目指す選手の育成のために日本ボッチャ協会が設立されました。全国各地でボッチャ指導者講習会(指導者・選手)や強化合宿などを実施して普及活動をすると同時に、1999年より第1回日本ボッチャ選手権大会(大阪市舞洲障害者スポーツセンター)を開催し、2008年7月には第10回大会が千葉市ポートアリーナで開催されました。
日本ボッチャ協会では日本選手権大会とジャパンカップ(選抜大会)の2大会を主催していますが、他に各地域での大会も盛んに実施されるようになっています。
競技方法
赤・青の各6球ずつのカラーボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、いかに近づけるかを競います。障害のため自分でボールを投げることができなくても、補助具である勾配具(ランプ)を使い、自分の意思を介助者に伝えることができれば競技に参加できます。
競技は男女の区別なくBC1~BC4のクラスに別れて行われ、個人戦と団体戦(2対2のペア戦と3対3のチーム戦)があります。
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○クラス分けと競技種目
1. | コイントスで先攻後攻を決め、先攻サイド(赤)がジャックボールをコートに投げ入れる。 (ジャックボールがジャックボール無効ゾーンに止まった場合は、相手側にジャックボールを投げる権利が移る。) |
2. | 続けてジャックボールを投げた選手が最初のカラーボールを投げる。 |
3. | 次に相手側(青)がカラーボールを投げる。 |
4. | 2球目以降は、ジャックボールより遠い距離にあるカラーボールの側がボールを投げる。 赤・青どちらが遠い距離にあるかは審判が判断し、選手に指示板で伝える。 |
5. | 両チームがすべてのカラーボールを投げ終わった時点で1エンド終了し、得点をつける。 ※得点の数え方 ・ジャックボールに最も近い相手のカラーボールよりも近い位置にある自分のカラーボールがある場合、ボール1個につき1点が与えられる。 ・ジャックボールから最も近い位置に、2個以上の異なる色のカラーボールが等距離にある場合、各ボールにつき1点が与えられる。 |
6. | 2.~5. を個人戦・ペア戦は4エンド、チーム戦は6エンド行います。 2エンドは青、3エンドは赤、4エンドは青と、交互にジャックボールを投げてゲームを開始する。 |
7. | すべてのエンドを終了した時点で赤・青の得点を計算し、勝敗を決める。 同点の場合は、ジャックボールをクロスに置いた状態からタイブレークを行う。 |
ルール
- コート外に出たボールはアウトボールとなる。(オンラインもアウトボール)。
- ゲーム中にジャックボールがコート外に出た場合は、コート中央のクロスに置く。
- 持ち時間は、1エンドにつき個人戦の場合、BC1・BC2・BC4は5分、BC3は6分。ペア戦ではBC3が8分、BC4が6分、チーム戦は6分。
- 団体戦では、1ゲーム1チーム1回のタイムアウト(3分間)が認められている。
- ボックス外やスローイングラインを踏んでボールを投げた場合は、ペナルティ(反則)となり、相手側にペナルティボール2球が与えられる。勾配具のランプを使用する際は、ランプの端がスローイングラインを空間上で越えていてもペナルティとなる。ペナルティとなったボールはアウトボールとなる。(反則球の除去)
- ランプを使う場合、介助者にランプを持ってもらい、選手が介助者に指示を出して自分の意思を介助者に伝えることができるが、介助者はゲーム中に選手に指示を出したり、会話によるコミュニケーションを取ったり、コート内を見るなどはできない。こうした行為はペナルティとなる。
道具・コートなど
○コート
競技は、12.5m×6mのコートで行われます。選手は2.5m×1mのスローイングボックス内でプレーします。個人戦ではボックス③④(③が赤、④が青)、ペア戦ではボックス②~⑤(②④が赤、③⑤が青)、チーム戦ではボックス①~⑥(①③⑤が赤、②④⑥が青)を使用します。
○ボール
皮革製、または合皮製で直径270±4mm、重さは275±12g。縫い目や硬さの違いで転がり方が微妙に変化することも、競技をより面白くする要素になっています。ジャックボール1球と赤・青のカラーボールそれぞれ6球の13球を使用します。
固有名詞の分類
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