ハーフラック・エフェクター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 13:59 UTC 版)
「Rockman (アンプ)」の記事における「ハーフラック・エフェクター」の解説
ラックマウント型のエフェクターの半分の大きさなのでこう呼ばれる Sustainor 1985年に発売された、コンプレッサー、ノイズゲート、プリアンプの機能を搭載したエフェクター。下記の機能が搭載されている。 Compressor:入力時の音量調整や圧縮値のLED表示、サスティーン調整。 (Smart) Gate:ノイズゲートで、掛かる速度の調整。 Distortion/Filters:Rockman(X100)にもあったDST、Edge、CLN、CLN2の4種の音を、CH1とCH2の2つのチャンネルにプリセットする。CH1とCH2はフットスイッチによって切り替える。 Gain Boost:DSTは7dB、Edgeは14dBのゲインブーストをする。 Auto CLN:Edgeにおける、ボリュームノブを絞ってクリーンサウンドに変える機能。音量はSustainor自体が自動調整する。Auto CLNで作られたクリーンサウンドは、ディストーションの流れを受け継いで中音域が強調されている。更にEdgeの音圧を上げる機能も兼ね揃えている。 Semi CLN:CLNモードにおける、ゲインを上げ、音圧を上げ若干歪ませる機能。 Treb Trim (Dist Edge EQ Trim):高音域の増減を設定する。-4〜4dBの間で調整可能。これはDST、Edgeで下記のTreb Boostでは足りない、若しくは不要な高音域をブースト/カットする。 Phase Notcher:ライン録音時にノッチを作り、フェイズ打消し効果によって音の太さを維持するための機能。 Treb Boost:高音域のブーストで、0〜20dBの間で調整可能。現場(スタジオやライブ会場など)での最終調整に用いられる。 RTHM Vol:低音域をラッチ信号で調整する。-6〜0dBのカットのみ可能で、低域がゲインと共に減少する。 Freq:1〜3kHzまで調整可能なイコライザで、強調したい部分に合わせられる。 またCH1とCH2のそれぞれ独立した音量調節がある。 Sustainorはいくつかのバージョンがあり、Model 100、Model 100A、Model 200、Model 200 (Double IC Model)の4種類があり、最終型のDouble IC Modelが最も出来が良いとされている。こちらもB'zが使用した事で知られ、日本でも人気が高い。 Stereo Chorus/Delay 1985年にSustainorと同時に発売された、最初のモジュレーション系のエフェクター。ステレオ/モノラル仕様で、アナログのコーラスとディレイが搭載されており、遅延素子はBBD MN3005を採用している。 Sweep Speed:コーラスの揺らぎの速度調整。0.25〜1Hzの間で調整可能。 Long Chorus:コーラスの揺らぎ速度を上げ、深く奥行きのある効果を作る。 Mode Select:コーラスかディレイを選択する。同時に使用する事は出来ない。フットスイッチを使って制御する事も可能。 Feedback:ディレイの持続時間の調整。1〜∞の間で調整可能。 Delay Vol:ディレイの音量調整。掛け方でディレイ・エコー・リバーブなどを再現できる。 Delay Time:ディレイの遅延時間調整。通常で20〜60ms、Longスイッチ投入で40〜200msの間で調整可能。 Output Mix:コーラスとディレイの2chの出力方式を下記により選択。 Wide Stereo:ステレオによる出力で、コーラスは正相と逆相による重なりでコーラス効果を作り、ディレイは左から右へ流れる効果を作り出す。 Normal:ステレオ/モノラル出力で、ステレオの場合コーラスではSweep Speedが速くなり、Wideよりも若干浅い。モノラルでは、ステレオに主眼を置いているため、非常に浅いコーラスとなっている。ディレイではWideよりも若干狭くなっている。 Equal:モノラル出力で、Sweep Speedが速く深いコーラス。クリーンサウンドに用いられる事が多い。ディレイではアナログエコー特有の残響音が強調される。 Subtle Mono:モノラル出力で、非常に浅いコーラス効果で、ディストーションに用いられる事が多い。ディレイでは残響音、フィードバックが弱くなっている。 またフットスイッチでOutput Mixを2chにプリセットして制御でき、バイパスも可能。 Distortion Generator 1987年に発売された、ディストーション専用のエフェクター。コンプレッサーが搭載され、サスティーン調整を可能。 Distortion Harmonix:ディストーションのゲイン調整を行う。Lowでオーバードライブ、Midで通常のディストーション、Highで強烈なディストーションの3種類をスライドスイッチで切り替え可能。 Pre Dist EQ:Bass Boost、Mid Boost、2kHzの3種類のイコライザがあり、Bassは-5〜5dBの間でブースト、カット可能。Midは0〜10dBの間でブーストのみ、2kHzは-10〜0dBの間でカットのみとなっている。 Treb Boost:Sustainorのものに順ずる。0〜20dBの間でブーストのみ可能。これは音の周波数帯域を調整するのではなく、アンプ出力時の高域調整となっている。奥行きのある音から、前面に押し出したような音などを再現する。 Auto CLN:Sustainorのものに順ずる。ギターのボリュームノブの調整でクリーンサウンドに変えられるスイッチ。また出力時の音圧を上昇させる効果を持つ。ボリュームノブを絞るため音が小さくなるのを自動で補正する。 Phase Notcher:Sustainorのものに順ずる。フェイズ打ち消し効果で、ライン録音時に音の太さを維持するための機能。 Stereo Chorus 1987年に発売された、アナログコーラスのエフェクター。T.C.のものよりもエフェクト効果が細いとされている。BBD MN3007素子を採用している。 Sweep Speed:揺らぎの速度調整。0.25Hz〜1Hzの範囲で調整可能。Hzが多ければ多いほど、うねりが速くなる。 Long Chorus:コーラス効果の深みを強く掛ける。この場合、Alt Mixもオンになる。 Delay/Direct Mixer:下記における出力方式の選択をする。 Wide Stereo:ステレオ出力によるコーラスで、正相と逆相による重なりでコーラス効果を作り出す。非常に深みのあるコーラス。 Normal:Wideと同じだが、モノラル出力も可能。Sweep Speedが上がり、深みが浅くなっている。 Equal:こちらもステレオとモノラル両方で可能。ステレオはSweep Speedが非常に速く、深みが更に浅くなっている。モノラルではSweep Speedが速く深みのあるコーラス。 Subtle Mono:モノラル出力専用で、Sweep Speedが遅く浅いコーラス。ディストーションに用いられる事が多い。 またフットスイッチでSweep Stop(非常に浅いコーラス効果)、Long Chorus、Alt Mix(2チャンネル間にプリセットされた出力方式の混合処理)、バイパスなどを操作可能。 Stereo Echo 1987年に発売された、アナログディレイのエフェクター。ステレオ出力前提に作られており、L(左)とR(右)の両方のディレイタイムや音量調節が搭載されている。遅延素子はBBD MN 3007を採用。 Feedback:Stereo Chorus/Delayに順ずる。ディレイの持続時間を設定する。1〜∞まで調整可能。 Delay Time:Lで75〜300ms、Rで125〜500msまで調整可能。全体的にStereo Chorus/Delayよりもディレイタイムが長く調整されている。 Pan Select:出力方式をスライドスイッチで選択。上部はモノラル出力で、原音がはっきりしているディレイ。中間はステレオ出力で、エコーの残響音を強調する。下部は左のスピーカーから原音を出し、右から残響音を流す方式。 また左右独立した音量調節がある。フットスイッチでバイパスする事が可能。 現在、アナログディレイのエフェクターでは他のエフェクターと比較しても出来が良いため、価値が上がっているシステムの一つ。 Instrument Equalizer 1987年に発売されたグラフィックイコライザ。MXRの10バンドイコライザをモチーフに作られており、特殊な帯域(700、1.4k、2.8k)を組み込ませている。 Drive Level Hot:アンプかミキサー、ライン等へ接続する際の音の調整を行うスイッチ。アンプでは高出力にし、ラインやミキサーでは低出力にする。 Bass:62、125、250Hzの3種類。 Middle:500、700、1k、1.4k、2k、2.8k、4kHzの7種類。特殊な帯域を組み込ませ、細かな調整が可能となっている。 Treble:8k、16kHzの2種類。 またノイズリダクション回路が組み込まれている。フットスイッチか表面のスイッチでバイパスも可能。 Midi Octopus 1988年に発売。エフェクターのラッチ信号をMIDIによって管理する機材。フットスイッチで制御可能な箇所を最大8系統まで同時に管理し、100通りまでプログラムしたものを保存出来る。更にMidi用のフットスイッチで任意に操作可能。発売された年によってデザインが若干異なる。 Guitar Compressor 1989年に発売されたコンプレッサー。Bostonサウンドで顕著に伺えるコンプレッション、サスティーンを得られる。 Mode:Normalで通常の出力、Anti Noiseでノイズを軽く除去、Bypassで完璧に除去する代わりに原音も弱くなる。 Treble Boost:Flatで通常の高域ブーストが掛かり、12、24dBと更にブースト可能。24dBにはCLN2と書かれており、CLN2を奏でる事も可能。 フットスイッチでバイパスの他、Lead Leveler Boostという更に強烈に圧縮して音圧を上げる機能も搭載されている。 Smart Gate 1989年に発売されたノイズゲート。弾いた時の音の長さによって効いてくる速度が自動調整される。またHiss、Mid Band、Full Bandと周波数帯域で機能を発動させる事も可。High Trigger Rangeの機能で更に強烈にノイズを除去するが、原音も著しくカットされる。現在、Jim Dunlop社のエフェクターのブランドであるMXRシリーズに、このシステムの回路を使ってコンパクトエフェクターの仕様にしたM-135 Smart Gateというものが販売されている。
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