タウンボーイとは? わかりやすく解説

タウンボーイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/18 13:37 UTC 版)

カンポンボーイ」の記事における「タウンボーイ」の解説

1981年刊行された『タウンボーイ』(Town Boy) は『カンポンボーイ』の続編である。物語の舞台多文化都市イポー移り、『カンポンボーイ』で家庭内終始していたマットの生活も広がってゆく。マット学校通いアメリカポップミュージック出会い新しくできたさまざまな人種友人と町を駆け回り悪ふざけを楽しむ。中国系のフランキーとはロック好き同士で、プレスリーの曲を共に聴いてエアギター弾き、絆を深めていく。年頃になると「イポー注目度ナンバーワン女の子ノルマデートする。やがて皆が学校卒業する時期来てイギリス進学するフランキーと駅で別れを交わす。 『タウンボーイ』のストーリー作者イポー過ごした青春時代の思い出集めたのであるラット本作書いた動機について音楽について少しは知ってんだってところを見せたかった」と言っているが、友情中心的なテーマであり、フランキー進学のため英国向けてイポー駅を発つシーン物語幕切れとなる。ただし単純に人種間美し友情謳い上げるのはラット望むところではなかったため、多様なバックグラウンドを持つ当時友人たちフランキーに代表させ、音楽通じて友情を結ぶようにさせた。作中では表立って描かれないものの、当時マレーシア社会ではマレー系中国系の対立があり、マットフランキー友情育むのは「ほんとうはとても勇気のいること」だった。二人フランキーの家で音楽聴いて友情を結ぶ下りジャーナリストのリズワン・A・ラヒムなどによって印象深いシーンとして挙げられている。 『タウンボーイ』の画面構成は『カンポンボーイ』よりもバリエーションが豊富で、「見開き2ページの大ゴマいくつか並べたシークエンス」も使われている。コミックアーティストのセス英語版)は、ラットの絵が「活力と未加工エネルギー」に満ちており、「全体的に風変わりなスタイル描かれているが、それを支えているのは現実世界を驚くほど正確に捉える観察力だ」と評した。「ラットきわめてユーモラスかつ人間的なキャラクターたちがページ全体描かれ群衆シーンが数か所あり、コミックジャーナリストのトム・スパージョン(英語版)はそれらについてこう述べた。「『タウンボーイ』を読んでいると、止んだばかりのストリート・フェアを見て回っているように感じるときがあるありふれていたはずの存在が、一つ出来事によって何もかもくっきりと見えるようになったときのように。この街並みにはつい迷い込んでまいそうになる」 異な民族キャラクターそれぞれの母語でしゃべることがあり、その言葉解説抜き中国語タミル語書かれる主人公マット自身学校では英語で、家庭ではマレー語を話す。ゴールドスミスとリズワンは外国語作品を味わう障害にはならない述べた。むしろそれらの言語は、英語が主流世界とは異な世界作り出すのに役立っているという。中国語飛び交うフランキーの家をマット訪問する描写文化超えてわるもので、子供新し友達の家に行って異質な、しかしどこか見慣れた日常」に触れたときの感じリアリスティック写し取っている。 2005年時点で『タウンボーイ』は16増刷重ねフランス語日本語にも翻訳されていた。同作へのレビュー好意的なのだった司書のジョージ・ガルシャクは詳細に描かれ群衆シーンや、多様性のあるキャラクター人間だけでなく動物含めて)を評価した。またラットの絵が持つ「エネルギー」はセルジオ・アラゴネス(英語版)やマット・グレイニング連想させるとされた。ロサンゼルス・タイムズレビュー寄稿したローレル・モーリーは、本書チャールズ・シュルツ独特のメランコリー差し引いた『ピーナッツ』例え存在感のあるキャラクターたちが触れ合う様子温かみがあると述べた多く読者は『タウンボーイ』を前作より高く評価しているが、トム・スパージョンの考えでは、本作凡百作品より優れているとはいえ、よりテーマ絞られた『カンポンボーイ』には及ばないスパージョンによると『カンポンボーイ』に比べて『タウンボーイ』は散漫な逸話多く主人公初め経験することのそれぞれ十分に掘り下げられていないという。

※この「タウンボーイ」の解説は、「カンポンボーイ」の解説の一部です。
「タウンボーイ」を含む「カンポンボーイ」の記事については、「カンポンボーイ」の概要を参照ください。

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