タイパ
「タイパ」とは、費用に対する効果を求めるコスパと対照的に、かけた時間に対するパフォーマンス・成果・満足度の度合いであるタイムパフォーマンスのことを意味する表現。
タイパの基本的な意味
タイパはコスパの派生語にも位置付けられ、「タイパが良い」ということは、「短時間で得るものが多くある」ということであり、同じく「タイパが悪い」ということは「時間がかかる割に得るものが少ない」ということである。いわゆる令和時代やZ世代の傾向として挙げられることのある「歌のイントロが長いと流行らない」「ファスト映画が若者にウケている」といった傾向は、現代の多くの人がタイパを意識して追求しつつあるためである、とも解釈しうる。
タイパとコスパの違い
タイパ(タイムパフォーマンス)とは、ある「時間内」でどれだけ満足できたか、楽しかったかなどの効果を意味する概念である。このためタイパを追求する場合、より短い時間で満足できるように、「早く行ったり」、「つまみ食い的にスキップして行ったり」、あるいは「何か別のことをしながら同時に行う」などといった特徴がある。 一方で、コスパ(コストパフォーマンス)とは、満足や楽しみを得るために商品やサービスを購入した際に、その費用がどれほど「安かったか」についての効果を表す概念である。従って、コスパをよくしようとすればするほど価格が安くなる。タイパとZ世代
タイパは、1990年代半ばから2000年代半ばに生まれたZ世代の傾向として指摘されることが多い。 特に、2010年代の後半から、定額制の料金で動画や音楽を無制限に視聴することができるサブスクリプションサービス(サブスク)が、Z世代をはじめ世の中的に流行りだしたことも一因であるといわれている。 つまり、既にサブスクとして定額で対価を支払っている(≒コスト側が変わるものではない)ため、コストよりも時間を重視する傾向になる場合があり得る。 また、昨今では、様々な商品やサービスの一部を無料で体験できる機会も増えており、この場合はそもそもコストがゼロであるため、結果としてコストではなく時間を重視する傾向になる場合もある。タイパを重視した映画・ドラマの見方
定額制の動画サービスの場合、従来のように一つの動画に個別に料金を支払っているわけではないため、(別の作業をしながら動画を見る)「ながら視聴」や「倍速再生」、「スキップ再生」など一つの動画にかける時間を効率化するような閲覧の仕方が多くみられる。 また、映画やドラマの映像を無断で違法に利用して制作された10分程度の動画である「ファスト映画」も、解説を聞きながら視聴することで、映画全部を見るよりも遥かに短い時間で概要を把握することができるため若者にとってタイパが良いとされている。タイパがよい音楽の聴き方
音楽についても、定額制のサービス利用が増えるにつれて、他の部分を飛ばしてサビのみを聞く若者も増えているといわれている。 また、このようなZ世代の音楽への接し方に応える格好で、楽曲を提供するミュージシャンやレーベル側も、サビまでの時間を短くしたり、イントロにキャッチーなメロディラインを持って来たり、ギターソロのパートを短くするなどの手法が取られることもある。 加えて、TikTokなどのショート動画アプリでは、過去に流行した動画のサビ部分のみを用いて、独特なダンスやポーズをすることが多くの若者に受けている。タイパ重視の男女の出会い
Z世代のパートナーとの出会いについては、従来のように合コンなどを通じて、趣味の話をしたり人となりについて理解したりするようなステップは「タイパが悪い」とされることがある。 例えば、Tinderなどのマッチングアプリを使うことで、家にいながら事前にメッセージや写真を見てお互いに相手を次から次に選ぶことができるため、「タイパがよい」とされる。タイパを重んじる思考や傾向を表す表現
タイパを大事にする姿勢や傾向は「タイパ重視」「タイパ主義」「タイパ志向」と呼びならわされている他、効率性という意味で「タイパ力」という表現が用いられている例もある。 また、極端にタイパを重視する考え方は「タイパ至上主義」と呼ばれることもある。タイパとタムパの違い
タイパは、もともとタイムパフォーマンスを省略した言葉であるため、略し方によっては「タムパ」と呼ばれる場合もある。 一般的には「タイパ」と呼ばれることが多いとされるが、一部のメディアなどでは「タイパ」と同様の意味合いで「タムパ」という風に「タイムパフォーマンス」を略しているケースも認められる。タイパと料理・商品
ひと手間かけるだけで本格的な料理を作ることができるような「炒め物のソースやタレの素」「具材を入れてチンするだけでできる煮物の素」や、三大栄養素を始めとした様々な栄養素をバランス良くとることができるレトルト食品やインスタント食品などは「タイパ商品」と呼ばれたり「#タイパ」というハッシュタグを付けて区分されたりする。タイパと仕事・タイパとビジネス
ビジネスシーンにおいては、「作業効率」「生産性」「時間当り採算」などという用語に象徴されるように、いわば「時間対効果」は比較的昔から業界を問わず重視されて来たといえる。他方で、消費者側の「タイパ志向」「タイパ至上主義」の高まりと共に、楽曲・動画・食品・スマホアプリなどにおいて「タイパ」を重視した商品・サービスを設計したり提供したりできるように配慮・工夫する機会が増加しているともいえる。
タイパの使い方・用例・例文
・お風呂に入りながら動画を見る方がタイパがいい・1時間も並んだけどそこまで美味しいラーメンではなくてタイパが悪かった
・大学の課題の動画は2倍速で見る方がタイパがよい
・動画よりも漫画の方が時間がかかるのでタイパが悪い
タイムパフォーマンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/24 23:04 UTC 版)
タイムパフォーマンス(英:Time Performance)は、かけた時間に対する効果、すなわち「時間対効果」のことである[1]。かけた費用に対する効果(費用対効果)を意味する「コストパフォーマンス」の「コスト」を「タイム」(時間)に置き換えた造語で、和製英語。
- ^ a b 情シスリーダーのための時間管理術10 仕事に時間をかけすぎない!タイパを意識しよう - パシフィックネット、2016年10月3日掲載
- ^ a b 牛窪恵 「Z世代を読み解く 日本経済をけん引する新たな価値観」 - Planet VAN VAN 2022 Spring Vol.134(プラネット)
- ^ a b c 就職活動準備で「タイムパフォーマンス(タイパ)」を意識する学生が半数を超える。「やりたいことが、たくさんある」「インターンシップは、仕事体験ができるものに絞って参加」の声/2024年卒対象アンケート - 学情(PR TIMES)
- ^ “デジタルネイティブのZ世代を象徴する「タイパ」:三省堂の辞書編集者が選ぶ2022年の新語”. nippon.com (2022年11月30日). 2022年12月3日閲覧。
- ^ “登録5797284(商願2015-031220)”. 特許情報プラットフォーム. 2023年1月20日閲覧。
- 1 タイムパフォーマンスとは
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