アナログ放送の文字放送(モジネット)
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「文字多重放送」の記事における「アナログ放送の文字放送(モジネット)」の解説
文字多重放送は「文字放送」とも言われていたが、文字放送という単語は文字多重放送の中でも「画面全体に文字や簡易図形を表示するもの」を指す事が多い。放送局或いはその子会社が、テレビ放送の補完的サービスとして、通常のテレビ番組とは独立した番組(独立番組)として制作・放送してきた。 アナログ放送の垂直帰線区間で未使用だった走査線の内の4本を割り当ててデータ送信を行っていた。データは映像信号の白信号の有無がそのままビットパターンになり、走査線1本で1フレームあたり176ビットのデータが送信できた(42Kbps相当)。全てのコンテンツがこの走査線を循環して送信されていたので、コンテンツを選択しても表示されるまでに待ち時間が発生した。 日本初の文字放送は1983年10月3日午前6時に東京・大阪のNHK総合テレビに多重して試験放送が開始された。当時は文字も全て画像として符号化するパターン方式が使用されていて、対応デコーダーとしてソニーのTXT-10が存在した。当時の番組表は以下の通り。 番組番号項目放送時間ページ数備考1 目次 総合テレビと同一 1 2 主なニュース 0:00~22:00 1 ニュースの見出し 3 ニュース 0:00~22:00 8 4 ローカルニュース 0:00~22:00 4(東京2, 大阪2) 5 天気予報 0:00~22:00 2(東京1, 大阪1) 6 おしらせ 総合テレビと同一 4(東京2, 大阪2) 聴力障害者向けお知らせ 7 連続テレビ小説あらすじ 総合テレビと同一 3 「おしん」のあらすじ日曜日は「おしん」以外の番組紹介 8 字幕番組 8:15~8:3012:45~13:00 「おしん」の字幕。月~土 サービス開始当初はテレビジョン放送局自体には4本ある走査線の内の1本しか割り当てられず、残りの3本はテレビジョン放送局以外の放送事業者への割り当てとした。このため各放送局は放送設備を共用して文字多重放送を行う形式上の子会社を立てて対応した(後に緩和)。放送事業者は収益を得るためにコンテンツ内に広告を入れることが認められていた。字幕放送はテレビジョン放送局用の走査線が使用される。 株式市況、ニュース・天気予報、フライトインフォメーションや、番組連動の字幕放送を放送していた。しかし、2003年12月に始まった地上デジタル放送のデータ放送やインターネットの普及により、民放は独立番組の放送を徐々に終了させていった。NHK総合テレビで独立番組を放送してきた日本文字放送(テレモ日本)も、2008年3月31日をもって放送を終了した。 字幕放送は、番組番号999#で行われていた。文字放送対応チューナーで999#を入力するか、字幕ボタンを押せば番組と連動した字幕放送を見る事ができた。なお、生放送番組などではリアルタイム字幕放送(画面表示までには若干のタイムラグが発生する)が行われていた。アナログ放送では表示のために、追加の電子回路、コンピュータが必要だったので対応するテレビが少なかった。NHKは字幕放送を総合テレビで1985年11月29日から、衛星第2テレビ(BS2)(BSプレミアムのアナログ放送でも継続)で1997年10月5日から、Eテレでは1999年1月4日から実施した。 日本国内の民放では、1985年から東京と大阪を中心に開始した。当初は実施局は少なかったが、1997年秋以降、放送法の改正による規制緩和で多重放送の免許が不要となり、全国ほぼ全ての局で順次開始した。 基本的に000-999の最大1000番組分が割り当てられ、そのうちの000が目次、999が字幕放送(のちに899が標準目次チャンネルとなった)の番組番号となっていた。そのため、通常の文字放送は001-998の998番組(のちに997番組)が割り当てられていた。NHK総合テレビの場合は、000-899までは日本文字放送(テレモ。放送終了後の2009年にNHK情報ネットワークと合併、NHKグローバルメディアサービスとなり法人消滅)に割り当てられており、NHK本体は900-999の100チャンネルが割り当てられていた。 標準目次は、当初はテンキーで3桁の番組番号を入力して番組を選んでいたのをメニュー形式で選択できるようにするためのもので、所定の書式の目次情報を送信することで対応した受信機ではメニュー形式で表示することができた。この場合、標準目次非対応の受信機では単なるテキストの目次として表示される。 音源としてFM音源のYM2413をサポートしていて付加音を鳴らしたりメロディを流したりすることができた。日本テレビ・AXES4ではカラオケのコンテンツが存在した。廉価な受信機では音源を搭載しない機種もあった。 使用されていた書体(フォント)は受信機メーカーによって違いがあったが、標準字形として定義されていたフォントは、数字の3が「ろ」の形をしていたり、数字の4の上が閉じていなかったりと独特な書体だった。 かつての山手線の205系車両に1両だけあった6ドアの車両では、車内に設置されていた広告用液晶ディスプレイで広告の合間に文字放送を流していた。
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