絨毯 現代の絨毯

絨毯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/03 15:28 UTC 版)

現代の絨毯

もともとカーペットは広幅長尺のロール状の敷物で、典型的なウィルトンカーペットは織物の組織の中にパイル糸を差し込んで締糸で固定したものである[13]。これに対して新たなパイルの形成方法が考案され、タフテッドカーペットは刺繍の原理でパイルを形成している[13]。1960年代にはヤギや馬の獣毛をパイルとして、これを基布にニードルパンチする方法が開発されタイルカーペットの原型になった[13]タイルカーペットは50cm角などに裁断した正方形のカーペットで、取扱単位、輸送、施工、メンテナンスなどの点でロール長尺カーペットに比べて利点がある[13]

日本のオフィスで使われるカーペットの組成(重量ベース)は8割が塩化ビニール樹脂、2割がナイロンのものが多い。焼却処分するとダイオキシンが発生する問題があり、塩ビとナイロンに分離させて再資源化する取り組みが進んでいる[14]

絨毯の手入れ

掃除が簡単そうに見えるフローリングも、本当にきれいにしようと思えば手間がかかる。2017年7月11日付けの読売新聞(大阪)によると、ダスキン担当者から聞いた話も交えながら、「フローリングでは、『いきなり掃除機をかけず、ホコリが舞い上がらないように注意しながら、まずモップで一拭きする』のがポイントだ。その後、掃除機を使い、雑巾がけをする。順番を誤ると掃除機の排気などでホコリが飛散し、一度舞い上がれば、最長で8時間空中を浮遊することもある」としている。

掃除や換気を怠ると、ダニが絨毯に大量に繁殖することがある。そのため、気管支喘息に苦しむ人にとっては、絨毯は問題が多い場合がある。というのが従来の常識とされてきたが、最近の研究(日本カーペット工業組合による実証実験)では、絨毯の上はフローリング上と比べ、喘息を引き起こすホコリ(ダニ)の量が少ない(舞い上がる量が少ない。フローリングの10分の1)ため、きっちりと掃除さえすれば絨毯・カーペットは気管支喘息の患者にとって有効な床材であるということも分かってきた。

兵庫県の西宮市環境衛生局が平成2年にまとめた「ダニアレルギー調査報告書」によれば、「ぜんそく発作の誘発は、寝室を含めて床のダニ数との関連は余り認められず、使用している寝具類のダニ数がぜんそく発作に大きく関連していることが傾向として認められる」と結論づけている。

さらに調査統括として、「(ぜんそく患者のいる家庭でカーペット、畳などの床材を)フローリング、コルク等、フラットな材質に改造することは、好みの問題であっても決して疫学的に積極的意義のあることではない」としている。

ダスキン担当者が「ハウスダスト対策には、カーペットとフローリングのどちらも小まめに掃除することが大事」(2017年7月11日付、読売新聞)と話しているように、基本は清潔な環境にしておくことが求められる。

また、三重大学大学院医学系研究科の実証実験により、カーペットにはリラックス効果があることも証明された(カーペットのリラックス効果)。

文化

レッドカーペット

栄誉礼映画祭などにおいては、赤色の絨毯が敷かれ、そこを歩行することは名誉とされることがある。

魔法の絨毯

千夜一夜物語(アラビアンナイト)に、空を飛ぶ魔法の絨毯の物語がある。 詳しくは「魔法の絨毯」の項を参照。


  1. ^ 日本語の語彙を比較すると「カーペット」よりも非外来語の「じゅうたん」のほうが高級な評価感情を伴っているという指摘がある[3]
  1. ^ a b 大久保 翔平「書評 鎌田由美子著『絨毯が結ぶ世界 : 京都祇園祭インド絨毯への道』」『史学雑誌 / 史学会 編』第126巻第11号、史学会、2017年11月、1802-1810頁。 
  2. ^ a b c 鈴木 澄江「建築に用いられる材料のこれから」『建材試験情報』第57巻、一般財団法人建材試験センター、2021年、4-8頁。 
  3. ^ 西尾 寅弥「現代語彙における同義語」『ことばの研究 = Study of language』第4巻、国立国語研究所、1973年12月、1-14頁。 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 柳原 重雄「カーペットCARPET」『繊維製品消費科学』第4巻第2号、一般社団法人 日本繊維製品消費科学会、1963年、4-8頁。 
  5. ^ a b c d 丸山 孝雄「カーペットの分類とテスト法の現状」『繊維機械学会誌』第37巻第7号、一般社団法人 日本繊維製品消費科学会、1984年、279-P284。 
  6. ^ a b 本田榮二『ビジュアル解説 インテリアの歴史』秀和システム、2011、316-318頁。 
  7. ^ a b c d e f インテリア基本語研究会/編著『インテリア基本語辞典 第二版』彰国社、2000、p126頁。 
  8. ^ a b インテリア基本語研究会/編著『インテリア基本語辞典 第二版』彰国社、2000、180頁。 
  9. ^ 渡辺優『図解インテリア・ワードブック』建築資料研究社、1996、83頁。 
  10. ^ 「くも」現象”. 日本インテリア協会. 2023年12月21日閲覧。
  11. ^ http://www.saga-cci.or.jp/tokusan/nabedan/history.html
  12. ^ http://www.city.sakai.lg.jp/naka/miryoku/nakaku_machikado/dantsuu.html
  13. ^ a b c d 大墨 正「フロアカバリング材発達史(7)」『日本インテリア学会 研究発表 梗概集』第13巻、日本インテリア学会、2001年、93-94頁。 
  14. ^ 【NEXT1000】3年平均のROE/1位・リファインバース 廃棄カーペットから塩ビ『日本経済新聞』朝刊2018年3月20日


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