絨毯の特徴、手入れと使い方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 00:57 UTC 版)
住宅における絨毯は、装飾性のほかに、騒音レベルを減少させ、床を通る熱の損失を減らすために有効である(断熱性)。また、絨毯の上に横たわったり、座ったりするにも、固い板張りの床よりも快適である。他に絨毯には以下に挙げるような優れた効能がある。 衝撃を吸収する(転倒や万が一の割れ物の落下による破損を防ぐ)→日本カーペット工業組合はカーペットの衝撃吸収性について上智大学や首都大学東京などと共同研究した。屋内転倒事故において、カーペットはフローリングに比べて頭部への保護性能が十分期待できることが分かった。調査報告書はこちら。 防滑性(床や畳に較べても、滑りにくく、衝撃吸収効果と併せてバリアフリー対策にもなる) 防塵性(空中に舞い上がる埃を吸着させる力を持っている。ただし、手入れをしないとダニが繁殖してしまうので注意。ただし、フローリングも手入れをしないとダニが大量発生する。さらにフローリングはダニの死骸やフンを含むハウスダストが空気中に舞い上がる量がカーペットに比べて10~20倍あるので危険度はアップする。) 防眩性(直射日光や蛍光灯の光を和らげる効果がある) 防炎性 ただし、絨毯は掃き掃除よりも掃除がしにくく、飲み物をこぼすと染みを作ることがある。また、人間やペットの体毛を吸着する傾向がある。塵の蓄積を防ぐため、定期的に掃除機をかけるべきである。 しかし、掃除が簡単そうに見えるフローリングも、本当にきれいにしようと思えば手間がかかる。2017年7月11日付けの読売新聞(大阪)によると、ダスキン担当者から聞いた話も交えながら、「フローリングでは、『いきなり掃除機をかけず、ホコリが舞い上がらないように注意しながら、まずモップで一拭きする』のがポイントだ。その後、掃除機を使い、雑巾がけをする。順番を誤ると掃除機の排気などでホコリが飛散し、一度舞い上がれば、最長で8時間空中を浮遊することもある」としている。 掃除や換気を怠ると、ダニが絨毯に大量に繁殖することがある。そのため、気管支喘息に苦しむ人にとっては、絨毯は問題が多い場合がある。というのが従来の常識とされてきたが、最近の研究(日本カーペット工業組合による実証実験)では、絨毯の上はフローリング上と比べ、喘息を引き起こすホコリ(ダニ)の量が少ない(舞い上がる量が少ない。フローリングの10分の1)ため、きっちりと掃除さえすれば絨毯・カーペットは気管支喘息の患者にとって有効な床材であるということも分かってきた。 アレルギー専門医や団体がハウスダスト対策としてあげる「カーペットを取り除く」という主張は、日本小児アレルギー学会作成の「小児気管支喘息 治療・管理ガイドライン」から引用している。この根拠について日本カーペット工業組合が確認したところ、米国の資料から引用しているという回答を得た。彼らは自らで何も検証していないのである。カーペット組合はさらにその米国の資料についても調べたが、その根拠となるデータや資料は見当たらなかったという。 アレルギーの原因とされているのは、生きているダニではない。ダニの糞やダニの死骸などを含むハウスダストである。それを吸い込むことでアレルギー症状が引き起こされると言われている。 兵庫県の西宮市環境衛生局が平成2年にまとめた「ダニアレルギー調査報告書」によれば、「ぜんそく発作の誘発は、寝室を含めて床のダニ数との関連は余り認められず、使用している寝具類のダニ数がぜんそく発作に大きく関連していることが傾向として認められる」と結論づけている。 さらに調査統括として、「(ぜんそく患者のいる家庭でカーペット、畳などの床材を)フローリング、コルク等、フラットな材質に改造することは、好みの問題であっても決して疫学的に積極的意義のあることではない」としている。 つまり、アレルギー対策として、第一義的に重要なのは寝具類の適切な管理であることは明らかである。さらに、ダニアレルゲンを室内の空気中に舞い上がらせない(人に吸わせない)ことが重要であることが分かる。 ゆえに、カーペットはハウスダスト対策として有効な床材であるといえる。もちろん、ダスキン担当者が「ハウスダスト対策には、カーペットとフローリングのどちらも小まめに掃除することが大事」(2017年7月11日付、読売新聞)と話しているように、基本は清潔な環境にしておくことが求められる。 また、三重大学大学院医学系研究科の実証実験により、カーペットにはリラックス効果があることも証明された(カーペットのリラックス効果)。 天然ウールのカーペットの場合特に加工をしなくても高い防炎性を持っている。発火温度が570℃~600℃と非常に高いため難燃繊維として知られており、古くから火の粉の危険が高い暖炉前などに敷かれてきた。
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