転倒事故とは? わかりやすく解説

転倒

(転倒事故 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/17 23:34 UTC 版)

転倒(てんとう、顚倒)とは、たおれることである。

定義

転倒の定義は世界的に見ても統一されていない。最近[いつ?]の転倒研究に用いられている定義は以下のものである。

FICSIT (Frailty and Injuries: Cooperative Studies of Intervention Techniques)
Unintentionally coming to rest on ground, floor, or other lower level: excludes coming to rest against furniture, wall, or other structure.
Kellogg International Work Group
A fall is an event which results in a person coming to rest inadvertently on the ground. For certain purposes, such as research and prognosis, it would be desirable to exclude from the definition those falls resulting from loss of consciousness, onset of paralysis, an epileptic attack, or impact with a moving vehicle.

両者の大きな違いは、前者は失神を含むのに対して、後者は除外している

疫学

日本において、65歳以上の地域在住高齢者ではその約20%が1年間に1回以上転倒をするとされている。さらに入院・入所者では約40%、脳卒中患者では約60%と転倒率が上昇する。また転倒者は男性に比して、女性が多い。転倒による外傷は、軽症を含めると約50〜70%とされており、重大な外傷である骨折を生じる割合は約1割以下である。

しかし、五十嵐ら(1995)による2000例の大腿骨頸部骨折患者の原因を調査したところ、1689件(約85%)が転倒を原因としていることが分かり、転倒予防の重要性が示された。転倒が発生しやすい時間帯としては、入院・入所者では午前6〜7時のトイレや食事に行くために活動性の高まる時間帯、地域在住高齢者では午前10〜11時の外出するような時間帯に多発している。

転倒の要因

  • 身体的特徴
    • 地域在住高齢者の場合
      • 筋力低下(オッズ比: 4.4)
      • 転倒の既往(オッズ比: 3.0)
      • 歩行障害(オッズ比: 2.9)
      • バランス障害(オッズ比: 2.9)
    • 施設入所者の場合
      • 筋力低下(相対リスク: 6.2)
      • バランス障害(相対リスク: 4.6)
      • 歩行障害(相対リスク: 3.6)
      • 歩行補助具の使用(相対リスク: 3.3)
  • 薬剤の影響
    数年前までは、3剤以上の薬剤を使用することが転倒リスクを高めるとされていたが、最近は具体的な種類まで特定されている[1]。一番リスクの高い組み合わせは、『利尿剤』+『NSAIDs』+『安定剤/睡眠薬』の場合、オッズ比は17.8となる。

このほか路面凍結時のスリップ[2]などの外的要因なども存在する。

転倒の状況

転倒者の特徴は、“屋内・歩行・つまずく”である。屋内での転倒者は6割以上とされ、そのうちの6割が歩行中のつまずき動作によって生じている。 その他の要因としては、立ち上がり動作時のスリップや歩行・立位での方向転換が転倒を生じやすい。転倒方向にも次のような特徴がある。

  • 前方:比較的年齢が若く、歩行速度が低下していない者. 合併症として橈骨遠位端骨折を生じやすい。
  • 側方 or 後方:歩行速度の低下した高齢者〜後期高齢者に頻発し、合併症として腰椎圧迫骨折や大腿骨頸部骨折を生じやすい。

転倒リスク評価

  • STRATIFY
  • Morse Falls Scale
  • Functional Reach Test
  • Timed Up & Go test
  • Berg Balance Scale
  • Dynamic Gait Index

その他、数多くの評価方法がある. 病院や施設での転倒リスクを軽減するには、多職種間の連携が最も重要であり、研究報告も活発に行われている。

1997年以降の知見

転倒において二重課題が注目され始めたのは1997年にLundinらが行った研究で、歩行中の高齢者に"What's your age??"と尋ねて、立ち止まったり、歩行速度が低下した者ではその先6ヶ月間における転倒率が有意に高くなるという報告がされてからである。そのテストはStops Walking When Talking testと呼ばれ、臨床的にも簡易的で有用である。

日本における二重課題の転倒に関する研究では、京都大学の研究者らにより活発にされており、研究報告も数多くされている。

転倒は、前述のように医学界の研究の焦点であり、膝をついたり、立ったり、這ったりする運動は転倒予防に有効である[3]。 2023年のシステマティック・レビューでは、高齢者の転倒の予防のために運動をすると、統計学的有意に転倒の確率を減らすことができたと報告している。 ただし、運動をやめた後に転倒を減らすことができなかったとしている[4]

脚注

出典

  1. ^ Granek, 1989
  2. ^ 凍結路面では「ペンギン歩き」を、ドイツ医師会が注意喚起ロイター(2017年1月6日)2017年1月12日閲覧
  3. ^ Rising up from a fall” (英語). Harvard Health (2023年9月1日). 2023年8月18日閲覧。
  4. ^ Suzanne M Dyer, Jenni Suen, Wing S Kwok, Rik Dawson, Charlotte McLennan, Ian D Cameron, Keith D Hill, Catherine Sherrington "Exercise for falls prevention in aged care: systematic review and trial endpoint meta-analyses" Age Ageing. 2023 Dec 1;52(12):afad217. doi: 10.1093/ageing/afad217.

参考文献

  • 『転倒予防医学百科』 武藤芳照編集, 日本医事新報社, 2008.
  • 『高齢者の機能障害に対する運動療法』 市橋則明編集, 文光堂, 2010.

関連項目


転倒事故

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 22:33 UTC 版)

滝川英治」の記事における「転倒事故」の解説

2017年9月15日ドラマ弱虫ペダル Season2』(BSスカパー!)の撮影中、自転車乗っていて転倒全身強く打ち負傷した同月18日脊髄損傷診断されたことが発表された。ドラマ予定通り放送されたが、10月出演予定されていた舞台Live MusicalSHOW BY ROCK!!』-深淵のCrossAmbivalence-」は降板した。 2017年12月8日事故初め本人言葉によるブログ更新を行う。当初は自らの状態について詳しく語ることをしていなかったが、2018年2月25日更新ブログにおいて、脊髄損傷闘うため、ケガ後遺症リハビリについて公表していくことを明らかにした。事故直後は首から下が全く動かない状態で、その後血圧低下、めまい、頭痛高熱などの後遺症苦しめられ精神的にも「999年泣いた」というほどの状態に追い込まれたものの、1か月ほど後から左親指微かに動きだし、左腕徐々に動かせる範囲大きくなり、右腕2017年末ごろから感覚戻り始め2018年3月3日ブログ更新時点では5本の指の感覚まで回復した。しかし指はまだ動かせず、この時のブログも口を使って書いていることを明らかにしている。5月3日、約1か月ぶりに更新したブログにおいてタイトルタイトル画を一新同年元日マジックペンを口にくわえて書いた感謝」の文字タイトル使用した2018年10月18日本人ブログにて退院したことを発表10月20日放送ドキュメンタリー番組『それでも、前へ』(BSスカパー!)に自ら取材依頼して出演心境苦悩葛藤などを語った2019年1月25日スタートの『PARA SPORTS NEWS アスリートプライド』(BSスカパー!)でMC務め仕事復帰2019年8月検査入院10月16日退院報告した2019年12月20日エッセイ集『歩』(主婦と生活社)を刊行2020年1月11日、同著の発売記念渡し会を開催。この日、俳優引退決意2021年8月24日2020年東京パラリンピックの開会式空港テーマとした演目において、管制塔クルー役として映像にて出演した

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