ナイロン【nylon】
ナイロン
ナイロン NYLON
ナイロン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/18 05:33 UTC 版)

ナイロン(nylon)は、ポリアミド合成樹脂の種類である。当初は主に繊維として使われた。世界初の合成繊維のナイロン6,6(6,6-ナイロンなどとも)が含まれる。

1935年、アメリカ合衆国のデュポン社のウォーレス・カロザースが合成に成功した。ナイロンは本来、インビスタ社(旧デュポン・テキスタイル・アンド・インテリア社)の商品名だが、現在ではポリアミド系繊維(単量体がアミド結合(-CO-NH-)により次々に縮合した高分子)の総称として定着している。
種類としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6などがある。これらの数字は、合成原料の炭素原子の数に由来する。
構造(右図)は、
- ナイロン6:
ナイロンストッキング工場での検品作業(1954年、スウェーデン) 1936年にアメリカのデュポン社のウォーレス・カロザースが合成に成功し、1939年にデュポン社はナイロン繊維の工業生産(大量生産)を開始した。当初は歯ブラシのいわゆる「毛」の部分などに使い商品化していたが、次に同社はナイロンの用途として、それまで主に絹で作られていた薄手のストッキングに着目、まずは女性たちの反応を調べるために、1939年10月24日にデラウェア州ウィルミントンでナイロンストッキング4,000着を販売してみたところ、わずか3時間で完売[6]。これを踏まえて、1940年5月15日に全米でナイロンストッキングを発売(これは大センセーションとなり、この日は「N-DAY」と人々に記憶されることになり)、発売1年で6400万着も売れた。だが、第二次世界大戦が始まっており、各国政府は次第に軍需を優先するようになり、ナイロンはパラシュートの傘やコードの部分に使われるようになっていった[7][8]。
なお、ナイロンストッキング発売当時のキャッチフレーズは「石炭と水と空気から作られ、鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い」というものだった。
用途
ストッキングや水着、合羽やウインドブレーカー、スキーウェアなど冬用スポーツウェア、傘。その他、クラシックギターの弦、釣り糸などに用いられている。
強度にまつわる事件
なおナイロンは登場当初、その強度が盲信され、1950年代から1970年代ころまでクライミングロープとしても多用されたが、実際の鋭い岩肌にすれる環境下での強度テストは行われておらず、登山の現場では突然あっけなく切れて登山者が墜落する事故(死亡事故)が何度も発生した。
→詳細は「ナイロンザイル事件」を参照他
(昨今では、自然環境中で分解されないマイクロプラスチック類の海洋生物への悪影響が深刻化していることが次第に認識されるようになってきて、国際機関や各国政府が対策を進めるようになってきており)ナイロンも生分解性はほとんど無いため、モノマーに分解する酵素(ナイロン加水分解酵素)の研究が進められている[9]。
脚注
- ^ DuPont. “デュポン200年の軌跡 5-2”. 2015年12月29日閲覧。
- ^ 『化学史への招待』株式会社オーム社、2019年1月25日、40頁。
- ^ ちなみに、1937年にはドイツ・IGファルベンのパウル・シュラックらにより合成されており、1942年に"Perlon"の名で生産が開始されている
- ^ 現在では、アミラン®は東レのナイロン製品の登録商標となっている
- ^ Whyman, Robin 著、碇屋隆雄・山田徹 訳『有機金属と触媒 -工業プロセスへの展開』化学同人、2003年。ISBN 978-4759809480。
- ^ Kativa, Hillary (2016). “Synthetic Threads”. Distillations 2 (3): 16–21 2018年3月20日閲覧。.
- ^ History and Future of Plastics
- ^ NAIGAI, 所蔵品でたどるストッキングの変遷
- ^ 高分子ナイロンを加水分解する酵素(NylC)の発見
関連項目
ナイロン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/12 00:17 UTC 版)
「サファイア リボンの騎士」の記事における「ナイロン」の解説
※この「ナイロン」の解説は、「サファイア リボンの騎士」の解説の一部です。
「ナイロン」を含む「サファイア リボンの騎士」の記事については、「サファイア リボンの騎士」の概要を参照ください。
「ナイロン」の例文・使い方・用例・文例
- 柔らかいウールの方が粗いウールより高価で、そのどちらともナイロン製の人工繊維より上等である。
- ナイロンストッキングはすぐ伝線する。
- このナイロンソックスは、洗濯がきく。
- (ナイロンの)ひも 1 本.
- ナイロンの靴下 1 足.
- ナイロン製のタイツ.
- ナイロンの靴下には長もちするという長所がある.
- このロープはナイロンで補強されている.
- ナイロン靴下 300 円より. 【掲示】
- 彼女のナイロン製品は伝線していた
- まわりに綿、絹、ナイロン、またはレーヨンの糸で巻き付けられた弾力性の芯を持つ編み糸
- 絹またはレーヨンまたはナイロンでできている純粋な強い薄い絹のような繊維
- 彼女は黒いナイロンの品目を好む
- 薄い素材(ナイロン、レーヨン、シルク)から作られた婦人用のストッキング
- 裁縫や編み物に使われる撚った繊維(綿、絹、毛、ナイロンなど)の細いひも
- 留め具に使われるナイロンの布
- 米国の化学者で、ナイロンを開発した(1896年−1937年)
- 絹またはナイロンまたはレーヨンのきめ細やかさに対する測定単位
- ナイロンの製造に使用されるカルボン酸
- ナイロンの合成において使われる無色の有毒な可燃性液体
ナイロンと同じ種類の言葉
- ナイロンのページへのリンク