Pinus 亜節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/19 02:03 UTC 版)
アカマツやクロマツなどの日本でなじみの深いマツを含むグループ。針葉は2葉。大半がユーラシア地域に分布し、アメリカ大陸に分布するものは僅かである。 P. densata 中国南西部の雲南省や青海省の山岳地帯に分布。樹高は10-15m程と小型で針葉は2葉、中国名は「高山松」 アカマツ P. densiflora 朝鮮半島と日本に分布。和名は樹皮の色からきていると思われ、その名の通り赤茶色である。樹高30m程度の中型種。針葉は2葉で柔らかい。主に防災機能を重視されるクロマツに対して、木材生産を目的とした植栽も多い種。アメリカからの侵入病害であるマツ材線虫病(松くい虫)に弱い。マツタケの採れるマツとしても有名。種小名densifloraは「密集した花」の意味。 P. fragilissima P. heldreichii ヨーロッパのバルカン半島の標高1500-2000mの山岳地帯に分布。樹高は30mを超えることもある。若い球果は青紫色を呈する。樹皮はうろこ状に細かく割れ、ドイツ語名Schlangenhaut-Kieferは「蛇革のような松」の意味、種小名はドイツ人植物学者にちなむ。 P. henryi 中国西部の山岳地帯に分布。 P. hwangshanensis 中国にある険しい岩山である黄山に分布する。 カシヤマツ P. kesiya インドシナ半島一帯を原産とする。樹高は30mに達する大型種で針葉は3葉、幹はやや赤みを帯びておりうろこ状に大きく割れる。本種だけの純林を作ることは少なく、広葉樹に混じって生えることが多いという。林業用樹種として優秀で南米やアフリカにも移入されている。 リュウキュウマツ P. luchuensis 南西諸島、いわゆる沖縄地区の島のうち元々分布していたのは第三紀層・中世層・古生層の島々であった。最大樹高25mに達するが、台風が多いために12mを超えるのは稀だという。樹皮の色はクロマツに、葉の軟らかさなどはアカマツに似る。葉の長さは最大20cmに達し、日本産種では長め。クロマツよりも早く成長し潮風・乾燥によく耐える。球果は受粉2年後の秋遅くに熟す。マツ材線虫病に弱く枯死が問題化している。種小名は沖縄の古い呼び名「琉球」に由来。沖縄ではマチ、マーチなどと呼ばれる。 バビショウ P. massoniana 秦嶺山脈以南の中国各地からベトナム、台湾にかけて分布。樹高40mに達する大型種で針葉は2葉。漢字では馬尾松と書き、その名の通り生枝の先が馬の尾を思わせる形。中国のマツ類の中では大型になるため治山だけではなく木材採取などの経済目的での植林も盛ん。 モンタナマツ P. mugo ムゴマツと呼ばれることもある。日本でいうハイマツに相当する地位を占める種でヨーロッパの高山に分布。 ヨーロッパクロマツ P. nigra 地中海沿岸諸国のうちトルコ、バルカン半島、スペインなどに分布。いくつかの亜種・変種に分けることが多い。樹高は20mから最大50mに達する中大型種。種小名nigraは黒色を意味する。 レジノーサマツ P. resinosa アメリカ合衆国東部・カナダ原産。針葉は2葉でアメリカ大陸のマツとしては非常に珍しく、他にP. tropicalisが知られるのみ。英名はRed Pine(赤いマツ)でその名の通り、樹皮の赤みが強い。種小名resinosaは樹脂のあるの意味 ヨーロッパアカマツ P. sylvestris オウシュウアカマツ(欧州赤松)とも呼ばれる。学名のsylvestrisは森林に分布を意味する。ヨーロッパからシベリアにかけての広い範囲に分布し地方名も多い。 アブラマツ P. tabuliformis 中国原産で中国語では「油松」と呼ぶことから、和名でもこの名前で呼ぶことがある。他にマンシュウクロマツ、マンシュウアカマツなどの表記もあるがはっきりとしない。乾燥地での緑化等に使われる。種小名は「テーブルの様な形の」の意味 ニイタカアカマツ P. taiwanensis 台湾の標高700 -3000mの山岳地帯に分布。樹高30mに達し現地では重要な林業用樹種である。日本が台湾統治中は在来クロマツの3倍という松脂の採取量が多いことで注目されていた。アジア産種でありながらマツ材線虫病に極めて強いという。 クロマツ P. thunbergii 日本原産。樹高30m程度の中型種。樹皮はアカマツよりも赤みの無い茶色。針葉は2葉でアカマツよりも太く長く硬い。沿岸部の防風・防砂のために江戸時代から植栽された記録が残る。アカマツに比べて耐塩生は高いという報告が多い。このため海岸のマツというイメージがあるが、三陸海岸のようにアカマツの方が優勢な地域や北海道の海岸のようにマツ類ではなく、広葉樹のカシワ (Quercus dentata) を用いる地域もある。マツ材線虫病(松喰い虫)には非常に弱く、アカマツ以上に弱いという報告が多い。 P. tropicalis カリブ海に浮かぶキューバ島に分布。アメリカ大陸ではpinus亜節は珍しく、本種のほかにはレジノーサマツP. resinosaが知られるのみ。分布域は広葉樹が優勢な熱帯ではあるが、酸性貧栄養の土壌では本種が優占種となり独自の生態系を形成するという。 P. yunnanensis 中国西部に分布、種小名は中国の地名である雲南に由来。樹高30mに達するという、針葉は三葉。中国名は雲南松や長毛松。 中国の黄山に生えるPinus hwangshanensis 水辺の岩場に生えるアカマツ(Pinus densiflora) フィリピンのカシヤマツ Pinus kesiya 海沿いに生えるクロマツ(Pinus thubergii) ウクライナのモンタナマツ Pinus mugo
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