Australes亜節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/19 02:03 UTC 版)
亜節名Australesは「南方の」の意味、含まれる種はその名の通りアメリカ南東部(大半がアパラチア山脈以南)からカリブ海の島々にかけて分布。このグループは各種ともに比較的分布域が重なること、交雑可能である組み合わせが多いことなどからOocarpae、Ponderosaeの各グループと共に比較的最近分化したグループと見られている。晩生球果の性質を持つものが一部にある。 P. caribaea カリブ海沿岸諸国原産。東南アジア等でも移植栽培されている。東南アジアの栽培地では、横枝が出ないまま主軸ばかりが数年間にわたって伸び続ける現象が報告されており、まるでキツネの尾のように見えることからFoxtailingなどと呼ばれている。 P. cubensis キューバ島東部の山岳地帯に分布。P. occidentalisと近縁で、別種ではなく変種程度の関係なのではないかとする意見もある。 エキナタマツ P. echinata フロリダ半島を除くアメリカの南東部に広く分布。低温にも比較的強くニューヨーク付近までは分布する。針葉は三葉で長さは8-10cm程度とアカマツ・クロマツとほぼ同じだが、このグループ内では短い方であり、英名Shortleaf pine(短い葉のマツ)と呼ばれる。 スラッシュマツ P. elliottii 和名は英名slash pineの直訳。アメリカ合衆国南東部原産。雄花は鮮やかな赤色、熟した球果は細長くテーダマツによく似るが、より光沢がある。 モミハダマツ P. glabra フロリダ半島の付け根からミシシッピ川下流にかけて分布。英名Spruce Pine(トウヒの様なマツ)。学名のglabraは一般に無毛・平滑を表わす単語。針葉は2葉で5 cm程度とかなり短いこと、樹皮は近縁種ほど派手に割れずにトウヒやモミのように細かく割れるため、和名・英名ともにここからきていると思われる。生態面ではかなり耐陰性が強く、荒れ地に純林を形成するというより広葉樹林の中に転々と生えるという。 P. occidentalis 西インド諸島のイスパニョーラ島に分布。種小名は「西方の」を意味するoccidentalに由来。 ダイオウマツ P. palustris アメリカ合衆国南東部原産。漢字では大王松と書き、ダイオウショウと呼ばれることもある。名前の通り非常に大きくなり、樹高は50mを超えることも。針葉は3葉でこれまた40cm以上になり垂れさがることから英名はLongleaf Pine(長い葉のマツ)と呼ばれる。極めて耐陰性が低く、火災の発生が次世代更新の条件となる。種小名のpalustrisは「沼に住む」の意味がある。 P. pungens アパラチア山脈沿いに分布。樹高15m未満のことが多い小型種で針葉は二葉稀に三葉。種小名のpungensは「尖った、針のような」の意味で名前の通り球果の棘は大きく非常に鋭い。 リギダマツ P. rigida このグループでは最も北方まで分布する種で合衆国北東部のカナダとの国境付近まで分布。厚い樹皮、幹の不定芽が発達しており幹から直接葉を出す、球果は卵型で樹上に永く残るなど火災に適応したと見られる形態を見せる。ただし、後述のP. serotinaと異なり、球果は成熟後すぐに開いて種子を散布してしまうという。英名Pitch pineは樹脂の多さに由来。ミツバマツ、アメリカミツバマツなどとも呼ばれることもあり、その名の通り三つ葉である。 ヌママツ P. serotina 和名は英名Pond pineの直訳。アメリカ合衆国南東部原産でリギダマツより南に分布する。リギダマツに酷似しており、別種ではなく亜種と考える学者もいる。球果はリギダマツ同様樹上に永くとどまるが、開く条件がリギダマツよりも厳しく、晩生 (serotiny) であり火災などに乗じて開くという。種小名もこれに由来。 テーダマツ P. taeda 比較的水辺を好むマツといわれ、英名Loblolly PineのLoblollyは湿地を指すという。樹高50 m以上まで非常に大きくなる種で、製材やパルプを目的とした林業用の樹種としてもよく用いられる。球果は細長く種鱗には鋭い刺を持つ。日本で流行しているマツ材線虫病に強く、一時期日本での導入も検討された。和名は種小名に由来し、そのtaedaは松明の意味。 モミハダマツPinus glabraの樹皮 鋭い棘を持つPinus pungensの球果 長い葉を持ちイネ科の草のようなダイオウマツ(Pinus palustris)の苗木 リギダマツなどが主体となるニュージャージー州のマツの純林地帯 Pine barrens
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