JR化から1990年代以降の動向
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「ブルートレイン (日本)」の記事における「JR化から1990年代以降の動向」の解説
JRに継承された施策のうち、大きなものとしては、1988年に開業した青函トンネルと、瀬戸大橋を経由して運行される列車の運行がある。このうち前者にあたる「北斗星」は、個室寝台を中心にした編成、専用色とした「青に3条の金帯」への塗色変更、食堂車の時間指定を行うなど、従来の列車とは著しく異なった列車として紹介され、当時のバブル景気の風潮に乗った豪華列車として成功した例となり、「トワイライトエクスプレス」や「カシオペア」に繋がるものとなった。 このため、以降青函トンネルを通過するため運行経路・経由地から"青函ブルトレ"と通称されることとなったが、「トワイライトエクスプレス」以降、車両塗色が青を基調としないものとなった関係で、これ以降「寝台列車」=「ブルートレイン」の構図は崩れた格好となった。 なお、「あさかぜ1・4号」(運行当時)でも先に述べた「北斗星」のパイロット版として、列車のグレードアップが試行されたが、運行車両会社の思惑により、元祖たる"九州特急"を含む東海道・山陽本線経由の寝台特急については、1990年代半ば以降、前記施策の継承はほとんど見られなくなった。 "九州ブルトレ"については、まず1993年3月18日のダイヤ改正で食堂車の営業が中止され、その後1994年12月3日のダイヤ改正で歴史ある「あさかぜ1・4号」と「みずほ」が臨時列車に格下げ(その後いずれも廃止)となったのを皮切りに、運行区間の短縮や複数列車の併結化による運行本数の削減が進められた。 2000年代後半からは九州ブルトレだけでなく関西 - 九州間や東京 - 中国地方間のブルトレについても急速に縮減が進められた。背景には、新幹線や航空機などの普及で需要が大幅に減少し、夜間に乗務員や駅員を確保することによるコスト、車両運行に必要な乗務員訓練のコスト、距離を走るため複数の鉄道会社をまたぐための調整コストを賄えなくなった赤字事業になったことにある。そのため、車両の老朽化と合わせて、続々と廃止されていった。 2005年3月1日のダイヤ改正で「さくら」「あさかぜ」が、同年10月1日には「彗星」が廃止され、翌2006年3月18日のダイヤ改正では「出雲」が廃止された。 2008年3月15日のダイヤ改正では「なは」「あかつき」が廃止され、関西 - 九州間のブルトレが消滅した。また、最後まで寝台急行として残っていた「銀河」も同時に廃止された。 2009年3月14日のダイヤ改正では、「はやぶさ」と「富士」が廃止されたことにより、東京駅発着の元祖「ブルートレイン」は全廃となり、東海道本線、山陽本線および九州島内からブルートレインが消滅した。牽引機であるEF65形やEF66形などといった電気機関車も、旅客列車の定期運用がすべて消滅している。 JR東日本の調査によると、2005年における東京から西へ向かうブルートレイン運行路線全体の利用状況は、JR発足年である1987年の利用者数と比較すると、21%にまで落ち込んでいた。 一方で、高速道路網や新幹線の整備が遅れていた北陸・東北方面は、西へ向かう列車に比べて比較的高い利用率を上げていた。しかし、1994年12月3日のダイヤ改正で「つるぎ」が廃止されたのを皮切りに、1990年代後半から廃止や統合が相次いだ。 1997年3月22日の秋田新幹線開業に伴うダイヤ改正で奥羽本線(秋田駅以南)を経由する「あけぼの」が廃止される。(但し「あけぼの」の列車名は羽越線経由の「鳥海」を改称する形で存続。) 2002年12月1日の東北新幹線盛岡〜八戸の開業により「はくつる」が廃止となる。 2008年3月15日のダイヤ改正では「北斗星」、「日本海」が減便されたが、これは青函トンネルを北海道新幹線に供用する工事のための間合い時間の確保」とされた。 2010年3月13日のダイヤ改正では、「北陸」が廃止となった。 2012年3月17日のダイヤ改正では「日本海」が定期運行を終了し、臨時列車に格下げとなったが、2013年冬季以降は運行されなくなった。 2014年3月15日のダイヤ改正では「あけぼの」が定期運行を終了し、臨時列車に格下げとなったが、2015年夏季以降は運行されなくなった。 一方で2009年より、「北斗星」「カシオペア」等の牽引用として、EF510形電気機関車(500番台)が新造されている(詳細は該当記事を参照)。しかし、このころの列車廃止の説明として、国鉄時代からの主力車両であった14系・24系客車の老朽化があると説明されるケースが出てくるようになる。
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