高橋財政
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ミッチェルは自身のブログで、高橋財政の政策効果を分析した先行研究に基づいた上で、高橋の政策効果がMMTと整合的であるとしている。
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高橋財政
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 00:06 UTC 版)
高橋財政はケインズ以前のケインズ政策だといえ後世の研究者に評価されている。恐慌からの脱出を図り、昭和金融恐慌と昭和恐慌を収めることに成功する。当時はリフレ政策という用語は一般的ではなく、インフレ政策と呼ばれていた。 若田部昌澄は「昭和恐慌という大デフレ不況から脱出したとき、高橋是清によってリフレ・レジームへの転換が起きた」と指摘している。 石橋湛山は『湛山回想』で「日本経済は、1931年の金輸出再禁止以降、貿易の増進・財政の膨張によるリフレーションによって、物価の上昇・生産の増加が起こり、景気が振興した」と指摘している。 ベン・バーナンキは、日本が大恐慌時に金融引き締め効果を発揮する金本位制を離脱し、不況からいち早く脱出したことや、高橋是清が行なった日銀国債引き受けを有効な政策として評価している。田中秀臣は「金本位制と日銀の国債引き受けは、『デフレ・レジームとしての井上財政』から『リフレ・レジームとしての高橋財政』への転換であった」と指摘している。 高橋是清の国債の日銀引き受けについて、岩田規久男は国債の日銀引き受けを行った際のインフレ率(年率換算)は最大でも6.5%であり、最後の2年間は2%程度でしかなく、アベレージをとればマイルドインフレであったと述べている(1931年12月-1936年2月の消費者物価は2.0%)。さらに岩田はこの時の実質経済成長率が最良時で10%だったことや、当時の世界恐慌から真っ先に経済を回復させた事実を挙げ高橋財政をマクロ政策の成功例としてとらえている。 田中秀臣、安達誠司は「日銀の国債の引き受け発行を開始した1932年11月25日から、二・二六事件による暗殺が起きた1932年2月26日の約5年間の高橋蔵相在任期間の平均インフレ率(GDPデフレーター)は2.4%と安定的に推移している。恒常的に年率10%のインフレが続いたのは、高橋蔵相暗殺後に本格的な戦時体制が確立されてからであり、実質的に軍部が政治的実権を握り、軍事費が膨張したためである」と指摘している。 田中秀臣は「歴史的な経験を言えば、昭和恐慌期にリフレ政策を行った後、国債価格は下がってはいるが、暴落ではなく非常に安定的に推移している。国債の暴落は起きていない」と指摘している。 ジャーナリストの笠信太郎は、石橋湛山・高橋亀吉らが主張していた「リフレ政策」を批判し、高橋是清による金本位再禁止・金融緩和によるデフレ脱却に否定的であった。笠は、日本銀行によるマネーサプライの管理では、物価水準を決定することはできない、リフレ政策の帰結がやがて植民地獲得への意欲に至ると主張していた。 高橋亀吉は「高橋蔵相のリフレーション政策は、政策当局が先手を打ち自主的判断したものではなく、世論の圧力に強要されて着手されたものである。それが政策当局への不信を生み、軍部による戦費調達のための公債の膨大な発行と、それが戦後もたらした高率なインフレーションの元凶となった」「軍事費の著増が、(経済再建および社会投資目的の)本来のリフレーション政策の代役をやったことは、後日の大戦突入という日本の悲劇の発足点ともなった。このことが軍部をして、巨額の軍事費公債の発行がインフレ的物価騰貴とならず、むしろリフレーション効果を無限に発しうるがごとく錯覚させ、他日の無軌道な軍事公債発行に走らす重大因子となったからである」と語っている。 田中秀臣は「高橋是清も石橋湛山らリフレ派の一部も、昭和恐慌を脱した後は『公債発行・軍事支出の抑制、インフレ懸念の払拭』という政策への転換を考えていた」と指摘している。田中は「テロリズムが一国経済の命運を決定したという事実は『高橋財政が戦時体制の拡大を招いた』という俗説に隠された」と指摘している。 経済学者の中村宗悦は「歯止めのない軍事費膨張は、高橋が暗殺された『二・二六事件』以降のことである。歴史の『先後関係』のみに着眼してしまうと、戦争前のあらゆる経済政策は戦争への道を開いたものになってしまう」と指摘している。 経済学者の香西泰は「昭和恐慌からの脱出はすべて高橋是清の功績と言うのはどうなのか。すでに情勢が変わっていたこと、満州事変が勃発していたことなども考慮しないと評価が偏る」と指摘している。
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