青春のポスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 08:04 UTC 版)
2012年4月に聖蹟桜ヶ丘駅前に設置された、映画で登場する「地球屋」風のモニュメント「青春のポスト」も、スタジオジブリが版権の使用を許可していないため、あくまで「風」である。2005年のイベント開催時からモニュメント像を設置する声が上がっていたが、キャラクターの像を建てる場合には版権が問題になる。そこで作品の世界観そのものではなく、そこから派生させた「ファンの青春を応援する」というテーマで検討されることになった。『耳をすませば』は中学生の男女を主人公とした青春賛歌であり、「自らの目標に向かって努力する」要素があることから、ここに願い事や決意を投函してもらう「青春のポスト」として実現したのである。スタジオジブリからも「風」であれば問題ないとする見解を得られている。 青春のポストは、せいせき観光まちづくりのシンボル的な存在である。「耳をすませば」のオマージュであるが、ファンの青春を応援するという派生的コンセプトに基づいており、新たに創出された独自の観光資源となっている。 青春のポストは「耳をすませば」の「地球屋」という建物を模している。本体は幅76cm・奥行き57cm・高さ83cm、アルミ鋳造一体成型、基礎部分から最上部の風見鶏まで高さ210cm。内部は2層構造で、1階部分には手紙の投入口がありメッセージを預かるようになっている。2階部分は地球屋をイメージした内装になっている。室内はLED照明がタイマー設定により夕方から午前0時ごろまで点灯する。普段は内部非公開だが、「せいせき桜まつり」や「せいせき朝顔市」などのイベント時に限り開帳され、内部の様子を見ることができる。基礎部分に使い方の銘板が埋め込まれている。活用方法は、(1) ファンが願い事をポストに投函する、(2) ポストはファンの努力を見守る、(3) ファンは願いが叶うと報告のメッセージを改めて投函する、という流れである。投函されたメッセージは桜ヶ丘商店会連合会が厳重に保管している。青春のポストの維持・管理は、せいせき観光まちづくり会議が手伝っている。 青春のポストの設置以前にも、「耳をすませばキャラクターグッズ展」「耳をすませば井上直久展」「耳をすませば図書館展」などが開催された。一方で、他のマンガやアニメのモデル地では作品のキャラクターを活用した観光まちづくりが盛んになってきていた。聖蹟桜ヶ丘にも何かモニュメント像を建てたらどうかという声が出て、2007年秋ごろから模索が始まった。問題はスタジオジブリが版権の二次的利用を基本的に認めないことだった。「耳をすませば」のキャラクターを用いたモニュメント像を建てることは出来ない。地元は独自のアピール方法について議論を煮詰めた。その結果、作品世界の再現ではなく、作品の世界観から派生したテーマを前面に打ち出すアイデアが浮上した。「耳をすませば」は中学生の男女を主人公とした青春賛歌であり、自ら定めた目標に向かって努力するという要素が付加されている。ファンが聖蹟桜ヶ丘を訪れる動機に、この要素への共感もあると考えられた。「ファンの青春を応援する」というコンセプトを固めた。具体的には、訪問者の夢や目標を書いたメッセージを受け入れ、これを実現するまでの努力を見守るという方法である。モニュメントの実現を求める耳すまファンの声は2010年9月から2011年10月ごろまで色紙に集められた。色紙の題は「耳をすませば聖蹟への想い」であった。延べ2,223名が書いた146枚の色紙はスタジオジブリに届けられた。 2011年9月、スタジオジブリはこのコンセプトで問題ないという見解を示した。公認しないが異議も挟まないという見解であった。モニュメント「青春のポスト」が現実化した。桜ヶ丘商店会連合会が「多摩市新元気を出せ商店街事業」補助金の交付を受けて設置主体になった。予算総額は300万円で、多摩市と東京都から3分の1ずつ補助を受けた。モニュメント本体はジブリ作品の立体化に実績のあるアレグロが制作した。2012年4月8日に完成披露セレモニーを挙行した。主人公役の声優の本名陽子のほか、多摩市長、聖蹟桜ヶ丘駅長、桜ヶ丘商店会連合会会長が出席した。同日より、聖蹟桜ヶ丘駅の接近メロディに「カントリーロード」が採用されたが、これは京王電鉄と多摩市の協力によって実現した。 2012年7月7日、せいせき朝顔市で聖蹟桜ヶ丘訪問記念スタンプが披露された。地元の商店会の発案により作られた3か所の風景スタンプである。同年11月5日よりスタンプ台紙が一新され、せいせきA館2階京王ストア、ファミリーマート、洋菓子店ノアの3か所にスタンプが置かれた。 2013年6月8日に放映された出没!アド街ツク天国で紹介された。青春のポストは聖蹟桜ヶ丘30件中30位であったが、大きな反響があった。ほかに、耳をすませば舞台巡りが6位に、耳をすませば風景スタンプが13位に、いろは坂が29位にランクインした。
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