電7形・附3形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 06:08 UTC 版)
「愛知電気鉄道電7形電車」の記事における「電7形・附3形」の解説
愛知電気鉄道としては初採用となる、リベット組み立ての鋼製車体に木製の内装や屋根を組み合わせた、いわゆる半鋼製車である。 外板は1/16インチ(1.5875 mm)厚の軟鋼板を使用し、柱はU字断面の鋼材を組み合わせ、床板は木材を敷き詰めている。メーカーカタログでは車体重量12.3 t、名鉄時代の公称自重は31.50 tとされ、同時代の16 m級半鋼製車としては比較的軽量にまとまっている。 なお、電7形同系車である伊勢電気鉄道デハ121形は搭載機器の相違からか、メーカー実測自重が33.4 t、公称自重が29.5tとなっている。 最大寸法は全高4,167 mm・全幅2,641 mm・全長16,888 mmで、運転台は前後車端部の妻面向かって右側にそれぞれ設置する。側面の窓配置は1 2 D (1) 8 (1) D 2 d(d:乗務員扉、D:客用扉、(1):戸袋窓)で、運転台側には乗務員扉が無く、車掌台側のみ433 mm幅の狭い引戸による乗務員扉を設置するという珍しいレイアウトとなっている。戸袋窓を含め全て710 mm幅に揃えられた各側窓の上下にはそれぞれウィンドウヘッダー・ウィンドウシルと呼ばれる補強帯が露出して取り付けられており、1,016 mm幅の片引式客用扉は低いプラットホームに対応するため、扉下部に乗降用ステップを内装している。なお、客用扉はドアエンジンを備えず手で開閉する手動扉である。 台枠は主に形鋼によって構成されている。背骨にあたる中梁をほぼ車体全長にわたって貫通させ、これと直交するように置かれた横梁をつなぎ板で結合し、各横梁の端部をつなぐ側梁を車体側板との接合部付近に渡している。このため同時期の鋼製車で広く採用されていた、強固で台枠中央部の垂下に強いがその重量が過大気味になる魚腹台枠は採用されていない。 妻面は平妻形状とし中央に貫通扉を設けた3枚窓構成で、窓下にウィンドウシル、窓上に細いウィンドウヘッダーがそれぞれ取り付けられているのは側面と同様である。窓は客用扉・戸袋窓・妻窓を含め高さ中央付近に中桟を入れた、あるいは2段上昇式として高さ中央付近で2分割した、いわゆる2段窓で統一されている。ただし運転台脇の側窓に限っては下段を下降式としている。また客室部の側窓は戸袋窓を含め、下段下部に転落防止用の保護棒が2本取り付けられている。 前照灯は同時代の一般的な路面電車と同様に、白熱電球を収めた取り付け式の筒型灯具を1組、貫通扉窓下の専用金具に引っかけて装着・固定する構造となっており、標識灯もこの時代の私鉄電車の一般的な仕様に従い妻面の車掌台側妻窓下に1灯のみ備える。 屋根は屋根高さ3,625 mmの浅いシングルルーフで、後継のデハ3300形(屋根高さ3,700 mm)より75 mm低く後年編成を組んだ知多鉄道デハ910形(屋根高さ3,713 mm)より88 mm低い。また後述するデハ3090形は屋根高さ3,620 mmと電7形よりさらに5 mm低い。 屋根上にはほぼ全長に渡って2列の歩み板(ランボード)が設置されており、車体の両端部には枕木方向にも各1列のランボードが設置されている。このため、パンタグラフはこのランボードに三方を囲まれるようにして、一方の台車心皿中心と集電舟の中心を一致させて設置されている。さらにこのパンタグラフの両側面に各1列ずつ小型のランボードが設置され、パンタグラフの無い側の車端部にも同様に小型のランボードが設置されて対称配置とされており、2基目のパンタグラフを搭載するためのパンタ台も設置されている。ただし電7形においては図面上でも完成した実車でも2基目のパンタグラフは搭載しておらず、また附3形については屋根上ランボードの配置は電7形と共通ながらパンタグラフは搭載していない。通風器はガーランド式で左右のランボードの下に等間隔で設置されている。 客室は客用扉間の中央部側窓6枚分に24名分の対面配置固定クロスシートを備え、その前後の客用扉を挟んだ前後2枚ずつの側窓に該当する部分にロングシートを設置、ロングシートおよび客用扉部分の床面に主電動機点検用のトラップドアと呼ばれる点検蓋を設ける。固定クロスシート部の背摺面間間隔は1,414 mm、各座席の奥行きは457 mmで、ロングシートも座席奥行き482 mmとなっており、メーカーカタログにおいても「特ニ座席ヲ(クロスシート)トシテ乗客ノ乗心地良キ様製作セリ」と座席の乗り心地の良さを強調している。天井は中央部のみ一段高くなった浅いモニター屋根構造で、電6形以前の木造車の構造設計をそのまま踏襲した。室内灯は電6形と同様に白熱電球を収めた灯具を等間隔に6基を天井の中央に配置し、これらの灯具は通風器の通気口と一体構造としている。つり革は両端のロングシート部分にのみ設置されている。1両あたりの車両定員は120名、座席定員は50名を公称する。 塗装は愛知電気鉄道標準のマルーンを基調として、四囲に装飾を施している。
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