難波駅 - 泉佐野駅間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 14:20 UTC 版)
始発の難波駅は9面8線、のりばは1 - 9番線の構造を持ち、南海本線の列車はこのうち5 - 8番線の西側4線を使用する(9番のりばは8番線の降車側で、特急ラピートの専用のりば)。難波駅を発車するとすぐ右にカーブし、右手になんばパークス(旧大阪スタヂアム〈大阪球場〉跡地)・ヤマダ電機LABI1なんば・クボタやニコニコのりの本社社屋・南海電気鉄道本社の入る南海なんば第1ビルなどを、左手に日本橋電気街(でんでんタウン)などを見ながら、阪神高速1号環状線をくぐり、高野線の各駅停車のみが停車する今宮戎駅(南海本線側にホームはない)を通過、国道25号を越え、左手に通天閣が見えると程なくJRとの接続駅であり全列車停車駅の新今宮駅に着く。新今宮駅と2駅先の天下茶屋駅の南海本線下り線ホームは、ともに高野線の上り線と島式の同一面ホームである。新今宮駅の下を通るJRの大阪環状線・関西本線(いずれも高架線)を高々架で跨ぎ、左右に釜ヶ崎あるいはあいりん地区と称されるドヤ街を、また左手遠方には高さ日本一の高層ビル・あべのハルカスを望みながら、やはり高野線の各駅停車のみが停車する萩ノ茶屋駅(南海本線側にホームはない)を通過すると、全列車停車駅である天下茶屋駅。かつてはこの駅から天王寺支線が分岐していたが、1993年に大阪市営地下鉄堺筋線(現在のOsaka Metro堺筋線)が同駅まで延長されてからは、その一部区間が代替を担っている。1980年までは南海の車両工場もあったが、同年高野線千代田に移転し、跡地には大阪フィルハーモニー交響楽団の練習場やスーパーマーケットが建っている天下茶屋を出て高野線の事実上の本線が左に別れると同時に、右側から同線の事実上の支線である通称「汐見橋線」が近づいてくると島式ホームの岸里玉出駅。岸里玉出駅は、高野線ホームが長い連絡通路を経た東側に、汐見橋線の単式ホームが本線の西側にある構造。この駅を境に線路は線路別複々線から方向別複々線となり、緩急分離運転が行われる。またこの複々線区間では住ノ江検車区への出入庫の回送電車も多く列車密度が高い。粉浜駅を過ぎて左側に住吉大社の社地が、右側に住吉公園が見えると住吉大社駅、国道479号(大阪内環状線)を乗り越えながら右にカーブをすると右側に住ノ江検車区を併設する住ノ江駅。複々線区間はここで終了し、右から近づいてくる阪神高速15号堺線を斜めにくぐりながら大和川橋りょうを渡って堺市に入り、地下を通る阪神高速6号大和川線を乗り越えながら右にカーブをすると七道駅に至る。駅手前のカーブの右側には、阪神高速の鉄砲出入口の掘割とイオンモール堺鉄砲町があるが、この場所は富士フイルムホールディングスの源流でもあるダイセル化学工業(撤退当時の名称。現在の「ダイセル」)の発祥の地である同社本社・大阪製造所堺工場の跡地であり、旧社屋にあった「堺セルロイド」時代からの赤レンガ建築の古い建物が、同モール敷地内にモニュメントとして残っている。七道駅を出て、ほぼ直線状にしばらく進むと最初の緩急接続駅である堺駅に着く。 堺駅を過ぎると周辺には住宅地や商業地のほかに、阪神高速4号湾岸線や、堺泉北臨海工業地帯の工場群が右側の車窓に近づき、また左手遠方には仁徳天皇陵や履中天皇陵とされている巨大な墳丘が見えるようになる。堺市の目抜き通りの一つであるフェニックス通り(国道26号。大阪中央環状線とも重複)を乗り越えた後、湊駅、石津川駅を過ぎて石津川を渡ると、線路は難波からここまで続いてきた高架を下りて地上に移る。上下ホームが千鳥式に配置された諏訪ノ森駅に近づく頃から、あたかも阪神間モダニズムを想わせるような高級住宅街が線路の周辺に見え始める。右側に浜寺公園が見えると阪堺電気軌道阪堺線をくぐって浜寺公園駅。この駅の旧駅舎と諏訪ノ森駅上りホームの駅舎は国の登録有形文化財に登録されている。線路はその後仮線を経由して高架へ移る。高石市に入り、程なく高師浜線・JR羽衣線(阪和線支線)との乗り換え駅である羽衣駅に着く。この駅手前左側の高架上に、JR羽衣線の東羽衣駅がある。かつてこの周辺が海水浴場などを有する行楽地であったことから、1990年代まで、羽衣駅の周辺には大規模な観光旅館がいくつか存在したが、現在はいずれも廃業し、姿を消している。またこの駅付近の踏切は、JR阪和線を建設した阪和電気鉄道と南海との熾烈な競争の象徴でもあったが、南海の連続立体交差事業(高架化)に伴い、先述の通り2021年5月をもって廃止された。 高架化工事のため長期運休中の高師浜線の線路は、しばらく高架下右側を並走するが、やがて同線は高架に上がりながら右側に別れる。新興住宅街の間をしばらく進むと待避線のある高石駅。線路はその後地上に降り、堺泉北道路をくぐると線路は泉大津市に入って北助松駅。府道富田林泉大津線の跨線橋をくぐった後すぐに高架に上がり、松ノ浜駅、続いて島式2面4線の泉大津駅に至る。泉大津駅は急行以下の種別の停車駅であるが、例年夏期に周辺で大規模な野外ロック・フェスティバルが開かれるため、当日には一部の特急列車が臨時停車するほどの賑わいを見せる。 泉大津を出ると線路は左にカーブをする。大津川を渡ると線路は地上に下り、忠岡町に入ると同町唯一の駅である忠岡駅に達する。すぐに岸和田市に入り、府道岸和田牛滝山貝塚線の跨線橋をくぐりながら右にカーブをすると、右側に岸和田競輪場が見えて春木駅に至る。かつて春木駅は春木競馬場の最寄り駅でもあったが、現在は岸和田市中央公園となっている。和泉大宮駅を過ぎて高架を上がり、右にカーブをすると、岸和田だんじり祭の時期に大きな賑わいを見せる岸和田駅に着く。 岸和田を出ると再び右にカーブをして、右側に岸和田城を見ながら高架を下りると蛸地蔵駅、さらにカーブを繰り返しながら貝塚市に入ると、水間鉄道水間線との乗り換え駅である貝塚駅に至る。水間線が左に別れた後、南海の線路はやがて高架に上がるが、府道岸和田牛滝山貝塚線を乗り越えて左右にカーブをすると程なく地上に下りる。このあたりから徐々に住宅地のほかに田園地帯が広がり始める。二色浜駅を過ぎると線路はその後しばらくの間ほぼ直線状になり、関西国際空港の玄関口である泉佐野市に入って鶴原駅、井原里駅と続く。その間に、右前方にはりんくうゲートタワービルやりんくうプレジャータウンSEACLEの大観覧車が見え始める。線路は程なく高架を上がり、右にカーブをすると、空港線との乗り換え駅であり、また大阪市内駅をのぞく南海本線唯一の全種別停車駅でもある泉佐野駅に着く。この駅は待避設備のほかに乗り換え専用ホームを有する島式3面4線の構造となっており、ダイヤ上も和歌山市方面と関西空港方面の列車が容易に対面乗り換えできるように配慮されている。 大和川橋りょうを渡る特急「ラピート」。直上を阪神高速が斜めに立体交差する 石津川を渡る列車 泉佐野駅ホーム。空港線との乗り換えの利便性を図るため島式3面4線となっている
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