変成岩
【英】: metamorphic rock
岩石を成因的に分類すると、火成岩、堆積岩{たいせきがん}、変成岩の三つに大別される。変成岩は火成岩、堆積岩、それに既存の変成岩が地下の深所で高温、高圧の条件にさらされたり、化学的環境の変化に応じて、おおむね固体の状態で、鉱物組成や化学組成、組織あるいは構造が変化して形成された岩石の総称である。片麻岩、片岩、千枚岩、ホルンフェルスなどがこれに属する。油・ガス鉱床とは関係が少なく、むしろ基盤岩となっていることが多い。 |

変成岩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/13 19:33 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動変成岩(へんせいがん、英: metamorphic rock)とは、既存の岩石が変成作用を受けてできた岩石のことである[1]。変成岩の原岩は火成岩、堆積岩など種類は問わず、変成岩がさらに変成作用を受ける場合もある[2]。
変成岩は、原岩になった岩石の種類と、受けた変成作用の性質により分類される。変成作用の主な要因は熱と圧力で、変成作用の種類により温度と圧力の条件が異なる。
接触変成岩
接触変成岩(せっしょくへんせいがん、英: contact metamorphic rock)は、マグマの貫入に伴って、周囲の岩石がマグマからの熱により変成を受けてできる変成岩である[3]。熱変成岩(ねつへんせいがん、英: thermal metamorphic rock)ともいう。通常は地殻の比較的浅い部分で起こる現象のことを指す場合が多く、圧力が低く温度の高い条件下で安定な鉱物が形成される。また、広域変成岩よりは変形を受けることが少ないため、方向性のある構造を持たないことが普通である。
広域変成岩
広域変成岩(こういきへんせいがん、英: regional metamorphic rock)は、源岩が地下深部で高温高圧下にさらされて形成される変成岩である。過去のプレート境界に関連して、同時期に一連の変成作用を受けた岩石が千km以上に渡って分布することもあるので、接触変成作用より広い範囲で起こる変成作用という意味合いで、広域変成作用という言葉が用いられる。広域変成岩は高温の条件下で剪断応力をうけることが多いので、片麻岩や結晶片岩のように縞状構造を持ったり、鉱物が特定方向に並んで成長するなど、岩石に方向性のある構造が見られることが普通である。
広域変成作用については、その温度・圧力条件、とりわけ温度圧力勾配により分類が行われる。すなわち圧力(深さ)のわりに温度の高い高温低圧型、圧力のわりに温度が低い低温高圧型、その中間の中圧型である。さらに低温高圧型のなかでも、コース石やダイヤモンドなどを産し、特に深部まで潜った岩石が上昇してきたものを超高圧変成岩とよぶ。このように温度圧力条件を重要視するのは、それが変成作用の起こった場を知る手掛りになるからである。たとえば、低温高圧型変成岩の多くは、沈み込むプレートおよびそれに引きずられて深部に潜った岩石が再び上昇してきたものであると考えられる。
変成帯
広域変成作用はプレート境界において起こることが多く、しばしば帯状の分布域を持つ。そのようなものを広域変成帯という。
動力変成岩
断層運動に伴って、短時間岩石の温度や圧力が上昇したり、また変形を受けてできる岩石のことを動力変成岩(どうりょくへんせいがん、英: dynamic metamorphic rock)と呼ぶことがあるが、余り使われない用語である。さらに、過去において広域変成岩の結晶片岩などを動力変成岩と呼ぶこともあったので、その点でも注意を要する。
- マイロナイト(圧砕岩)
- 偽玄武岩はり
衝撃変成岩
衝撃変成岩(しょうげきへんせいがん)は、隕石の落下などによる局所的超高圧で生じた変成岩。
脚注
参考文献
- 都城秋穂、久城育夫『岩石学II - 岩石の性質と分類』共立出版〈共立全書〉、1975年。ISBN 4-320-00205-9。
- 黒田吉益、諏訪兼位『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』共立出版、1983年。 ISBN 4-320-04578-5。
- 橋本光男『日本の変成岩』岩波書店、1987年。 ISBN 4-00-005764-2。
- 益富壽之助『原色岩石図鑑 全改訂新版』保育社、1987年。 ISBN 4-586-30013-2。
- 豊遙秋・青木正博『検索入門 鉱物・岩石』保育社、1996年。 ISBN 4-586-31040-5。
- 周藤賢治、小山内康人『記載岩石学 : 岩石学のための情報収集マニュアル』共立出版〈岩石学概論〉、2002年。 ISBN 4-320-04639-0。
- 榎並正樹 『岩石学』 共立出版〈現代地球科学入門シリーズ〉、2013年。 ISBN 978-4-320-04724-2。
関連項目
外部リンク
変成岩
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代表的な変成岩エクロジャイト 角閃岩 結晶質石灰岩 結晶片岩 蛇紋岩 千枚岩 片麻岩 ホルンフェルス マイロナイト ミグマタイト Category:変成岩 詳細は「変成岩」を参照 既に形成された岩石(原岩)が最初にできたときとは異なる条件(高温・高圧など)下で、変成作用を受けて鉱物組成や組織(内部構造)が変化して形成される。火山の火道などでマグマに接触し変化した接触変成岩、マグマからやや離れたところで変化したり、プレートテクトニクスによってプレートが潜り込む地点付近で圧力によって変化した広域変成岩、断層運動などで変化した動力変成岩などが存在する。この他に、かんらん岩が熱水により変質作用を受けて出来た蛇紋岩もある。 以上の3大類型に分類された岩石は、より詳しい成因、あるいは化学組成や構造などにより、さらに細かく区分される。しかしながら、生物や鉱物の分類とは異なり、岩石の特徴は連続的に変化しているため、その分類上の境界は人為的なものに過ぎない。通例、岩石は複雑な過程を通じて生成されるため、その成因について、どの作用を最も重視するかにより、成因的分類は移ろう場合がある。たとえば、海洋性玄武岩が変成してできる緑色岩を例にとると、もとはマグマ起源の物質から生まれたので火成岩といえるが、海底に堆積した点では堆積岩といえなくもないし、変成作用を受けて緑色の変成鉱物を含んでからは変成岩ともいえる。つまり、岩石の生成史において、着目すべき点が変われば、成因による分類上の所属も変わるということである。また、分類体系とは関係なく、実際の野外調査においては、研究者ごとに異なる「野外名」 (field name) が付けられることも多く、たとえ同種の岩石であったとしても、岩石の特徴の識別・記載が行われた時期や地域が違うと、別の岩石名が用いられる例もある。そのため、記載された地域や時期に隔たりのある岩石同士の対比・比較が容易でなかったり、同一の岩石に複数の名称と定義づけが為されていて混乱を招いたりといった問題も生じている。これを解消するため、国際地質科学連合 (IUGS) により、まずは深成岩、のちに火成岩に関して、岩石の客観的定義と名称を定めた統一的な分類体系(QAPF図はその産物)がまとめられているが、完全には定着していない。
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「変成岩」の例文・使い方・用例・文例
- 片麻岩は変成岩の一種で、独特の縞模様がある。
- (特に変成岩の)薄い葉状の層あるいは層を持っているさま
- 変成岩
- 大理石は、磨くとよく艶が出る変成岩である
- 角閃岩と斜長石を主成分とする変成岩
- 火成岩および変成岩から得られる暗褐色から黒色の雲母
- 弱い磁性を持った黒色の鉱物で、変成岩および深成岩に存在する
- 火成岩および変成岩に広く存在する、結晶性のケイ酸塩鉱物の総称
- 泥灰土とほとんど同じ成分でできた変成岩
- 粘土や岩石に熱が作用して生成された、きめの細かい変成岩
- 薄い層に分離可能な、きめの細かい変成岩
- 火成岩および変成岩に存在する茶色または黄緑色の橄欖石
- 花崗岩に似た薄板状の変成岩
- 薄層に分かれる変成岩
- 磨くとよく艶が出る固い水晶の変成岩
- 結晶片岩という変成岩石
- 接触変成岩というマグマの貫入による変成作用により生じた岩石
- 変成岩という岩石
- 領家変成岩という岩石
- ホルンフェルスという変成岩
變成岩と同じ種類の言葉
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