詩と童謡とは? わかりやすく解説

詩と童謡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 00:34 UTC 版)

不思議の国のアリス」の記事における「詩と童謡」の解説

本作品に挿入されている詩や童謡多くは、当時よく知られていた教訓詩流行歌パロディになっており、元になっている作品若干例外除いて今では忘れ去られている。以下特にタイトルのないものは書き出しを示す。 「黄金色昼下がりに…」 (All in the golden afternoon ...) :巻頭掲げられている献呈詩。全体として、この物語成立発端となった1862年7月24日ボート遊びと、そこで3人姉妹お話せがまれ情景詠んでいる。 「小さなの、なんと…」 (How doth the little crocodile ...) :第2章で、教訓詩暗誦ようとしたアリスがなぜか間違えてそらんじてしまう、小さな磨きあげる様子描いた戯詩。アリス暗誦ようとしたのは、著名な賛美歌作者アイザック・ウォッツ(1676-1748) の、当時もっともよく知られていた詩「怠惰悪戯心に抗って」 (Against Idleness and Mischief) であり、「小さなの」はこの教訓詩パロディになっている原詩蜜蜂の熱心な働きを讃えて勤勉称揚する内容。 「ヒューリーがネズミ言った、…」 (Fury said to a mouse, That ...) :第3章で、アリス請われネズミが、自分を嫌うようになった理由として披露する詩。一種カリグラムになっており、この部分は文字ネズミ尻尾のようにうねって配列されている。内容は、あるネズミフューリーから、突然告訴すると言い立てられ陪審員裁判官自分担当して死刑してやる脅されるという不条理なもので、登場しないキャロル詩人テニスンから、長い行から始まってだんだん詩行が短くなってゆく妖精の詩夢に見たという話を聞いたことがあり、これがこの詩の着想のもとになっている手書き本『地下の国のアリス』では、この部分犬と猫連れ立ってマットの下のネズミたちつぶしてしまうという、もっと話の流れ合った内容のものであった。 「もう年だろう、ウィリアム父さん、…」 ("You are old, Father William" ...) :第5章で、イモムシ促されて教訓詩暗誦ようとしたアリス誤ってそらんじてしまう戯詩で、ナンセンス詩の傑作として評価されているものの一つ老年達したウィリアム父さんが、にもかかわらず逆立ち宙返りといった驚異的な身体能力見せるので、その秘訣息子から問われてそれに答えるというもの。アリス暗誦ようとしたのは、同じ詩句ではじまるロバート・サウジー教訓詩老いた男の安楽、それはいかにして得られたか」(The Old Man's Comforts and How He Gained Them) であり、「ウィリアム父さん」はそのパロディになっている原詩は、ウィリアム神父 (Father William) が老年の健康で静謐な生活の秘訣若者から問われて、若いころ慎み深い信仰生活の大切さにあると答えるというもの。 「幼な子どなりつけろ、…」 Speak roughly to your little boy...) :第6章公爵夫人赤ん坊の子守唄として唄う幼な子手荒く扱うように勧める内容の詩。元になっているのは「優しく語りかけよ」 (Speak Gently) という、様々な人に優しい言葉をかけることの大切さ説く感傷的な詩で、当時は非常によく知られていた流行であった。この原詩作者確定しておらず、フィラデルフィアのデイヴィッド・ベイツ説、アイルランド生まれのジョージ・ワシントン・ラングフォード説などがあったが、1986年になって、「D・B」と署名されたこの詩が1845年新聞掲載されていたことがわかり、現在ではベイツ説が有力となっている。 「きらきら光る、お空のコウモリ…」 (Twinkle, twinkle little bat...) :第7章帽子屋アリス披露するお盆のように空を飛ぶコウモリのことを唄った唄。帽子屋は、これを音楽会唄ったところ女王不興買って死刑宣告されたと説明する。この唄は現在でもよく知られている童謡きらきら星」のパロディである。この原詩18世紀フランスシャンソンを基にして、19世紀初めにジェーン・テイラーが作った替え歌The Star」であり、マザー・グース一つにも数えられる。なおキャロルオックスフォード大学同僚数学教授に「コウモリ」とあだ名される、難解な講義をすることで知られていたバーソロミュー・プライスという人物がおり、この戯詩は彼の講義対す風刺になっているらしい。 「もう少し早く歩けないか、…」 ("Will you walk a little faster?" ...) :第10章で「ロブスターカドリール」を実演しながら代用ウミガメ唄う唄で、子カタツムリ海辺ダンスに誘うという内容。この詩はメアリー・ハウィット(英語版)による、古い唄の言い回し踏まえた蜘蛛」という詩の出だしをもじったものになっている原詩蜘蛛螺旋階段の上に来るよう誘うというもの。 「ロブスター喋っている…」 (Tis the voice of the lobster, ...) :第11章で、アリス代用ウミガメグリフォン促されて自分でもわけがわからずに諳んじてしまう詩。アリス暗誦ようとしたのは前述アイザック・ウォッツによる、怠惰戒める教訓詩怠け者」(The Sluggard) であり、原詩ものぐさな人の見苦しい生活を詠んだのであるが、アリスはこれをロブスター身だしなみ整えたり、フクロウと豹がパイ取り合ったりするわけの分からない内容にしてしまう。 「海亀のスープ」 (Turtle Soup) :第11章終わり代用ウミガメ唄うひたすら海亀スープ讃える唄。元になっているのは、夜空美しい星讃えるジェームズ・M・セイルス作詞作曲流行歌「夜の星、美しき星」(Star of the Evening, Beautiful Star) である。キャロル1862年8月1日日記に、リデル姉妹がこの唄を唄ってくれたとある。 「ハートの女王」(The Queen of Hearts) :第12章裁判場面で布告役の白ウサギハートジャック罪状として読み上げる詩。これは1782年4月の『ヨーロピアン・マガジン』に掲載されていた4連からなる詩の最初の4行を手を加えず流用したもので、キャロル使用したことで有名になりマザー・グース一つ数えられることになった使用部分ハートの女王作ったタルトハートジャック盗んだというもので、もとの詩ではハートキングからスペードクラブダイヤ続いていく。 「君は彼女のところに行って…」 (They told me you had been to her...) :第12章白ウサギジャック犯罪証拠として読み上げるあいまいな指示代名詞のためにほとんど理解不能ナンセンス詩。ハートの王この内容をこじつけてジャックの罪に無理やり結び付けようとする。これはキャロル1855年に『ロンドン・コミック・タイムズ』に発表した8連のナンセンス詩をかなり改変して使用したのである改変前の詩の最初の行は、ウィリアム・ミーによる感傷的な流行歌「アリス・グレイ」の第一節真似ているが、ミーのこの歌はアリスという名の少女思いを寄せる男を歌ったものであった

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