代用ウミガメ
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代用ウミガメ(だいようウミガメ、Mock Turtle)またはにせウミガメ、ウミガメモドキは、ルイス・キャロルが1865年に発表した『不思議の国のアリス』に登場する架空のキャラクターである。この名前は、ビクトリア朝時代に人気だった料理「モックタートルスープ」に由来する[1]。
不思議の国のアリス
それから女王は、息を切らしながら話を終え、アリスに言った。「代用ウミガメはもう見たか?」
「いいえ」とアリスは言った。「代用ウミガメが何なのかも知らないわ。」
女王は「それはモックタートルスープの原料だ」と言った[2]。
キャロルはヴィクトリア朝時代のファッションやエチケットを題材にした洒落を好み、頻繁にそれを表現した。ジョン・テニエルの挿絵は滑稽な趣を与えている。モックタートルスープが本物のカメのスープの味を真似るために子牛の頭と足で作られた代用スープであることから、テニエルはカメの体と前ひれ、そして子牛の頭と足を持つ生物を描いている[3]。
アリスはグリフォンと共に代用ウミガメに遭遇する。代用ウミガメは非常に憂鬱な性格で、その陰気な態度はかつて本物のカメだったことに由来すると見られる。代用ウミガメはアリスに、海の学校に通っていた頃のことを話す。先生はトータスと呼ばれる老いたウミガメだったと言い、アリスが、カメなのになぜトータスと呼ばれるのかと尋ねると、代用ウミガメは「教えてくれたからトータスって呼んだんだよ!」と答える[4](「トータス」と「教えてくれた」はどちらも標準英語では[tɔːtəs]と発音される)。 発音 )[5]。
脚注
- ^ Gardner and Burstein, p. xv
- ^ Carroll, p. 137
- ^ Davidson, p. 510
- ^ Carroll, p. 142
- ^ “tortoise”. Oxford English Dictionary (3rd ed.). Oxford University Press. September 2005. (要購読、またはイギリス公立図書館への会員加入。)
出典
- キャロル、ルイス(1998) [1865]. 『不思議の国のアリス』.アリス:100周年記念特別版. ロンドン: マクミラン. ISBN 0-333-72272-8。
- デイヴィッドソン、アラン(1999年)『オックスフォード・コンパニオン・トゥ・フード』(初版)オックスフォード:オックスフォード大学出版局。ISBN 978-0-19-211579-9。
- ガードナー、マーティン、マーク・バースタイン編 (2015). 『注釈付きアリス』(150周年記念版). ニューヨーク: WW Norton. ISBN 978-0-393-24543-1。
代用ウミガメ
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「不思議の国のアリスのキャラクター」の記事における「代用ウミガメ」の解説
「:en:Mock Turtle」、「:en:Mock turtle soup」、および「:en:Turtle soup#England」も参照 ハートの女王に半ば命令されたアリスが、グリフォンに連れられてその身の上話を聞くことになる生き物。第9章では、かつて本物のウミガメであった頃に受けたさまざまな授業科目(これらはキャロルの言葉遊びによる、実際の初等教育のパロディになっている)を涙ながらに語り、第10章では「子だらの歌」「ウミガメのスープ」の歌を披露する。 英語では "Mock Turtle(モックタートル)" といい、日本語では「代用ウミガメ(だいようウミガメ)」「にせウミガメ」などと呼ばれる。"Mock Turtle" という名称は、実際にあった "mock turtle soup"(意:海亀スープもどき、海亀スープの模造品)というスープの名から採られたものである。モックタ-トルスープなるものは、緑色をしている海亀スープ (green turtle soup) の代用として当時よりかなり前に開発されていた模造品 (mock) で、高価な貴重品になっていた海亀の肉の代わりに仔牛の頭部を食材として作られる。つまり、海亀スープの模造品から本来存在しない「代用ウミガメ」を創作したのである。テニエルの挿絵では、海亀に牛の頭、後ろ脚、尻尾をつけた姿で描かれる。この姿は、キャロルの友人ダックワースの発案であったという。涙もろい代用ウミガメと気さくなグリフォンは、涙もろく情に流されやすいオックスフォード人気質を揶揄したキャラクターである。 代用ウミガメの話の中で言及される、週に一度だらけ方 (Drawling)、伸び方 (Stretching)、とぐろを巻いて気を失う方法 (Fainting in Coils) を代用ウミガメに教えに来たアナゴの先生は、ジョン・ラスキンを指していると考えられる。ラスキンは実際に週に一度リデル家にやってきて、素描 (drawing)、写生 (sketching)、油絵 (painting in oils) をその子息に教えていた。痩せて面長であったラスキンは確かにアナゴを思わせるところがある。
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