階級と教育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 15:00 UTC 版)
「アリス (不思議の国のアリス)」の記事における「階級と教育」の解説
作中の様々な描写からは、アリスはヴィクトリア朝時代のイギリス社会における新興の中産階級「ジェントリ」の、なかでも特に裕福な部類に属する家庭の少女であることがわかる。例えば『不思議の国のアリス』の第9章では、アリスは「代用ウミガメ」が語る身の上話に対し、自分も毎日学校に行っているときっぱり述べ、さらに経済的に余裕がなく正課しか取れなかった代用ウミガメとは対照的に、正課以外にフランス語と音楽を習っていると話す(一方でその知識の浅さと実用性の薄さは、女子に対して真剣な学問知識を要求しなかった当時の中産階級の一般的な女子教育観の反映でもある)。アリス自身にも意識があり、同第2章にて自分がクラスメートのメイベルになってしまったのではないかと訝る場面では、「小さくて汚い家」に住んでいるその家庭の子供になることを好まなかったという。また前述9章の場面で代用ウミガメに「洗濯は習っていないのか」 (And washing?) と聞かれて憤慨するが、洗濯を学ぶのは良いことではないと思われたためであると考えられる。 キャロルはもともと『不思議の国のアリス』の主要読者層として中産階級の子女を想定しており、主人公のアリスもまた中産階級の少女であることを強く意識していた。原型となった話を聞かせた相手であるアリス・リデル自身、オックスフォード大学の学寮長を父に持つ裕福な中産階級の少女である。後述するようにテニエルが描いたアリスの服装も、当時の中産階級の少女が好んで着ていた当時の普段着であり、必ずしもキャロルやテニエルの個人的な好みを反映したものではなかった。
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