裏ソフトラバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 06:14 UTC 版)
シートの平らな面を外向きにしてスポンジと貼り合わせたラバー。ボールとの接触面積が大きくなるためボールに回転をかけやすく、あらゆる打法にも対応できるため、現在においても最もよく使われているタイプのラバーである。 高弾性・高摩擦系 シートは薄くて粒はやや細くて高めの設計なので、粒がスポンジに食い込みやすく、スポンジの反発力でボールを飛ばすと同時に、シート表面の摩擦力を利用して引き連れ効果を起こしてボールに回転を掛けることで、高い弾性と摩擦力を実現する。弾道の安定性が良く、伸びのあるドライブを打つのに適している。40年以上もの長い歴史を持っているのでロングセラーラバーが多い。過去には、シートの合成ゴム比率を上げることで弾みを向上させたラバーや、高弾性・高摩擦系の特徴を生かしてテンション系ラバー並みの高い弾性を有する2.6mmの超極厚スポンジ採用のラバーなど個性的なラバーも開発された。かつては最もシェアの高いラバーであったが、ノングルー化に伴ってテンション系ラバーが普及したために使用者は減少している。近年に登場したラバーは、生産技術の改良で従来のものより高い弾性と摩擦力を実現している。日本のメーカーの得意分野。 テンション系 シート及びスポンジを構成するゴム分子に負荷(テンション)がかかった状態を作り出しており、ボールが食い込んでからの速い復元力と強烈なシートの引き連れ効果によって、従来の高弾性・高摩擦系と比べて高い弾性と摩擦力、高い打球音を実現している。そのため、ラバー寿命が短くなりやすい。シートの形状は高弾性・高摩擦系ラバーに準ずるが、一部のラバーではシートが厚くて粒が低くて太く、粒の太さもルール上で認められているギリギリの太さにすることで、台上卓球に適したテンション系ラバーも登場している。弾道が直線的で、鋭く曲がったカーブドライブやシュートドライブ等を打つのに適しているが、打球時に棒球が多くなりやすく、ソフトなラバーだと復元力の遅さから回転量不足に陥りやすく、弾みの制御が難しくなるという側面も持ち合わせている。メーカーによっては、ハイテンション型、エネルギー内蔵型などの様々な呼び名がある。登場してからの歴史は浅いが、トップ選手の間では使用者が多く、グルーの使用が禁止となった2008年以降は「回転系テンションラバー」が登場したことで、現在では最も主流となっているラバーである。しかし、近年ではラバーの高性能化と耐久性向上に伴い価格も高騰化している。ドイツ、日本のメーカーの得意分野。スピード系テンション テンション系では最も歴史が長い。全般的にシートが柔らかいのでシートが変形しやすく、球が食い込んでからのレスポンスが非常に鋭いので、軽打時でも高い弾みを有するが、強打時にエネルギーがロスしやすい。全般的に鋭いレスポンスのお陰で弾性は高いが、回転を掛ける技術に乏しいと打球時に棒球が出やすい。しかし、打法によってはシートの引き連れ効果によって強烈な回転を掛けることが可能である。シェークのバック面や中国式ペンの裏面に貼るのに適している。 回転系テンション 天然ゴム比率が高いシートと気泡の大きいテンションスポンジを組み合わせたタイプのラバーである。スポンジがラバー硬度よりも若干柔らかいので球が食い込みやすく、シートが通常のテンション系と比べてシートが少し厚くて粒が若干太くて低くシート表面に摩擦力があるので回転が掛かりやすい。シートの硬さとスポンジの柔らかさが絶妙なラバー設計のお陰で軽打時、中打時、強打時で弾みと回転の緩急が付けやすいが、全般的に球が食い込むレスポンスに優れている一方で食い込んでからのレスポンスが非常に遅いので、手首主体の打法が非常にやりづらく、スポンジが柔らかいほど食い込んでからのレスポンスがさらに遅くなるために、打球時に球が浮いてオーバーしやすい。ノングルー以降では最も主流となっているラバーである。 回転系テンションのうち、いわゆる「曇り系」、「マット系」と言われているものは、天然ゴムで構成された硬いシートに強いテンションを掛けたものを指すことが多く、従来の回転系テンションよりも回転が多く掛かりやすいが、シートが硬いため重量が重く、スポンジが硬いものになると粘着系ラバーと遜色ない硬さとなる。シートが非常に硬いことから、シェークのバック面では非常に扱いづらいが、カット主戦型や日本式ペンには待望のラバーであるといえる。 粘着系 シート表面に粘着性があり、シートが厚めで粒が低くて太いものが多く、粒配列も縦目のラバーだけでなく横目のラバーもあるため、同じ厚さの他種のラバーと比べると重量が重めで弾性が低いものが多い。粘着が強いものでは、ボールを付けても落ちないものもある。粒が低い上にスポンジが硬いものが多く、ボールが食い込みにくいので、ラケットの面を添えて当て擦ることでボールに強烈な回転を掛けるのに適しており、ボールがラバーに触れる時間が長くなるため、クセ球が出しやすく、回転量に変化をつけやすい反面、相手の回転の影響を受けやすい。また、他のラバーと比べて非常にデリケートで、シート表面に粘着があるので市販のラバークリーナーが使えないというデメリットがある。一方で、各メーカーから発売されているラバー保管用の粘着シートを使用してラバーを保管することで、シートの粘着力を強化することが可能である。主に中国系の選手が使用しており、日本国内においてもドライブ主戦型やカット主戦型選手などに使用者が多い。中国のメーカーの得意分野。強粘着系、微粘着系、超微粘着系 シート表面の粘着の強さによって分類されることがある。粘着が強いほど回転量が多くなりやすいが打球スピードが低下しやすい。 粘着系テンション 粘着系ラバーとテンション系ラバーの性能を併せたような、従来の粘着系ラバーよりも高弾性であることを売りにしたタイプのラバーである。また、前述の気泡の大きいテンションスポンジを採用した粘着系回転系テンションラバーも登場しており、粘着系の欠点だったボールの食い込みが改善されており、当て擦りのドライブ打法などが非常にやりやすい。 極薄系 粘着質のシートと粒が低いシート形状の特性を生かして、極薄スポンジと組み合わせることで「粒高ラバーもどき」の性能を実現した粘着系ラバー。粘着ラバーの特徴である回転量とクセ球に加えて、粒高ラバーのような変化をつけることが可能であるが、弾みが非常に弱く回転の影響も大きいので、専らペン粒に向いた仕様である。 コントロール系 柔らかいスポンジとシートを用い、ボールコントロールがしやすいように設計されたラバー。扱いやすく、安価で長寿命な事が多いため、初心者などを含め技術を身につける際に使用されることもある。一方で反発力と摩擦力が低いため、競技段階では威力不足の感があり使用している人は少ない。
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