蒐集家として
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大正期以降、潤治が古典籍をはじめ美術品を積極的に蒐集するようになったのは、育英事業を推進していた増村度次(朴斎、私立有恒学舎(現・新潟県立有恒高等学校)創設者)や山田辰治(愛山)といった同郷の地主たちに触発されたためといわれる。当初は趣味の延長から始まったが、やがて潤治は史料や古典籍の蒐集を通じて歴史学界へ貢献するという使命感を抱くようになっていった。東京へ移住したのも、全国より史料が集まりやすい場所だからという理由であった。 潤治は蒐集活動において、東京帝国大学史料編纂所に勤めていた三上参次や辻善之助を顧問に迎え、同郷の竹越與三郎・萩野由之・布施秀治や吉田東伍など、国文学では松田武夫、仏教では南条文雄といった学者たちを別荘に招いて助言を聞き、推薦や賛成を得てから作品購入を決定した。また、蒐集した所蔵品の一部を東京や郷里の高田図書館(現・上越市立高田図書館)で開催された展示会へ出品したほか、史料編纂所が高額な名品の購入・蒐集を潤治に依頼し、閲覧できるようにしてもらうこともあったという。さらに、結果的には実現しなかったが、将来は自分の蒐集品をもとにして史料館を設立・一般公開することも構想していた。ただし、彼の蒐集方針には偏りもあり、国宝や重要美術品になるような数百円から数千円する高価な重宝ばかりがその主な対象となる一方、十分な内容や価値を有していても百円以下の品を顧みることはほとんどなかったという。 なお、反町茂雄は著書『天理図書館の善本稀書』や『一古書肆の思い出』シリーズにおいて、戦前から戦後まで続いた潤治との取引について回想している。それらによれば、潤治は上記のように学者から意見を事前に聞き、賛同を取り付けた上で購入を決めていたため、反町が雑司ヶ谷の保阪邸へ古文書・古写本を届けに行くと、応対は丁寧ながらも潤治が商品に関する質問や実見しての感想を発することはほぼなく、1 - 2分ほどで観察を済ませた後は即座に小切手を反町に渡し、最後に当たり障りのない雑談を4 - 5分間して終了するという流れで取引が進んだ。反町は、価格の高低を問わず高価な書物をいつも即金で購入していた潤治について、「大変にありがたいお客様」、「千円級のお客様」ではあったと評するものの、同じく彼の顧客であった中山正善・2代目安田善次郎・上野精一らに比べてその購買の姿勢は「同好のよしみが欠け」、「どこか張合いのない感じ」で「温かい意思の疎通が少な」かったと記しており、保阪邸での用事を終えた後には「この商売は、売ってお金が儲かりさえすればよい、というものではない。物に対する理解と愛情の共通性があってほしい。良い書物を手に入れた満足と、然るべき向きへ納めたよろこびとの、心置きない交歓を持ちたい」と常に感じていたと述べている。しかし、戦後に情勢が一転して蒐集品を売却せねばならなくなると、潤治は戦前から付き合いがあった反町ら3、4人の古書業者を鎌倉の邸宅に招いた上で一点ずつ入札させる方式をとり、できるだけ高い売値がつくように彼らと小さい駆け引きを繰り返して交渉を長時間粘り強く行うという、購入時の淡白な姿勢とは反対の態度を見せた。反町は、潤治からの買取入札では、業者としては骨を折った末にようやく割高な仕入れをした形になったが、それは戦後当時の潤治が逆境にあったためで、彼の粘り腰は悪意に基づくものでも不当な対応でもなかったと理解を示し、取引では潤治の態度が丁寧で明るかったこともあってか、後味の悪さが残ることはなく、かつ彼に対する敬意も失われなかったと述懐している。 以上のように、反町は潤治の取引姿勢に対しては複雑な感慨を抱いていたが、やはり第一級の名品を多数蒐集していたことについては高く評価しており、「保坂潤治さんは、すぐれた蒐集家でした」と振り返っている。
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蒐集家として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/03 03:32 UTC 版)
蒐集家としても知られ、テレホンカードは元「テレカ収集協会」会長で多数の著書もある。こけしのコレクターでもあり、その数は一時1000本にもなった。東京こけし友の会会員。 著書(松田英孝名義)『テレホン・オレンジカード・カタログ』(徳間書店 1986年8月)ISBN 978-4194032962 『テレホンカード・カタログ』(徳間書店 1987年6月)ISBN 978-4194034676 『テレカ大図鑑94』(学研プラス 1994年11月)ISBN 978-4056007763 『テレカ大図鑑95』(学研プラス 1995年11月1日)ISBN 978-4056011258 『テレカ大図鑑96~97』(学研 1997年4月)ISBN 978-4056014938 『テレホンカード鑑定ブック』(竹内書店新社 1999年7月)ISBN 978-4803500639 『テレホンカード鑑定ブック 2000』(竹内書店新社 2000年9月)ISBN 978-4803503074
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