繁殖と発育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 14:29 UTC 版)
サラグモの交接。 求愛中のサソリモドキ。 幼生を背負うサソリ。 抱卵中のウミグモ。 鋏角類の中で様々な繁殖行動が見られ、クモガタ類の中では特殊な求愛行動をもつ分類群もいくつかある。配偶子のやりとりとして、ザトウムシ類は交尾(雌雄生殖器の連結を通じて行う)、他のクモガタ類は交接(精包の受け渡しなど、交尾以外のあらゆる方法で精子をメスの生殖孔に入り込む)、カブトガニ類とウミグモ類は体外受精を通じて行う。原則として卵生だが、サソリは卵胎生である。卵や幼生の世話をする保育行動は、クモガタ類とウミグモ類で普遍に見られる。 他の節足動物と同様、鋏角類は脱皮で成長し、幼生は多くの場合では成体と同じ体節数と付属肢数で生まれる。例外として、生まれたての多くのダニ類とクツコムシ類は6本の脚のみをもち、後に脱皮してから8本脚となる。ウミグモ類はプロトニンフォン幼生(protonymphon)という成体らしからぬ特殊な形態で生まれ、脱皮を通じて徐々に脚をもつ体節を増やして成体に近い姿に変態する。また、性成熟を迎えると成長が止まるもの(カブトガニ類、多くのクモガタ類など)と、性成熟になっても脱皮し続けられるものがある(オオツチグモのメス、ウデムシなど)。欠損した付属肢は通常では次の脱皮である程度まで再生できるが、付属肢の再生能力を欠く分類群もある(ザトウムシなど)。
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繁殖と発育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 05:43 UTC 版)
様々なシャコ類の幼生 繁殖行動を全面的に記載された種類は少ないが、特殊な性質はいくつか知られている。多くの場合、繁殖期は月周期に同調する。交尾の前に、雌雄両方もしくは片方が一連の求愛行動を示している。これは種類によって異なり、触角でお互いを触れ合う・雄が第1顎脚で雌を撫でる・お互いの体を横でくっつける・捕脚を広げてディスプレイ(meral spread、前述参照)をするなどが知られている。多くの場合、雄が雌に求愛し、雌がそれを受け取るか拒否する側だが、少なくとも一部の種類(例えば Pseudosquilla ciliata)は逆で、雌が求愛側、雄が選ぶ側になっている。 交尾の際、雌雄はXの字型のようにお互いの体を生殖器の所(オスの第8胸節、雌の第6胸節)で交差させる。雄はここでペニスを雌の生殖孔に挿入し、中央の袋状器官に精子と雌生殖孔を塞ぐ物質を注ぎ、産卵まで精子はここに貯蔵される。配偶関係は種類により一夫一婦制、もしくは雌雄のいずれかが複数の個体と交尾を行う。前者の場合、少なくとも交尾から産卵までの期間は、雌雄が同じ巣穴で同居して他の個体からの侵入を防ぎ、たまに更なる交尾を重ねる。体型が性的二形(捕脚と眼は雄の方が大きい)なトラフシャコ科は一夫一婦制が特に進み、雄はほとんどの捕食をして餌を雌に分けて、中で同居の雌は未性成熟と思われる例もある。産卵の時、卵は生殖孔に排出される直前で貯蔵される精子と触れ合って体内受精をし、体外でセメント腺から分泌した粘液に卵塊としてまとめられる。雌は卵塊を顎脚で抱いて、孵化まで餌も取らずに保護する。新鮮な海水を当てて付着生物にくっつけられないように、雌は卵塊を定期的に動かしている。 甲殻類として一般的なノープリウス幼生期はなく、成体と同じ体節数で生まれる。孵化から成体までの齢期(ステージ)は、生息様式に応じて大まかに前浮遊期(propelagic stage)・浮遊期(pelagic stage)・雛シャコ(juvenile, postlarvae)の3段階にまとめられる。雛シャコは成体に似るが、前浮遊期と浮遊期は独特な姿で、華奢な体に対して背甲は大きく、額角と両後端は長い棘に発達した。前浮遊期は負走光性で往々にして卵黄をもち、機能的な歩脚と鰓は無く、浮遊期まで親の巣穴の内壁に付着する。親の巣穴から出てプランクトンとして生活する浮遊期は、少なくとも歩脚以外の付属肢は機能的な形で、齢期を重なるほど顎脚の副肢が小さく、遊泳肢の鰓が発達する。前浮遊期と浮遊期の齢期は振れ幅が大きく、総数は種類により3(例えば Heterosquilla tricarinata)から11(例えばシャコ (Oratosquilla oratoria))まで及ぶ。浮遊期の最終期は原則として次の脱皮で雛シャコに変態し、着底して成体のような底生生活を送る。一部の種類(例えば Gonodactylus bredini)は、幼生最終期と雛シャコの間に中間的な付加期(supernumerary instar)がある。 前浮遊期と浮遊期はそれぞれ「antizoea」と「pseudozoea」、および「erichthus」と「alima」の4タイプが知られ、種類により「antizoea → erichtus」(トラフシャコ上科)・「pseudozoea → erichtus」(フトユビシャコ上科、ヒラメホソユビシャコ上科、Eurysquilloidea)・「pseudozoea → alima」(シャコ上科)のいずれかの組み合わせを経て成長する。各タイプの詳細は次の通り。 タイプ分類群複眼第1触角鞭状部顎脚歩脚遊泳肢尾肢antizoeaトラフシャコ上科?オオメシャコ上科 眼柄なし、背甲に密着 1 第2-5顎脚ほぼ同形、外肢あり 未発達 晩期ほど発達、鰓未発達 未発達 pseudozoeaシャコ上科フトユビシャコ上科ヒラメホソユビシャコ上科Eurysquilloidea 眼柄あり、背甲から突出 2 第3-5顎脚未発達 未発達 鰓未発達 未発達 erichthusトラフシャコ上科フトユビシャコ上科ヒラメホソユビシャコ上科Eurysquilloidea 眼柄あり、背甲に覆われる 3 第3-5顎脚晩期ほど発達 晩期ほど発達 鰓晩期ほど発達 晩期ほど発達 alimaシャコ上科 眼柄あり、背甲から突出 3 第3-5顎脚晩期ほど発達 晩期ほど発達 鰓晩期ほど発達 晩期ほど発達
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繁殖と発育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 07:30 UTC 版)
卵は発見できず、繁殖行動も観察されていないため、詳細は不明。バハマで採集されたノープリウス幼生の研究から、少なくとも8つのノープリウス期があること、発生過程のかなり遅くまで摂食せずに卵黄の栄養に依存すること、体節数は発生過程で徐々に増えていくことが判明しているが、その生活史の全容は解明されていない。
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繁殖と発育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 16:39 UTC 版)
抱卵中のウデムシの1種 幼生を背負う Paraphrynus sp. 繁殖行動としては、触肢で求愛や婚姻ダンスを行うことが知られている。多くのクモガタ類と同様、真の交尾は行わない。雄は縦長い精莢(spermatophore)を排出し、雌は生殖肢でそれを受け取り、生殖孔に付けて交接を完成させる。種によって10-90個の卵を産み、卵塊として雌の後体腹面に張り付いて保護する。孵化直後の幼生は雌の後体背面に登り、単独活動できるまではそこで過ごす。幼生は特に触肢は赤くて成体より派手な体色をもち、成長に連れて徐々に地味な色に変化するものが多い。また、脱皮直後の体色は鮮やかな種類も多い。 一般のクモガタ類とは異なり、成体期は生活環の大部分を占め、雌雄共に性成熟を迎えても脱皮を続けて成長する。多くの種類の寿命は不明であるが、飼育下では10年以上におよぶものがある。自切などの経由で失った付属肢は、次の脱皮で再生する。
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繁殖と発育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 04:12 UTC 版)
ヒヨケムシの精子のやり取りは多くのクモガタ類と同様、真の交尾ではなく、精包の受け渡しを通じて行う「交接」となっている。なお、ヒヨケムシは唯一に鋏角で精子の受け渡しをする鋏角類であり、交接中の雌が硬直する・雄が雌に噛み付くなど、独特な配偶行動もいくつか知られている。しかし2021年現在、12科約140属約1,100種のうち5科9属17種のみ詳細な繁殖行動が記載されるため、全面的な情報は限られている。
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繁殖と発育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 07:38 UTC 版)
詳細は「脱皮」および「変態」を参照 求愛行動・交尾或いは交接・メイトガード・護卵など、節足動物は分類群によって様々な繁殖行動を持つ。原則として有性生殖を行う卵生動物であるが、サソリやアブラムシなど、単為生殖と卵胎生の例も知られている。 成長に伴い古い外骨格の下で新しい外骨格を形成し、脱皮(Ecdysis)を通じて古い外骨格から抜け出して成長する。新しい外骨格は柔らかく、固くなるのも時間が掛かり、脱皮直後の節足動物は無防備である。そのため節足動物の脱皮は常に隠れ場所で行うことが多い。中でも古い外骨格を摂食して栄養を回収する種類や、一部のクモは脱皮直後のメスを狙って交接することが知られる。 節足動物の幼生は基本的に成体と似たような外見を持つが、甲殻類のノープリウス幼生や昆虫の幼虫など、成長の過程で著しく形態が変化する変態(metamorphosis)を行う分類群も少なくない。昆虫の成虫になる脱皮過程は羽化(Eclosion)と呼ばれる。一部の節足動物、例えば多足類の中には、成体になるまで脱皮に伴って体節と脚の数を増やせ、いわゆる増節変態(anamorphic development)を行うものがある。 ハエトリグモの求愛ダンス 護卵するムカデ 幼生を背負するサソリ クルマエビ科のノープリウス幼生 羽化直後のアブラゼミ成虫 ヨーロッパミヤマクワガタの生活環 ヒョウモンドクチョウの生活環
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