紺紙著色金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図とは? わかりやすく解説

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紺紙著色金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図

主名称: 紺紙著色金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図
指定番号 155
枝番 0
指定年月日 2001.06.22(平成13.06.22)
国宝重文区分 国宝
部門種別 絵画
ト書
員数 10
時代区分 平安
年代
検索年代
解説文:  各幀はそれぞれ紺色染めた紙を二枚継いだ上に金泥経文宝塔の形に書き左右および下方紺紙足し金銀泥および彩色により経意を絵画化した場面配している。さらに上下金銀泥による宝相華文帯を継いでいる。上部に付けられた文様帯の中央短冊形画し金泥で「最勝王経巻第一塔」等と題を記している。宝塔九重で、経は塔の最上部、相輪頂上から起筆している。塔の初層に説法相の釈迦如来一体を描いている。塔の下辺および諸所風景背景礼拝する人物描かれているが、多くは唐装の王侯もしくは貴人男女およびその侍者たちの姿である。
 各幀とも中央に二紙を縦に継いだ本紙宝塔表しているが、この二紙分は周囲の紙と地色明度異なっており、始め宝塔書いた二紙の周囲に、紺に染めた紙を継ぎ足し、絵を描いたとみられる上下宝相華文帯はさらにその後足されたものであろう。各幀の宝塔同寸同型であり、型紙使用推測されている。
 各幀は一巻分の経文書写している。すなわち、第一幀には序品第一如来寿量品第二第二幀には分別三身第三夢見金鼓懺悔第四第三幀は滅業障第五第四幀は最浄地陀羅尼第六第五幀は蓮華喩讃品第七・金勝陀羅尼第八・重顕空性品第九・依空満願第十四天王観察人天第十一、第六幀は四天王護国第十二、第七幀は無染著陀羅尼第十三・如意宝珠第十四・大弁才天女品第十五之一、第八幀は大弁天女第十五之二・大吉天女第十六・大吉祥天女増長財物第十七・堅牢地神第十八・僧慎爾耶薬叉大将第十九・王法正論第二十、第九幀は善生王品第二十一諸天薬叉護持第二十二授記第二十三・除病品第二十四長者流水第二十五第十幀は捨身第二十六十方菩薩讃歎第二十七・妙幀菩薩讃歎第二十八菩提樹讃歎第二十九・大弁才天讃歎第三十・付属品第三十一、以上である。
 唐の義浄訳『金光明最勝王経』十巻は、代表的な護国経典として奈良時代に特に篤く信奉され平安時代以降読誦写経され続けた本図制作背景不詳であるが、この経を弘布する国王があれば四天王弁才天がその国土擁護し人民安穏ならしめると本経説かれており、本図でも四天王あるいは財福神としての女天が繰り返し描かれていることから、奥州経営安穏藤原氏願って制作発願したことが推測される
 中尊寺関連の経絵としては清衡願経といわれる金銀字交書一切経和歌山金剛峯寺ほかに分蔵)、基衡願経法華経静岡妙立寺ほかに分蔵)、秀衡願経金字一切経岩手・大長寿院ほかに分蔵)などが知られている。これらの見返絵と比べると、本図は秀衡願経とともに本格的な絵画と言うべき出来映え示しているが、両者では画風若干異なっている。ただし、本図では宝塔初層内における釈迦如来細緻描いている一方で霊鷲山はじめとする風景説法図等に、経典見返絵に共通する略画風の表現認められるまた、本図の上に付けられている宝相華文様も経典見返絵と共通性高く保延六年七月奥書がある基衡願経法華経表紙宝相華などと近似しているが、他方秀衡願経ではより形式化進んでいるように見え、さらに厳島神社奉納された数種の法華経表紙宝相華文様より古様を示している。すなわち、本図制作期は一二世紀半ばより遡ることが推測されるまた、松平家旧蔵香川県所有法華経彩色による見返絵を持つ点で本図共通するが、山岳表現などよく似ている本経は「志ん女かく」と三巻分の巻末書されていることから、女性発願考えられているが、最勝王経弁才天吉祥天といった女天に対す信仰説いていることに着目し本図についても奥州藤原氏の特に女性による発願ではないかとする説も立てられている。
 本図宝塔曼荼羅として特異な形式をもつ絵画ジャンル代表作あり、か金銀泥と彩色共存させる画風は他に例がなく、独自の表現として注目されているまた、本図には複数四天王像阿弥陀三尊虚空蔵菩薩など仏教図像学的に興味深いものや、捨身飼虎図のような説話画、さらに多数描き込まれ女性像情緒豊かなやまと絵風景など、平安時代仏画あるいはやまと絵資料として美術史的に極めて高い価値有している。十巻が完存していることも特筆されよう。



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