かた‐がみ【型紙】
型紙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/29 09:01 UTC 版)
型紙(かたがみ)とは、型として切った紙のこと。染色、洋裁、手芸などで用いられる[1]。
概説
型紙は、いくつかのタイプがあり、たとえば以下のようなものがある。
- 型染めに使う模様を彫りぬいた紙[2]。
- 洋服作り等で必要な形の布革などを得るために、その形を紙の上に線で描いたもの。あるいは、線を引いたうえで、その形に切り抜いた紙のこと。
- "何か"を作るための「型」(原型)となる、切り抜かれた紙のこと。その型紙を材料に押し当てて、型紙の周囲をペン・鉛筆・鉄筆 等でなぞることで、得ようとしている形の線を、材料の上に引くことができる。様々な加工、工作で用いられている。
染色用型紙

染色(型染め)用の型紙は、油や柿渋などで加工した紙に文様を彫り抜き、染料や防染糊を捺染したり、注染したりするのに用いる。中国や日本、琉球などで盛んに用いられた。
特に伊勢型紙は文様の美しさから型紙そのものが珍重され、西洋でも「カタガミ」と呼ばれ収集された。
洋裁用型紙

洋服などの裁断生地の平面形状を示し、なぞって布に写すための原寸図を、「型紙」またはパターン(英: sewing pattern)という[1]。
型紙上の線を布に写すには、いくつか方法があるが、たとえば「チャコペーパー」などと呼ばれる複写紙(カーボン紙)と布と型紙を重ねて、型紙上の線をルレット(やヘラや鉄筆など)でなぞるなどして行う。
既存の型紙の入手方法はさまざまあり、手芸店で販売されているものもあり(、書店や図書館などに並ぶ洋服づくりの本などの巻末などに掲載されている場合もある。また近年ではPDF形式でダウンロード販売するネットショップも散見される。子供服ではA3サイズ、小物ではA4サイズが多く、プリンターで用紙に印刷し、貼りあわせることでひとつの大きな型紙を作ることができるようになっている。
型紙の作成
型紙を作成する者および職業は「パタンナー(英: pattern maker)」と呼ぶ。
型紙の作成方法には、立体裁断と平面作図の二つがある[1]。必要な強度や透過度などに合わせ、紙ないしそれに類する素材で作られる。
型紙には布目(布地の織り方向)や縫い代など裁断に必要な指示のほか、縫製に関する事項も記載される。たとえばタックの位置とその倒す方向、ポケットの位置やボタンホールの位置と長さ、ステッチの種類などである。
型紙の種類
- ファーストパターン
- デザインに基づき最初に作る型紙。見本縫いに使用される。
- 工業用パターン
- 量産用の型紙。具体的な縫製方法などに合わせてファーストパターンを修正したもの。
- 原型
- 作図の基礎となる型紙。婦人原型・男子原型・子供原型、服種別のシルエット原型などがある[4]。作図が容易で、一般的な体型に適合し、多数のシルエットに展開しやすいことが求められる。
- 有り型
- 既製・定型の型紙を指す俗称。アパレルブランドやメーカーは固有の有り型を持ち、商品展開の基礎に用いている。
他
服飾関係の型紙は、その時代ごとの流行を示す資料ともなる[5]。
脚注
- ^ a b c 大日本百科全書『型紙』
- ^ デジタル大辞泉
- ^ クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館. “KATAGAMI, ABSTRACT WATER PATTERN”. 2018年12月15日閲覧。
- ^ JISには日本人向け衣料の各種標準サイズが規定されている。
- ^ 北名古屋市歴史民俗資料館「昭和モノ事典」
参考文献
- 日本大百科全書(ニッポニカ). “型紙”. コトバンク. 2018年12月15日閲覧。
- 北名古屋市歴史民俗資料館. “昭和モノ事典”. 2018年12月15日閲覧。
関連項目
型紙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 14:05 UTC 版)
型紙には柿渋で楮の生漉き和紙を2~3枚貼り合わせた「渋紙」を利用する。渋紙は水に強く、破れにくく、水になじみ布に密着するため、型染めに適している。 型彫りには突彫り、錐彫り、道具彫り、縞彫りなどの技法がある。最も細かい模様では1平方センチメートル当たり直径0.5~0.6mmの穴が約100個彫られるなど、極めて繊細である。 使用する型紙の枚数には、1枚の型紙で染める1枚型、2枚以上の型紙を順次重ねて複数の色を染める合わせ型、同じ型紙を複数回使用して連続模様を作成する送り型などがある。
※この「型紙」の解説は、「型染め」の解説の一部です。
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「型紙」の例文・使い方・用例・文例
- 服の型紙
- 型紙を裁つ.
- 婦人服の型紙.
- 型紙を透写する
- 型紙から布地にダーツの印を写したりするのに使われる緩い輪になったステッチ
- スカートの型紙
- (縫い物、木工品、金属細工用の)型紙を作る人
- 型紙を用いて模様をつけたもの
- 型紙の上から色をつけて模様をつける,染色の方法
- 型紙を置き,その上から色をつけて模様づけをする職人
- 型紙を用いて描く工程を経てできた蒔絵
- 錐彫りという,染色に使う型紙の彫り方
- 剣先という,型紙捺染用の型板
- 染め出す模様の型紙
- 染め型紙
- 中ぐらいの大きさの型紙で白く染め抜いた模様
- 洋裁において,型紙の下絵
- 型紙にV字形のひだを入れること
- 型紙で模様を染めること
- 私はすでに3万人分の顧客の型紙を持っている。
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