異種の車両連結のために使われる控車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/30 09:47 UTC 版)
「控車」の記事における「異種の車両連結のために使われる控車」の解説
異種連結器を変換するアダプタとして使用されるものが多く、勾配区間での補助機関車連結用や、異種電化区間、非電化区間への電車の乗り入れのために、電源車との兼用で連結される。事業用車として改形式されることもあるが、営業用旅客車・貨物車をそのまま使用することもある。 山陽本線瀬野 - 八本松間(瀬野八)の上り勾配で出力不足となる153系電車の補助機関車としてEF61形電気機関車を連結するために、自動連結器と密着連結器を装備したオヤ35形が使用された。 直流電化用の151系電車が交流電化区間の鹿児島本線博多駅に乗り入れる際、電源車を兼ねた控車(サヤ420形)を介して電気機関車に連結の上、牽引された(両端とも自動連結器)。 房総夏期臨時ダイヤで設定の急行「汐風」(153系電車)・準急「白浜」(80系電車)が非電化だった千葉以西にDD13形ディーゼル機関車重連牽引で乗り入れる際に、電源車兼用としてクハ16形を控車として使用。 電車特急の「有明」が非電化時代の豊肥本線水前寺駅に乗り入れる際も、電源車兼用の控車(スハフ12形、ヨ8000形(28000番台))を介して、ディーゼル機関車に連結された。 臨時快速「葉っピーきよさと」「信州循環列車」に使用された169系電車が、非電化の小海線内でディーゼル機関車に牽引される際、電源車としてスハフ12形客車が使用された。電車の連結器は自動連結器に交換された。 1988年に来日した「オリエント急行」牽引用に、日本で使用される自動連結器と欧州で使用されるネジ式連結器を両方装備した車両が用意され、オニ23形とマニ50形が編成の前後に連結された。 新幹線車両の甲種輸送時には、新幹線用連結器を装備したシム1形を介して使われる。 JR東日本では2019年まで廃車回送の際に機関車牽引時の控車としてリゾートエクスプレスゆうの電源車・マニ50 2186が使用されていた。 日本から南米・アルゼンチンへ新車で輸出され、主要機器の製造元より"Toshiba"と呼ばれるサルミエント線およびミトレ線用電車M.U.2000(7000)/1000・ロカ線用電車M./R.4000は柴田式密着連結器を装備する。これらが現地で工場に出入場するため、密着連結器を装備したディーゼル機関車に牽引される必要があるが、常時密着連結器を装備する機関車は3両程度であるので、別途通常のネジ式を装備したディーゼル機関車に牽引される際に使用するアダプターとして片方に密着連結器、もう片方にネジ式連結器を装備する車両が用意されている。前者には同型の電車を電装解除した車両(全4両)もしくは同国のフィアット子会社Materferで製造されたフィアット7131気動車の機関を降ろした車両(全2両・廃車済み)が、後者には日本国有鉄道の控車(ヒ)と同様の無蓋車が連結される。また、電車の一部車両は電気・空気併用ブレーキから全電気指令式空気ブレーキに交換されているため、これらの用途の機関車やアダプター車両の中にはブレーキ読み替え装置を搭載しているものも存在する。 南米・チリの首都サンティアゴ・デ・チレと同国南部の都市コンセプシオンおよびテムコを結ぶ季節運行の夜行列車であるEFEテムコには、電源車を兼ねた自動連結器とネジ式連結器のアダプター客車が連結される。これは、牽引するイタリアのアンサルドブレーダ製の電気機関車およびアメリカ合衆国・GE製のディーゼル機関車が自動連結器を装備することに対し、牽引されるスペイン・レンフェから中古で購入した10000形客車はスペイン時代と同様のネジ式連結器を装備しており、その間のアダプターと客車電源提供の役目をする車両が必要であることに因んでいる。この車両自体は1920年代にドイツ・リンケ=ホフマンで製造された木造客車を1950年代にチリの鉄鋼会社ソコメタルで鋼体化した物の内装を撤去したものである。 アメリカ合衆国・アムトラックの客車スーパーライナーには、トランジションドーム(Transition Dorm、短縮形でTransdormとも)やステップアップコーチ(Step up coach)と称するアダプター車が存在する。スーパーライナーは2階に貫通路を設置するため、他の系列の客車を連結して貫通させるときに用いられ、車両の一端の通路が階段状に造られている。客室の一部は乗務員や車内サービス係員の寝室に充てられている。
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