生活・実用品としての印章
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 04:42 UTC 版)
特に重要な印章を紛失・破損すると、日常生活などで支障が生じるため、必要に応じて使い分ける。 認印(みとめいん、にんいん) 一般に申し込みや受け取りなどの証明用として用いられる印。姓(苗字)のみが彫られた既製品が多く、三文判(「二束三文」から。作りも安っぽいため)とも呼ばれる。印材にラクトカゼイン等の合成樹脂(プラスチック)を用いたものが多い。真円のものと楕円のものが多く、かつては双方とも多く使われたが現在は真円のものが主流である。印影の大きさは、慣習的には9ミリメートルから15ミリメートル程度で、あまりに大きなものは非常識とされる。また、姓を入れたインク浸透印(ネーム印、スタンプ印)も認印として用いられている。 訂正印(ていせいいん) 修正個所に修正者を証明するために押すのに用いる印。簿記印とも呼ばれる。例えば東京都会計事務規則 第16条には訂正箇所に認印を押印するよう定められており、大きさに関する指定はない。慣習的に6ミリメートル程度の小型印が使用される。例え18ミリメートルなどの大型の印を使用しても訂正者を証明する役割において有効であるが、会計帳簿・伝票類に押印する用途としては非常に不便である。「#種々の押印 」も参照。真円のものと小判型のものがある。 実印 役所に印鑑登録した印章を実印と言う。偽造を防ぐため、個別に製作されたものを用いることが多く、転じてその登録をする用途に適した印を指すこともある。個人の実印、法務局(登記所)に登録する会社および各種法人の実印がある。一般的には一生に何度も押す機会のないものであり、財産(不動産、自動車など)の取引、相続、連帯保証契約、金銭の借り入れなどの重要な用途において印鑑登録証明書を添付して用いられる。欠損、摩滅している印章は使用できないため、元々変化しやすい材質(ラクトや浸透印、ゴム印など)では登録出来ない。なお登録できる印影の大きさは8ミリメートル以上25ミリメートル以内。また、文字の組み合わせや新旧字体など様々な制約があり、どのような印でも実印登録できるわけではない。 銀行印 銀行もしくは証券会社等に口座を開設する際に届け出た印。偽造を防ぐため、個別に製作されたものを用いることが多く、転じてその用途に適した印を指すこともある。実印と違って法的な規定はなく、各金融機関の裁量で印面の規定が決まっている。このため特殊な書体のものや、イラスト入りのものでも登録が可能な場合もあるし、断られる場合もある。 インク浸透印、ネーム印 多孔質の合成ゴムを印面に用いて内部にインクを溜め込む仕組みを備えた浸透式の印章で朱肉を必要としないもの。捺すごとに力のいれ具合などで印影が変形することがある。代表的なメーカーの名からシヤチハタ(シャチハタ)と通称される。認印として通用するが正式な印としては認められていない場合があり、スタンプ印不可・シャチハタ不可と明記された書類も多い。認印の要る文書の中でも重要度の低い、回覧や宅配の受取などに用いられる。ただし、正式な印として認められる場合もあり、たとえばゆうちょ銀行では届け出印の材質等について規定が無く、浸透印を銀行印とすることが可能である(ゴム印など、民間銀行では拒否されるような印でも可能)。なお、量販されている浸透印は容易に入手でき、通帳を紛失した時に大きなリスクとなることが明白なので、各々の局や職員の対応によっては拒否されることもある。 角印 個人ではなく法人(団体)の請求書、領収書、契約書などにおいて、社名や所在地に付して確認のために用いられる角型の印。会社の認印にあたり、「会社印」や「社判」ともいう。縦彫りが主流だが、文字数が多い団体などは横彫りを用いる場合がある。 丸印 個人ではなく会社の実印(代表者印)として用いられる丸型の印。ただし法的には差異がないので、代表者印に角印を用いることがある。 職印 ある職に就いている者が使用する印。士業の一部は、その根拠法令において職印を作成し、登録するように定められている。 公印 公的機関の印。大阪市では「大阪市印」「大阪市長之印」という角印が用いられている他、「大阪市北区長之印」など各区長の公印、また用途別に「戸籍専用」(住民票・戸籍の写し用に)などの文字を入れた物などが規則で定められている。天皇の御璽もまた公印である。
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