生活、娯楽面の描写
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1967年末、花形の打撃練習を見た記者団の1人が「下手な記事など無用ノ介!」と言っている。この『無用ノ介』は当時、さいとう・たかをが『週刊少年マガジン』に連載していた時代漫画のタイトル。 1969年の初め、飛雄馬が橘ルミ、続いて日高美奈と出逢った辺りで、一徹と飛雄馬が当時を形容した「昭和元禄」という言葉を使っている。飛雄馬が参加したボウリング大会の司会が大橋巨泉。 同年、飛雄馬が大リーグボール1号で中日のオズマと対決した場面で、観客が「男なら投げてみな、大リーグボール!」と叫んだ。 1969年の月面着陸に、飛雄馬は自身の挑戦精神を重ね合わせている。 1969年末〜1970年初頭の伴トレードの時期には、登場人物の台詞で「アッと驚くタメゴロー」が出た。 1970年、消える魔球を打たれて勝手に帰宅した飛雄馬がテレビをつけ、野球中継からチャンネルを変えると藤圭子が「圭子の夢は夜開く」を歌っていた。 同年、大リーグボール3号を開発した飛雄馬が文字通り巨人のスターとなっていた当時、『スター千一夜』で当時の有名人と対談(司会者は石坂浩二、共演者は藤圭子と沢村忠)、作中のマスコミ関係者が引田天功や吉沢京子と飛雄馬の対談を希望する場面もある。吉沢京子は当時、梶原一騎原作の『柔道一直線』に出演中だった。 連載初期にはテレビは相当な高級品として描かれていた。星家の家計の逼迫さが誇張して描かれていたためもあるが、花形や伴ら富裕層の自宅にも複数台のテレビがあった描写はない。星家のテレビ購入により一挙に親密になった長屋の住人達は、それ以降も星家を訪れ、ブラウン管を通して飛雄馬を応援した。夏には明子がスイカをふるまったりするなど、星家はいつの間にかコミュニティの核となっていった。 ビデオが登場するのは『新〜』の時代からで、花形が大リーグボール1号を本塁打した際、ビデオのスロー再生を行うに際して「分解写真」という言葉が使われている。 原作では左門も花形も飛雄馬攻略にコンピュータを駆使することはついになかった。アニメの花形は親の会社の研究班に頼んで、飛雄馬の大リーグボール3号の投球フォームを分析させ、同じ魔球を投げるピッチングマシンを作らせている。花形はさらに、アニメ『新・巨人の星』でヤクルトに入団した直後、コンピュータを使っていた。 後の野球漫画で必ずといって良いほど登場するスピードガンも当時実用に耐えるものはなく、飛雄馬の球速が具体的に示されることはなかった。作品でボールの速度が数字で示されたのは、一徹が花形のノックアウト打法について飛雄馬に説明した際、テニスと野球の球速を比較した場面くらいだった。 劇中で星飛雄馬の投球する姿を映した動画が出てくるが、大きなフィルムを使い、旧式の映写機(家庭用の8ミリフィルムタイプと推測される)で暗い部屋で見るタイプだった。アニメ『新・巨人の星』で左門は「右投手飛雄馬」の攻略のために8ミリフィルムを使用したが、その再生の際、通常の映写方向だけでなく、反対側にも画像が出てしまっていた。このとき、劇中画面では左で投げる「右投手飛雄馬」の様子が出ていた。 牧場の担当編集者が病院(診療所)で飛雄馬の「破滅」の秘密を録音したテープレコーダーも古い大型のオープンリールだった。 ストーリー展開上の演出のためもあるが、1969年末または1970年初頭の村山実の自宅では火鉢が使われていた。 星一家が住んでいた長屋(東京・町屋)の家には固定電話もなく、周囲の店の電話を経由するなど、不便な様子だった。一徹が球場に電話して飛雄馬にアドバイスしようとしたときも、電話のあるらしいラーメン屋まで走るが間に合わず、飛雄馬は左門に本塁打を打たれてしまう。9連勝の際、新聞記者が見出しにすると口にした「輝き渡る巨人の星」に感動した飛雄馬がその喜びを伝えようと、遠征先から寿司を注文してついでに折り返し電話するように伝えて欲しいと依頼する。近所の公衆電話(タバコ屋らしい)から折り返すが、かなりの長話となり、十円玉が何枚必要だったかは不明。飛雄馬と明子はマンションに引っ越して初めて「自宅に電話のある生活」を経験する。原作で飛雄馬のマンションの部屋に電話がかかってきたのは川上監督からと京子から。 ただし、星一家の過ごした長屋が作中で取り壊されたとき(「青春のぬけがら」KC18巻、文庫11巻)、その工事現場のすぐそばに電話ボックスがあった。 旧作の頃(1968年)台湾キャンプで四苦八苦していた飛雄馬も『新』の末頃(1978年初頭)には自費でハワイへ自主トレに出かけるくらいになっていたほど、この10年間で海外旅行は日本人にとって身近なものになっていた。
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