海外22ヵ国巡業についてとは? わかりやすく解説

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海外22ヵ国巡業について

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/22 14:01 UTC 版)

筒井徳二郎」の記事における「海外22ヵ国巡業について」の解説

筒井徳二郎世界恐慌下の1930年1月から翌年4月にかけて1年3ヵ月海外21ヵ国を巡り筒井自身22ヵ国といっている)、62ヵ所の劇場公演したことが確認されている。ロサンゼルス日米興行社長安田義哲はニューヨーク檜舞台で、米人相手興行することが多年念願で、剣劇界の元老といわれた筒井徳二郎白羽の矢をたてた。座員パスポート1929年12月26日発行によれば最初米国公演だけが目的だった。ロサンゼルス公演の後、ニューヨーク・ブロードウェイのブース劇場乗り込む在米舞踊家伊藤道郎米人向けに脚色演出担当演目歌舞伎翻案「恋の夜桜」(「鞘当」と「京人形」の合成)、剣劇「影の力」(「国定忠治外伝)、舞踊「祭り」獅子物)だった。このニューヨーク公演有名な興行師の目にとまり、パリ公演実現するパリでは当地画壇寵児藤田嗣治日仏混血作家キク・ヤマタらの協力の下、欧州最新最大劇場ピガール座において公演演目として「勧進帳」が加わる)、大成功収める。そのため欧州中から公演申し込み殺到することになる。すなわちベルギー北欧の諸都市ロンドンバルセロナスイス都市の後、ベルリンはじめとするドイツ都市プラハブダペストウィーンハーグイタリア都市巡り、さらにバルト沿岸東欧諸国都市にまで足を運んだ筒井以降で、一度これだけ規模海外公演行った日本俳優はいない。欧州公演では他に歌舞伎翻案光秀」(「絵本太功記十段目)、舞踊三種狐忠信」「面踊」「元禄花見踊」、舞踊春の踊り」、剣劇武士道」が演じられた。 海外での上演はすべて日本語行った筒井をよく知る元歌舞伎俳優証言 によれば、彼は驚くほど歌舞伎精通してたようだ。その筒井が、歌舞伎剣劇初めて見る(予備知識のない)外国人にも容易に理解できるように大胆に脚色演出し身体演技強調して上演なおかつ日本演劇エッセンスが伝わるように工夫したドイツ代表的な劇評家ヘルベルト・イェーリングは筒井一座芝居について「日本語一言もわからなくても、基本的な状況つかめるであろう」 といったという。 こうして筒井公的支援のない昭和初期、しかも大恐慌最中に、日本演劇携えて海外22ヵ国巡業敢行王侯貴族から一般庶民にいたるまで、何十もの人々感銘与えて、「世界剣劇王」と称えられた。しかしそればかりではない。フランスジャック・コポーシャルル・デュランドイツのエルヴィーン・ピスカートアやベルトルト・ブレヒトロシアフセヴォロド・メイエルホリドなど、西洋著名な前衛演出家たちが、筒井芝居から演劇改革のための有益な示唆受けていた。コポーは「演劇生命、それは日本役者豊かに持っている寡黙な沈黙中に躍動している動きである」 とまでいって賞賛した。一方国内では宝塚歌劇当時宝塚少女歌劇)の坪内士行が、筒井海外公演方法翻って伝統文化薄れていく近代日本においても、新し国民創成ヒントなりえるものだと述べた。したがって筒井海外公演は、国際親善貢献したばかりでなく、日欧双方近代演劇抱える問題にも光を当てる性質のものだった考えられる日本の伝統演劇本格的な海外進出は、第二次世界大戦後にようやく始まった。そのための地ならし役目を、つとに知られている川上音二郎一座花子 (女優)一座とともに、この筒井徳二郎一座果たしていたといっていだろう

※この「海外22ヵ国巡業について」の解説は、「筒井徳二郎」の解説の一部です。
「海外22ヵ国巡業について」を含む「筒井徳二郎」の記事については、「筒井徳二郎」の概要を参照ください。

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