浅鉢形土器とは何？わかりやすく解説 Weblio辞書

浅鉢形土器

主名称：	浅鉢形土器
指定番号：	440
枝番：	00
指定年月日：	1988.06.06(昭和63.06.06)
国宝重文区分：	重要文化財
部門・種別：	考古資料
ト書：	岐阜県高山市片野町糠塚遺跡第一号住居跡出土
員数：	2箇
時代区分：	縄文
年代：
検索年代：
解説文：	１　扁平な円盤状で、口縁部が強く内湾し、底部を中心に同心円状に三段の屈曲を持つ浅鉢形土器。口縁部に沿って合計四〇箇の円孔がめぐる。胴部の文様構成は、各々の屈曲部に綾杉状の連続刺突文を施して文様帯が区画され、各々の文様帯内には連続爪形文によって三角形とＳ字状を交互に組み合わせたモチーフが描かれる。胎土には砂粒を含み、外面には赤色顔料および黒色の樹脂状物質が斑状に残される。　２　１に比べて小型、扁平な円盤状の浅鉢形土器。口縁部の屈曲は１よりも強く、口唇部は一段高く立ち上がる。口縁部には円孔が等間隔に二一箇めぐり、強く張り出した胴部以下は、二段の屈曲部を経て丸底状の底部に至る。　糠塚遺跡は、高山市街地の南東約二キロに位置し、昭和五十七年、圃場整備に先立つ発掘調査が行われた。本遺品二箇は、この調査で、第一号住居跡の床面ほぼ中央から、並列されたような状態で出土した。口縁部が強く内湾し、そこに列孔がめぐる浅鉢形土器は、縄文時代前期後半、関東地方を中心に各地でその出土が知られるが、この器種は数量的な僅少さと、１のような精巧な文様表現、胴部が極端に張り出す器形など、該期の他の土器とは異質な用途、役割を持ったものとして注目されている。しかし、全形が推定できる箇体は群馬県道木原【どうきばら】遺跡、長野県牟礼丸山【むれまるやま】遺跡出土品などに限られ、この中でも全形が遺存しているものは本例を措いて他にない。　本遺品は、こうした稀有な遺存状態で、しかも縄文時代前期には関西系の土器が主体をなす中部山岳地西部で出土した点など、当時の地域間交流を示す具体的事例としても注目されるものである。

浅鉢形土器

主名称：	浅鉢形土器
指定番号：	472
枝番：	02
指定年月日：	1991.06.21(平成3.06.21)
国宝重文区分：	重要文化財
部門・種別：	考古資料
ト書：	群馬県勢多郡北橘村房谷戸遺跡出土
員数：	1箇
時代区分：	縄文
年代：
検索年代：
解説文：	房谷戸遺跡は赤城山【あかぎやま】西南麓の斜面端部に近い群馬県勢多郡北橘村の利根川左岸に所在し、標高は二六五～二七〇メートルを測る。　遺跡は関越自動車道建設工事に伴う試掘調査で昭和五十六年に発見され、翌五十七から五十八年にわたって本調査が行われた。調査面積は約一六、〇〇〇平方メートルで、調査の結果、本遺跡は旧石器時代から平安時代まで断続的に営まれた集落跡であることが判明した。　このうち縄文時代に属する遺構としては、住居跡一八軒、土壙【どこう】八九四基が見つかっている。その大半は縄文時代中期前半に所属するものである。　本件はこの縄文時代中期前半に属する土器のうち、残存率の良好なもの、本遺跡土器群の特徴をよく示すものを抽出したものである。　深鉢形土器は利根川中・下流域を主要分布地域とする阿玉台【あたまだい】式土器、関東地方西部を主要分布地域とする勝坂【かつさか】式土器以前の型式学的特徴をもつ土器、および関東地方北部地域を代表する土器の大きく三つに分けることができる。　阿玉台式土器は大きな四単位の扇状突起【おうぎじようとつき】をもち、区画の縁取りは二条の結節沈線【けつせつちんせん】で行われる阿玉台 Ⅱ式である。本例は阿玉台 Ⅱ式としては関東屈指の好資料といえよう。勝坂式以前の型式学的特徴をもつ土器は複数の施文【せもん】用具を用い、文様装飾効果を高める土器であり、縄文時代中期前半の文様・意匠・技法を凝縮した好資料である。関東北部を主要分布地域とする在地系の土器は口縁部【こうえんぶ】文様・胴部【どうぶ】文様の区別がはっきりしない構成をとり、区画の縁取り等に省略化がみられる。また口縁部に不規則な楕円形区画のみられるものも存在する。浅鉢形土器は大型であり、四箇の突起を付して二条単位の結節沈線で装飾を加える。この特徴は関東地方西南地域で多くみられる手法である。　房谷戸遺跡の位置する利根川上流地域は山岳地域から丘陵地域に移行する部分であり、利根川を利用した他地域との交流も頻繁に行われていたものと考えられる。本遺跡出土品はそのような状況下で、縄文時代中期前半の関東諸地域の形態と意匠が集約された一群の土器とすることができ、関東地方該期の異地域・異型式土器の混合および在地化の様相を知るうえで、その学術的価値は高い。