歩行者用信号機
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歩行者用信号機(歩行者用信号灯器)は表示面は一辺の長さが200 - 250 mmの正方形である。信号交差点に横断歩道が設置されている場合は原則として歩行者用信号機を設置しなければならない。 1つの横断方向に対しては青・青点滅・赤を同時に表示してはならず、青→青点滅→赤→青の順に表示しなければならない。 歩行者用のものは縦型で、下が青、上が赤の配置となっている物が多いが、横型のものも存在する。歩行者用のものは信号機の中にイラストが描かれていて、青は歩いている人、赤は立っている人のイラストとなっている。 電球式歩行者用信号(2枚合成) 歩行者用信号機(横型) 電球式では人形が白で、周囲が赤または青として全体が発光している。その一方で、LED式は人形のみが赤または青に発光し、周囲は発光しない。これに伴いLED式では発光面の面積が縮小したため、発光面積の確保のため人形の大型化が行われている。 電球式の歩行者用信号機の一例 LED式歩行者用信号機(2枚合成) LED式歩行者用信号機(レンズ式・2枚合成) 歩行者用信号機・人形の大きさ比較(上:赤、下:青、左より電球式・LED式・LEDレンズ式) 歩行者用信号機の高さは地盤面から灯器底部までを2.5 m以上(通常は2.7 m - 3.2 m)とし、対岸の横断歩道の中央から見て正対するように設置される。特に柱頭式(自立式)の歩行者用信号機は地盤面から灯器の底面までを3 m程度とする。視認性を確保するため、横断歩道の幅が広い場合や中央分離帯が存在する場合などは歩行者用信号機の増設を検討すべきである。 歩行者用信号機を設置する際、電柱からのびるアームで上下から抱え込む形式を標準とする。また、歩行者用信号機のみを設置する場合において柱の先端に歩行者用信号灯器を取り付ける柱頭式が設置されることもある。 アームで上下から抱え込む形で設置された歩行者用信号機 柱頭式によって設置された歩行者用信号機(手前) 赤信号でのイライラやフライング横断を防ぐ目的として待時間表示装置を併設した歩行者用信号機が設置されることがある。この信号は「ゆとりシグナル」とも呼ばれている。歩行者の多くが赤信号開始までに横断完了できる効果があり、青信号になる直前のフライング横断を抑止する効果も見られる。その一方で、赤信号時の横断に対する抑制は見られなかった。 待時間表示装置を併設した歩行者用信号機 名古屋市の一部で試験的に設置されていた時間表示一体型信号機。青信号までの残り時間を5秒刻みでカウントダウン表示する 棒グラフタイプの待ち時間表示一体型信号機 棒グラフタイプの待ち時間表示一体型信号機(人形・グラフ一体表示、2枚合成、上・赤、下・青) 「日本の音響装置付信号機」も参照 「押しボタン式信号機」も参照 視覚障がい者が安全に横断歩道を横断するため「音響式信号機」が設置される。1955年(昭和30年)9月に東京都杉並区の東田町交差点にベルの鳴動による音響式信号機が設置され、1960年(昭和35年)6月には名古屋市でメロディーを流すタイプのものが設置された。 正式には信号機は1976年(昭和51年)から設置が開始され、盲学校や公共施設など視覚障がい者の利用頻度が高い場所から優先的に設置されている。歩行者用信号機が青の時にスピーカーより誘導音(「ピヨ」や「カッコー」など)が鳴動される。誘導音の種類によって、メロディ式(音楽が流れる)と擬音式(「ピヨピヨ」や「カッコウ」などの音が流れる)の2種類に分けられ、後者の擬音式がほとんどを占めている。音量は近隣住民の生活に考慮して設定しなければならず、また近隣住民に配慮するためにスピーカーの指向性や高さの性能向上が課題となっているが、後述する歩行者等支援情報通信システム(PICS)による解決方法も取られ始めている。かつては「盲人用信号機」と呼ばれていた。 音響式信号機(2枚合成、左:赤、右:青) 2.5 m以上の高さで、横断歩道の対岸に設置されている歩行者用信号機は弱視者や高齢者が信号を確認するのが困難という指摘がある。そのため、音響信号機に用いられる音響装置に長方形の赤と円形の緑のLEDを配置した「高齢者・視覚障がい者用LED付き音響装置」が開発されている。地面から90 cmの位置に存在するので高齢者や子供にとっても信号確認がしやすい。 視覚障がい者や盲ろう者が安全に横断歩道を横断するための触知式信号機(振動ポール)が設置される。昭和40年頃に三重県、大阪府、香川県で設置されていたが本格的な普及をせずに消滅した。しかし、2006年(平成18年)に新しい装置として復活した。 歩行者等支援情報通信システム(PICS)による信号機も整備されている。この信号機は歩行者が端末を携帯し(白杖に取り付けることもある)、端末と信号機で相互に通信することで交差点の情報や信号機の現示を知ることができる。また、そのシステムを高度に進化させた、スマートフォンとその専用アプリ及び内蔵Bluetoothを使う高度化PICS付信号機という仕組みも作られ、運用が始まっている。 岩見沢市のPICS付信号機。横へ長く伸びたアームの端にセンサーがぶら下がっている 京都市におけるPICS付信号機(上:全体、下:「歩行者支援システム」表示部を拡大)
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