椿の花言葉
椿花言葉の由来
(1)椿の特徴から取られた説椿の花は非常に香りが弱く、人の嗅覚では感じ取ることが難しい。香りの弱さと花の美しさから「控えめな優しさ」「気取らない優美さ」などの花言葉が生まれたとされている。また、椿の花は古くから観賞用、特に生け花の素材として親しまれていたが、他のどの品種の花と組み合わせてもその花の美しさを邪魔しない奥ゆかしさがあり、その点が花言葉の由来と言われている。椿は他の花とは異なり、枯れる際は花弁が一枚ずつではなく花がまるごと落ちる。その潔いさまが「誇り」のような花言葉の由来と考えられる。
英語圏では「完全」「完璧」の花言葉があるが、これも花弁を散らさずにまるごと落ちる特徴に由来するものであろう。
品種によって多少の違いはあるが、椿は冬から初春にかけて咲く花である。気温が低く雪も降る冬は花を咲かせるには不向きな季節だが、椿は生命力の強さから大きな花を咲かせる。他の植物とは大きく異なる、椿ならではの力強さが「誇り」「完全」「完璧」などの花言葉に由来したとされている。
(2)女性の情熱的な恋心に見立てた説
西洋における椿の花言葉は「愛慕」「恋しく思う」など恋愛に関するものが多いが、これは椿の花の特徴を女性の恋心に見立てたためである。椿の花は短期間で満開になり、鮮やかで力強い色合いになるが、一方で枯れる際は花がまるごと落ちてしまう。この様が始まりは情熱的だが、醒めるとあっけなく終わってしまう女性の恋心に似ているとされ、恋愛に関する花言葉の由来になったとされる。
(3)娼婦の仕事が由来になっている説
椿の花はかつて、娼婦がアピールのために用いることがあった。娼婦は客を取るために肌を露出するなど派手な行動を取るが、行為が済むとすぐに他の客へ向かう。大きく開花して美しさをアピールする一方、時期が来ると花が落ちてしまう椿の様が娼婦の仕事に似ているとされ、各種の花言葉が生まれたと言われている。
(4)茶道で好まれた説
椿は日本原産の植物で、特に花は古くから日本人に親しまれていた。香りがほとんどなく、色合いが鮮やかなことから茶道においては茶室に彩りを持たせるのに最適な花とされていた。茶の香りを妨げず、質素な作りの茶室に命の息吹を感じさせる鮮やかな色合いの花を咲かせるのが茶道で好まれた理由である。茶道の本質である侘び寂びを表現するのに相応しい花であることから、「控えめ」「奥ゆかしい」などの意味を持つ花言葉が多い。
椿の英語の花言葉
英語での花言葉には「admiration(敬愛、感嘆)」「perfection(完全、完璧)」などがある。また、色によって特定の花言葉があり、赤色なら「You’re a flame in my heart(あなたは私の胸の中で炎のように輝く)」、白色は「adoration(愛慕、崇拝)」「loveliness(愛らしい)」である。桃色なら「longing(恋しく思う)」が花言葉である。日本とは異なり、控えめな美しさを意味する花言葉が存在しないが、これは椿には贅沢品というイメージがあるためである。椿色別の花言葉の解説
椿の花言葉は花の色によって異なる。赤色は「控えめな素晴らしさ」「気取らない優美さ」「謙虚な美徳」などがある。白色の椿は「完全なる美しさ」「申し分のない魅力」「至上の愛らしさ」、桃色なら「控えめな美」「控えめな愛」「慎み深い」が花言葉である。いずれも椿の特徴である香りの弱さや鮮やかな色合いを持つ花の美しさが由来になっている。愛や美に関する言葉が多いのは赤色や桃色などが女性的な色であり、恋愛や美しさは女性の領分とする考えが根底にある。赤色は古くから健康や富の象徴であり、そこから美しさも意味するようになった。白色は清浄や無垢の象徴であり、そこから完全や至上などの意味を持つようになった。桃色は赤色と白色の中間色であり、控えめや慎み、奥ゆかしさなどの意味を持つようになったとされている。女性的な美しさを持ちつつ、純粋で清らかなイメージを持っているのが特徴だ。色別の花言葉はその色が持つイメージに基づいている。椿の中でも非常に珍しいとされている黄色の花には「円満」の花言葉がある。黄色の椿は中国で発見されたのが最初で、「金花茶」の別名がある。中国では黄色は富を示す色であり、非常におめでたい色として好まれている。お金に不自由せず豊かに暮らせるようにとの願いを込めて「円満」の花言葉が使われるようになった。白い花弁に赤色が入っている椿の花言葉である「高潔な理性」は赤色が示す美徳と白色が持つ完全な美しさの意味が合わさったものである。
「気取らない優美さ」は椿の全般的な花言葉だが、特に黒椿の花言葉として用いられることが多い。上品で美しく、それでいて気取っていない奥ゆかしさは落ち着いた色合いである黒椿に相応しい花言葉とされている。黒椿とあるが文字通りの黒色ではなく、ワインレッドとも呼ばれる濃く、深みのある赤色である。黒色は他の何色にも染まらないことから、力強さと落ち着いた感じが両立している色とされている。黒色の要素を持つ赤色の花である黒椿は落ち着きと気品に満ちた美しい花であり、「気取らない優美さ」はその美しさを的確に表現した花言葉と解釈されている。地域によっては黒椿固有の花言葉と見なす所もある。
椿の本数別の花言葉の解説
椿の花言葉は本数によって変化する。10本ほどの花束なら「あなたが運命の人」「一緒にいよう」などの意味になる。20本なら「最愛の人」「結婚を望む」などであり、プロポーズに最適の花言葉といえる。椿はネガティブな意味を持っている。たとえば16本の場合は「不安な愛」、さらに17本なら「絶望の愛」という花言葉と共に扱われる。
50本以上の花束は「永遠の愛」「あなたをいつまでも愛し続けます」などの強い愛を意味するとされる。
欧州では椿は派手な色合いから娼婦の花というイメージがある。実際に娼婦がアピールの目的で椿の花を用いたこともあるらしい。このような経緯を踏まえ、椿を女性に贈ることは失礼なメッセージに当たるという見方もある。
椿の怖い花言葉
椿には「罪を犯す女」という花言葉がある。これはフランスの作家であるデュマの小説「椿姫」が由来になっている。椿の花をトレードマークにしている娼婦が世間知らずで純粋な青年と恋に落ちるが、青年の父親から別れるように要求される。娼婦は不治の病を患っていたことから青年の未来を案じ、わざと嫌われるように振る舞う。しかし青年は娼婦の真意を理解せず、当てつけのように別の女性と付き合う。娼婦はそれでも最期まで気丈に振る舞い、命を落とす。青年は娼婦の死後になってからようやく彼女の真意を知り、悲しみに暮れるというあらすじだ。性的な行為を仕事とする娼婦であることや青年に嫌われるように振る舞うことが女性にとっては罪であるとされ、そこから「罪を犯す女」の花言葉が生まれた。「椿姫」の娼婦は実在した人物がモデルであり、その人物も椿の花をトレードマークにしていた他、若くして結核で命を落としている。日本ではネガティブな意味を持つ花言葉はないものの、椿の花そのものを不吉と見なす風潮がある。椿の花はまるごと落ちるが、その様が斬首を連想させるためである。特に武家においては椿は忌み嫌われていた。落馬を連想させるためという説もある。
日本において椿を忌むべき花とする見方が定着したのは江戸時代の後期になってからである。それ以前は、むしろ椿は「未練を残さず潔く果てる」ため侍に相応しい花とされて珍重されていた。花弁を散らさず落ちる様は武士の誇りを象徴するものと捉えられたのである。
現在でも、椿の花がボトッと落ちるさまには不吉さが見出される傾向が残っており、万が一にも状況の悪化を割けたい病人や受験生に椿の花を贈るのはタブー視されている。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
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