楓の花言葉
楓(カエデ)の花言葉は「調和」「大切な思い出」「美しい変化」「遠慮」「約束」などである。
楓に花言葉として与えられたイメージやメッセージは、その多くが紅葉するさまにちなんでいる。その意味では「花言葉」というより「葉言葉」というべきかもしれない。もちろん「花言葉」のカテゴリーで扱っているという意味で「花言葉」と呼ぶことに全く何の問題もない。
その美しい紅葉のあり方から、「美しい変化」という花言葉が楓につけられたとの説がある。楓は秋の紅葉における代表格だ。夏まで青々としていた葉は、初秋ごろから急激に赤や黄色へと染まり始める。そして、見る人の心を和ませるほどの大きな変化を遂げる。こうした楓の性質に感動して、昔の人は花言葉をつけたと考えられるだろう。さらに、楓の紅葉は山や森全体の美しさにもつながっている。遠目から楓のある風景を眺めれば、その壮大な自然美に心を打たれる人も少なくない。こうして「調和」という楓の花言葉も生まれた。緑、黄、オレンジ、赤といった色が同じ楓の木から生まれてくることも「調和」の花言葉につながっている。
#(2)楓にまつわる思い出からつけられたという説
秋の楽しみのひとつである楓の紅葉は、人々の思い出と強く結びついてきた。たとえば、日本には「紅葉狩り」と呼ばれる風習がある。秋になれば紅葉のある場所に足を運び、家族や友人たちと風景を愛でるのだ。遠足や登山で楓を目にし、記憶に刻まれた人も多いだろう。楓は素敵な思い出を生み出す木である。その存在を称えて、「大切な思い出」という花言葉が楓につけられたと考えられている。
#(3)楓の生態からつけられたという説
「約束」という楓の花言葉については、由来がはっきりしない。あくまでも説のひとつとして、楓の生態に関係があると唱えられてきた。楓は毎年、決まった時期になると葉の色が変化し始める。気温の低下が葉色を変えていくからだ。まるで誰かとの約束を守っているような楓の生態に、昔の人が花言葉を思いついた可能性もある。さらに、楓はハイキングやデートに絶好のスポットでもあった。楓の木の側で、誰かが大切な約束を交わしていたとしてもおかしくないだろう。
英語で楓は「Maple」と書く。そして、英語圏では「reserve(蓄え、遠慮)」の花言葉がつけられてきた。「遠慮」は日本と同じであるものの、「蓄え」は海外独自の花言葉だといえる。
#英語の花言葉の由来
「蓄え」という花言葉の成立には諸説ある。まず、楓そのものが縁起のいい木だったという説だ。カナダでは国旗に楓の葉が描かれるほど愛されてきた。こうして、人々から楓は繁栄や蓄えの象徴になっていった可能性が高い。次に、楓の言い伝えと関係しているとの説もある。西洋で楓は、悪魔や悪霊を祓う木だと信じられてきた。人々は楓を玄関先に飾り、悪い気が入ってこないように願った。こうした風習が続き、「楓の木を飾れば、その家は蓄えに困らない」との信仰につながっていった。やがて、「蓄え」という花言葉が生まれたのである。
欧米と日本の生活習慣の差も、花言葉の違いになっているといえるだろう。カナダやアメリカなどの国では楓の葉から「メープルシロップ」と呼ばれる甘味料を作ってきた。特に、カナダのメープルシロップは名産品として観光客に愛されている。メープルシロップは瓶に詰めた形で大量に製造されて保管されるので、「蓄え」という花言葉とも容易に結びつく。一方で、日本の楓からはメープルシロップが作れない。もみじ揚げやもみじ饅頭などの用途はあっても、「蓄え」のイメージからは遠い。こうして、「蓄え」は欧米だけの花言葉になっていったと考えられる。
#神話との関連性
ケルト神話との関連性を説く人もいる。神話によれば、豊穣の女神ダナは楓を非常に愛していた。そこで、人々は女神への忠誠を示すために楓を贈っていたという。この言い伝えが発展し、いつしか楓そのものが「蓄え」を表す木になっていったのだ。
少しネガティブで、捉えようによっては怖い楓の花言葉が「遠慮」だ。楓には肯定的な花言葉が多い中、「遠慮」はやや異質に映る。「遠慮」の由来は、秋以外の楓の姿からつけられたといわれてきた。秋には強い存在感を放ち山の風景を彩る楓も、それ以外の季節では目立たない。緑色の葉はほかの木々に紛れてしまい、遠目からだと見分けがつかないだろう。この様子が、本当は鮮やかな色を秘めているのに遠慮しているような印象を与えるのだ。秋になって楓が美しい葉を見せるほど、夏までの姿とのギャップは大きい。こうして、人々は楓に「遠慮」の花言葉を込めるようになった。
#真の楓の花言葉は「遠慮」なのか
一説では、「遠慮」の花言葉は楓の花からつけられたともいわれている。楓の花は4~5月ごろに咲く。そして、種が飛ぶのは夏になってからで、9月ごろから紅葉の時期が訪れる仕組みだ。しかし、楓を語るとき、花の話をする人はほとんどいない。なぜなら、楓の花はあまり目立たないからだ。楓の花は枝先の総状花序に、ガクがついた状態で咲く。花自体は薄い黄色で美しい。それなのに、ガクのせいでほとんど姿を確認できない。しかも、ガクも小豆色や黄色で目立つので、花になかなか目がいかないのだ。
また、楓の紅葉があまりにも美しいので、花の存在感がかすんでしまったのも大きい。こうして、楓は「遠慮」の花言葉で語られるようになってしまった。ただ、楓の花言葉の多くは花ではなく、紅葉に関してつけられている。しっかりと花の生態にちなんでつけられたのだとすれば、楓の本来の花言葉は「遠慮」だとの言い方もできるだろう。
#歌詞によって生まれたイメージ
楓には「大切な思い出」という花言葉があり、これ自体に怖い意味はない。ところが一部の人は「大切な思い出」を失恋に絡め、楓に陰鬱なイメージを抱いている。なぜこのような現象が起きたのかというと、「楓」というヒット曲があるからだと考えられる。「楓」は去っていった恋人を思って歌われるバラード曲であり、歌詞もメロディーも物悲しい。「楓」という曲のインパクトが強すぎて、楓の花言葉にも怖い意味を重ねている人がいるのかもしれない。
#楓は自分を抑えているのか
あまり有名ではないものの、楓には「節制」「自制」という花言葉もつけられている。これらは「遠慮」からの連想で生まれた花言葉だと考えられるだろう。また、山の調和を司る楓の姿から、昔の人がさまざまな想像を膨らませた可能性もある。秋の主役に見える楓は一見、派手で鮮やかなイメージだ。しかし、その裏では自分を押し殺し山の風景を盛り上げるために努力しているのではないかと、昔の人は思いをはせた。見方を変えれば、楓は山のために尽くし続けている木だともいえる。こうして、「節制」「自制」という、ややネガティブな花言葉が誕生したのだ。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
楓に花言葉として与えられたイメージやメッセージは、その多くが紅葉するさまにちなんでいる。その意味では「花言葉」というより「葉言葉」というべきかもしれない。もちろん「花言葉」のカテゴリーで扱っているという意味で「花言葉」と呼ぶことに全く何の問題もない。
楓の花言葉の由来
#(1)紅葉からつけられたという説その美しい紅葉のあり方から、「美しい変化」という花言葉が楓につけられたとの説がある。楓は秋の紅葉における代表格だ。夏まで青々としていた葉は、初秋ごろから急激に赤や黄色へと染まり始める。そして、見る人の心を和ませるほどの大きな変化を遂げる。こうした楓の性質に感動して、昔の人は花言葉をつけたと考えられるだろう。さらに、楓の紅葉は山や森全体の美しさにもつながっている。遠目から楓のある風景を眺めれば、その壮大な自然美に心を打たれる人も少なくない。こうして「調和」という楓の花言葉も生まれた。緑、黄、オレンジ、赤といった色が同じ楓の木から生まれてくることも「調和」の花言葉につながっている。
#(2)楓にまつわる思い出からつけられたという説
秋の楽しみのひとつである楓の紅葉は、人々の思い出と強く結びついてきた。たとえば、日本には「紅葉狩り」と呼ばれる風習がある。秋になれば紅葉のある場所に足を運び、家族や友人たちと風景を愛でるのだ。遠足や登山で楓を目にし、記憶に刻まれた人も多いだろう。楓は素敵な思い出を生み出す木である。その存在を称えて、「大切な思い出」という花言葉が楓につけられたと考えられている。
#(3)楓の生態からつけられたという説
「約束」という楓の花言葉については、由来がはっきりしない。あくまでも説のひとつとして、楓の生態に関係があると唱えられてきた。楓は毎年、決まった時期になると葉の色が変化し始める。気温の低下が葉色を変えていくからだ。まるで誰かとの約束を守っているような楓の生態に、昔の人が花言葉を思いついた可能性もある。さらに、楓はハイキングやデートに絶好のスポットでもあった。楓の木の側で、誰かが大切な約束を交わしていたとしてもおかしくないだろう。
楓の英語の花言葉
#日本とは違う花言葉英語で楓は「Maple」と書く。そして、英語圏では「reserve(蓄え、遠慮)」の花言葉がつけられてきた。「遠慮」は日本と同じであるものの、「蓄え」は海外独自の花言葉だといえる。
#英語の花言葉の由来
「蓄え」という花言葉の成立には諸説ある。まず、楓そのものが縁起のいい木だったという説だ。カナダでは国旗に楓の葉が描かれるほど愛されてきた。こうして、人々から楓は繁栄や蓄えの象徴になっていった可能性が高い。次に、楓の言い伝えと関係しているとの説もある。西洋で楓は、悪魔や悪霊を祓う木だと信じられてきた。人々は楓を玄関先に飾り、悪い気が入ってこないように願った。こうした風習が続き、「楓の木を飾れば、その家は蓄えに困らない」との信仰につながっていった。やがて、「蓄え」という花言葉が生まれたのである。
欧米と日本の生活習慣の差も、花言葉の違いになっているといえるだろう。カナダやアメリカなどの国では楓の葉から「メープルシロップ」と呼ばれる甘味料を作ってきた。特に、カナダのメープルシロップは名産品として観光客に愛されている。メープルシロップは瓶に詰めた形で大量に製造されて保管されるので、「蓄え」という花言葉とも容易に結びつく。一方で、日本の楓からはメープルシロップが作れない。もみじ揚げやもみじ饅頭などの用途はあっても、「蓄え」のイメージからは遠い。こうして、「蓄え」は欧米だけの花言葉になっていったと考えられる。
#神話との関連性
ケルト神話との関連性を説く人もいる。神話によれば、豊穣の女神ダナは楓を非常に愛していた。そこで、人々は女神への忠誠を示すために楓を贈っていたという。この言い伝えが発展し、いつしか楓そのものが「蓄え」を表す木になっていったのだ。
楓の色別の花言葉の解説
色が変わっても、楓の花言葉が変わることはない。むしろ、葉色が季節ごとに変わることから、「調和」「美しい変化」といった花言葉が生まれたといえる。楓の本数別の花言葉の解説
数によっても楓の花言葉は変わらない。ただし、昔の人が「調和」という花言葉を考えたのは、たくさんの楓が山の風景を彩っている様子に感動したからだといわれてきた。「美しい変化」も、大量の楓の色が風景を変えていく過程に重ねられた花言葉だといえるだろう。逆に、ギフト用に楓を贈るときは1本だけの鉢植えに「大切な思い出」という花言葉を添えるケースが多い。楓の怖い花言葉
#どうして「遠慮」の花言葉がつけられたのか少しネガティブで、捉えようによっては怖い楓の花言葉が「遠慮」だ。楓には肯定的な花言葉が多い中、「遠慮」はやや異質に映る。「遠慮」の由来は、秋以外の楓の姿からつけられたといわれてきた。秋には強い存在感を放ち山の風景を彩る楓も、それ以外の季節では目立たない。緑色の葉はほかの木々に紛れてしまい、遠目からだと見分けがつかないだろう。この様子が、本当は鮮やかな色を秘めているのに遠慮しているような印象を与えるのだ。秋になって楓が美しい葉を見せるほど、夏までの姿とのギャップは大きい。こうして、人々は楓に「遠慮」の花言葉を込めるようになった。
#真の楓の花言葉は「遠慮」なのか
一説では、「遠慮」の花言葉は楓の花からつけられたともいわれている。楓の花は4~5月ごろに咲く。そして、種が飛ぶのは夏になってからで、9月ごろから紅葉の時期が訪れる仕組みだ。しかし、楓を語るとき、花の話をする人はほとんどいない。なぜなら、楓の花はあまり目立たないからだ。楓の花は枝先の総状花序に、ガクがついた状態で咲く。花自体は薄い黄色で美しい。それなのに、ガクのせいでほとんど姿を確認できない。しかも、ガクも小豆色や黄色で目立つので、花になかなか目がいかないのだ。
また、楓の紅葉があまりにも美しいので、花の存在感がかすんでしまったのも大きい。こうして、楓は「遠慮」の花言葉で語られるようになってしまった。ただ、楓の花言葉の多くは花ではなく、紅葉に関してつけられている。しっかりと花の生態にちなんでつけられたのだとすれば、楓の本来の花言葉は「遠慮」だとの言い方もできるだろう。
#歌詞によって生まれたイメージ
楓には「大切な思い出」という花言葉があり、これ自体に怖い意味はない。ところが一部の人は「大切な思い出」を失恋に絡め、楓に陰鬱なイメージを抱いている。なぜこのような現象が起きたのかというと、「楓」というヒット曲があるからだと考えられる。「楓」は去っていった恋人を思って歌われるバラード曲であり、歌詞もメロディーも物悲しい。「楓」という曲のインパクトが強すぎて、楓の花言葉にも怖い意味を重ねている人がいるのかもしれない。
#楓は自分を抑えているのか
あまり有名ではないものの、楓には「節制」「自制」という花言葉もつけられている。これらは「遠慮」からの連想で生まれた花言葉だと考えられるだろう。また、山の調和を司る楓の姿から、昔の人がさまざまな想像を膨らませた可能性もある。秋の主役に見える楓は一見、派手で鮮やかなイメージだ。しかし、その裏では自分を押し殺し山の風景を盛り上げるために努力しているのではないかと、昔の人は思いをはせた。見方を変えれば、楓は山のために尽くし続けている木だともいえる。こうして、「節制」「自制」という、ややネガティブな花言葉が誕生したのだ。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
- 楓の花言葉のページへのリンク