東西の操兵の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 15:07 UTC 版)
両者の最大の違いは、操兵の魂と呼ぶべき仮面の質とそれに応じた機体の生産法ならびに納品までの時間である。 一般に東方製の仮面の方が強い聖刻力(マーナ)を放つ。さらに機体を組み上げるにあたり「素体根」と呼ばれる呪物を仮面に寄生させて成長させ、これを基本構造物として各種部品を据えつける。そのため、東方製の機体の方が呪的防護が強く、機体の製造法もあって遺跡や聖域を含めた呪的空間において性能が向上するという特徴も備えている。ただし、素体根を育てるには時間を要するため、製造期間が数年、ものによっては十数年かかる事もある。もとより定形を持たない基本構造物に合わせて鍛冶師がカンと経験に基づき組み立ててゆくことから、機体全体の出来は西方に比べると無骨で荒くなる。これを補うため、聖刻教会製の狩猟機は全般的にがっしりしたスタイルの機体が多い。装甲は小ぶりな装甲板を金具や紐で連結したもので、基本的に盾を持たない代わりに厚めの装甲になっている(これは東方操兵の特徴というよりは、反身の刀を両手で扱う剣術が東方の主流のためである)。西方製に比べて作りが雑で故障しがち(これは東方の鍛冶匠合の構造的問題に起因している)とも言われるが、基本構造物の金銭的製造コストが少なく済むことに加えて大本である聖刻教会が教義として暴利を得ることを否定していることから、西方製に比べて安価となっている。東方では機体の特定の特徴をさながら生物のように分類し、「○○種」というくくりで区分している。乗り降りは背中側のハッチから行う。 西方製の仮面から放たれる聖刻力は東方製に比べて劣るため、機体の構造を工夫することで聖刻力の伝導性を高め、東方製と同等の出力に至らしめている。この副産物として西方では「原型機」と呼ばれる88種の設計図を揃え、注文に合わせて外部装甲や装備を取りつける操兵生産法を確立するに至った。組み立て法が基本的に88種と固定されており、さらに各個の手順を洗練させていった結果、機体の出来は「製品」と呼ぶべき精緻で整然としたものに仕上がっている。製造期間も一年未満~数年と東方に比べて大幅に短縮されている。工呪会製の狩猟機は、薄く打ち延ばした鉄板の装甲で、装甲板同士の連結部が少ない事から、全般に細身でスマートな機体のものが多い。動きもなめらかで故障も少ない高級機とされるが、精密な反面華奢で組討ちは苦手とする。原型機が共通となることもありうることから、西方では「重操兵」「中操兵」「軽操兵」のように主に機体の体格により機種を区分するようになった。乗り降りのためのハッチは胸側に付く。 こうした理由から東西の操兵は完全に別系統の機体となっており、血液にすら互換性が無い。また東方の操兵は性能の安定性の面では西方製にやや劣るがより生物に近いため、戦いの中でごく僅かだが成長していくとされている。事実、有限の寿命を持つ兵器であるにも関わらず、東方において操兵(特に高級機)は、完成直後ではなくある程度乗り継がれてからが性能のピークであると認識されている。 中原では東西両陣営からの輸入に頼るため、操兵はかなり貴重な存在である。価格が安いため中原でも運用されている機体は東方製が多い。中原の剣術は西方同様に片手剣と盾を持つものが主流らしく、東方製の機体でも盾を装備するなど西方風の外観・装備に改造されてい機体も多い。また乾燥地帯が多いため、大型の防塵フィルターを装着している機体もある。東方諸国と直接対峙してるシン国には工呪会が肩入れしており、中原では珍しくシンの操兵はほとんどが西方製である。 両者は敵対的関係にあるが、西方の模倣から東方が従兵機(弩弓兵)を製作したり、東方の模倣から西方が隠行機を製作するなど互いに影響を与えあっているのは事実である。しかし、一から呪操兵を作成する技術は、西方では失伝して久しい。
※この「東西の操兵の違い」の解説は、「聖刻1092」の解説の一部です。
「東西の操兵の違い」を含む「聖刻1092」の記事については、「聖刻1092」の概要を参照ください。
- 東西の操兵の違いのページへのリンク