東日本大震災による被災と復旧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 14:04 UTC 版)
「東北新幹線」の記事における「東日本大震災による被災と復旧」の解説
2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)により、東北新幹線は大きな被害を受けた。地震発生時には仙台・盛岡支社管内で14本の列車(うち13本は営業列車)が運行していた。14時46分に管内の海底地震計が基準値を超える地震を感知し、仙台駅 - 古川駅間を約270 km/hで走行していた2本の列車は、運転中止基準値18.0カインを超過する12 - 15秒前にき電停止により自動的に非常ブレーキが作動し、緊急停車した。。営業列車に脱線は生じなかったが、仙台駅構内を約72 km/hで走行していた試7932B列車(E2系)の4両目の前台車2軸が脱線した。脱線原因としては東北地方太平洋沖地震の地震動のうち高架橋の固有振動数に近い振動が共振現象により増幅され、その振動が車両に上心ロールを生じさせたことが原因とされている。ただし、早期地震検知システムにより脱線直前に減速されていたことや、車両の逸脱防止ガイドが機能したことで、車両が軌道から大きく逸脱することはなかった(主要技術も参照)。駅間やトンネル内で停車した列車では、飲食物の配布等が行われたが、当日中に全ての対応を行うことは困難な状況であった。その後、バスで乗客を避難所まで輸送し、翌12日中には全ての乗客の救済が完了した。 乗客の救済が完了した区間から新幹線線路設備の点検を開始し、16日に完了した。落橋やトンネルの崩落はなかったが、仙台駅ホームの天井が落下するなど5つの駅が損傷し、電化柱の損傷が約540箇所、架線の切断が約470箇所、高架橋の橋脚損傷が約100箇所、線路の損傷が約20箇所など、合計で約1,200箇所に被害が生じた。新幹線総合車両センターが被災したことで検測車両(East i)が使用できないため、京浜急行電鉄の軌道検測車等を借用して軌道検測を実施した。仙台駅構内で停止直前に脱線した試7932B列車の撤去作業は3月24日に行われた。 設備の損傷の少なかった東京駅 - 那須塩原駅間は3月15日に運転を再開した。盛岡駅 - 新青森駅間は3月23日再開予定とされていたが、当初の見込みより1日早く3月22日に運転を再開した(22日は1日6.5往復、23日からは1日10往復)。 一ノ関駅 - 盛岡駅間は4月8日再開予定とされていたが、当初の見込みより1日早い4月7日に一部区間徐行運転により運転を再開した(上下各5本)。しかし、同日夜に起きた東北地方太平洋沖地震の余震とみられる強い地震により新たに約550か所の被害が生じた。 4月12日に那須塩原駅 - 福島駅間で一部区間徐行運転により運転を再開した。また、同日再開した東北本線 福島駅 - 仙台駅間で臨時快速列車「新幹線リレー号」を上下計16本運転し(4月24日まで)、首都圏 - 仙台間の鉄道輸送が再開された。4月25日に東京駅 - 仙台駅間で「はやて」「やまびこ」44往復運転により運転を再開した。また、東北本線 仙台駅 - 一ノ関駅で臨時快速列車6往復の運転を開始した。4月29日に東北新幹線は全線で運転を再開し、東京駅 - 仙台駅間で上下108本、東京駅 - 盛岡駅間で上下57本、東京駅 - 新青森駅間で上下29本を運行した。全線運転再開にあわせて「つなげよう、日本。」「がんばろう日本! がんばろう東北!」のステッカーを貼って運転された。また、「はやぶさ」が東京駅 - 新青森駅間で1往復、東京駅 - 仙台駅で1往復運転され、グランクラス料金の一部は被災地復興支援の義援金として寄付された。 運転再開当日は仙台市地下鉄南北線の全線開通や、東北楽天ゴールデンイーグルス(Kスタ宮城・vsオリックス・バファローズ戦)・ベガルタ仙台(仙台スタジアム(ユアテックスタジアム仙台)・vs浦和レッズ戦)の本拠地初戦の開催と重なったことから、仙台市の市民ボランティアのTwitterでの呼びかけにより、九州新幹線開業CMを元に、通過する列車を沿線で手を振って迎えようというプロジェクトが企画され、当日は沿線で多くの人が列車に向かって手を振る様子が見られ、この模様がYouTubeやニコニコ動画などで配信された。 全線運転再開後も那須塩原駅 - 盛岡駅間では徐行運転による暫定ダイヤでの運転が継続されたが、7月9日に那須塩原駅 - 福島駅間および一ノ関駅 - 盛岡駅間で、9月23日には全区間で速度規制が解除され、約半年ぶりに震災前の所定ダイヤ(最高速度300 km/h)での運転が可能になった。
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