月のシンボルとは? わかりやすく解説

月のシンボル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 05:58 UTC 版)

ウサギ」の記事における「月のシンボル」の解説

日本から見た月面模様古くから餅つきをするウサギ見えていた事から日本には古来より、ウサギが月に棲むという説話仏教・道教説話あるいは民間説話として伝わっている。 たとえば、仏教的説話多く題材にとる『今昔物語集』第五巻第十三話「三の菩薩の道を行じ、兎身を焼く語」には、次のような捨身慈悲滅私献身象徴としてウサギ描かれる昔むかし天竺現在のインド)にウサギ・キツネ・サルの3匹のがあり、ともに熱心に仏教修行励んでいた。そこに、今にも倒れそうな見るからにみすぼらしい老人現れ養ってくれる家族もなく貧しく食べるものもないと3匹に訴えた。そこで、サル木に登って木の実をとってきたり、里に出て里人果物野菜かすめてきて老人与えキツネ川原行ってをとってきたり、墓に供えてあった餅や飯をかすめてきて老人与えたサル枯れ枝拾い集めキツネがそれに火をつけて、食事の支度始める。その一方でウサギは野を駆けずりまわり東西南北あちこち探し求めたが、老人与えるものは見つけられず、手ぶら帰ってくるしかなかった。そんなウサギ見てサルキツネそして老人までもが、ウサギ嘲笑し罵った。しかしウサギは言う。「確かに己には食べ物奪って持ってくる力はなかった。ですから、この身を焼いて食べください」と。そう言うがはやいかウサギは火の中にとびこんだ。この様子を見ていた老人は、たちまちにして本来の帝釈天の姿に戻りすべての生き物たちにこのウサギ善行の姿を見せるために、月の中にウサギ移した今でも月には煙のような雲影ウサギの姿があるのはそのためである。すべての人が、月を見るたびにこのウサギ行動思い起こすように。 以上が、「今は昔天竺に兎・狐・猿、三(みつ)のありて、共に誠の心を発(おこ)して菩薩の道(どう)を行ひけり」に始まり、「(よろづ)の人、月を見むごとに此の兎の事思ひいづべし」で終わる説話あらすじである。 平安時代末期ごろに原型成立したとされ、江戸時代には広く読まれていた『今昔物語集』採録されたこの仏教説話は、釈尊前世エピソード集めた古いインド物語ジャータカ中国の『大唐西域記』などの影響をうけているとみられる。この仏教説話いつごろ日本伝わり各地広まったかは定かではないが、奈良時代以前作られ法隆寺玉虫厨子台座背後須弥山図では、帝釈天宮の右上に月(中におそらくウサギ蟾蜍ひきがえる))と、左上真っ赤な太陽中に三本脚の烏)がすでに描かれている。また、そのころに作られとされる中宮寺天寿国繍帳にも、月を意味する円の中に不老不死の薬壺と月桂樹とともにウサギ刺しゅうされている。なお、中国由来道教神仙思想において、月は西王母という仙女治め世界であり、そこでは永久に枯れない木(月桂樹)のもとで不老不死の薬ウサギ作っているとされ、そこを訪れた美女蟾蜍せんじょ)に変えられ月にとどめられているという説話がある。 平安時代の『延喜式』には、「三本足の烏、日之精也。白兎、月之精也」という記述がすでにみられ、ウサギは月の象徴として為政者日本の寺社でも認識されていたことがうかがえる。他にも、「金烏玉兎きんうぎょくと)」という言葉があるが、日本では江戸時代までは、太陽と月、すなわち全宇宙を天皇統べるという意識のもと、朝廷ハレ儀式ときには日月を表す幟(のぼり)を必ず立てこととしていた。この幟には金烏玉兎それぞれ太陽と月象徴として描かれていたとされるまた、『続日本紀』天平4年732年正月の条に「御大殿受朝。天皇始服冕服。」とある。この年正月聖武天皇大極殿朝賀受けたが、天皇が「袞冕こんべん)」という礼服着用したのはこの時が初めてであるという内容であるが、以後天皇礼服となるこの袞冕(べん)には、赤地の衣の左肩の部分金糸の円(その中に黒の烏)、右肩部分銀糸の円(その中にウサギ蟾蜍)を刺しゅうしてある。中国皇帝黒地に左肩に月、右肩太陽礼服用いていたことの影響考えられるこうした月の象徴としてのウサギは、仏教・道教背景を持つ意匠とどまらず日本素朴な民間神事にもあらわれている。 日本中国インドアイヌ東南アジアアフリカなど各地に伝わる「射日神話」と呼ばれるものがある。本来なら、一つであるはずの太陽の数が増えすぎて猛暑大旱魃となり、困った人間たちは知恵絞り増えすぎた偽の太陽射落とすというものである日本でも各地奉射祭オビシャオコナイなどともいう)と呼ばれる弓神事民間行われてきた。現在でも、滋賀県利根川下流域茨城南部から千葉県などで広く行われているが、太陽擬した的と月に擬した的を用意し太陽擬した的だけを、弓矢で射抜く行事である。太陽の的には三本足の烏が描かれ、月の的にはウサギ描かれることが多い。 ウサギは月の化身であり神聖なシンボルとして広く用いられてきたのである

※この「月のシンボル」の解説は、「ウサギ」の解説の一部です。
「月のシンボル」を含む「ウサギ」の記事については、「ウサギ」の概要を参照ください。

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