月に賭けるとは? わかりやすく解説

月に賭ける

作者アーサーC.クラーク

収載図書天の向こう側
出版社早川書房
刊行年月2007.2
シリーズ名ハヤカワ文庫SF


月に賭ける

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/29 09:19 UTC 版)

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月に賭ける』(原題: Venture to the Moon)はアーサー・C・クラークの6篇のSF短編小説シリーズ。それぞれの話はどれも米ソ英による共同有人月探査ミッションについて書かれている。1956年ロンドンイヴニング・スタンダード英語版に掲載された。クラーク短編集「天の向こう側英語版」に収録されている。

あらすじ

スタート・ライン
The Starting Line
人類初となる有人月探査ミッションは米ソ英による共同ミッションとなった。地球軌道上で3カ国のロケットが組み立てられ、同時に出発することになっていたが、英国隊の隊長である「私」にある内々の指示が届く。それは予定時刻よりも1周分早く出発し、他国より先に月に降り立て、というものだった。
ロビンフッド教授
Robin Hood FRS
無事月に降り立ったメンバー達。しかし地球からの無人補給機が登頂不可能な丘の上に着陸してしまい、何とかして登山用ロープを頂上まで届けなければならない。幸いなことに、隊員の1人であるロビンフッド教授はアーチェリーの名手だった。
みどりの指
Green Fingers
ソ連の植物学者が単独行動で何かを行っている姿が度々目撃されていた。ある日その学者が行方不明になり、帰還信号にも応答しない事態が発生する。探索隊が彼の死体を発見するが、同時にある物も発見する。
輝くものすべて
All that Glitters
ある地球物理学者が月面で大きなダイヤモンドを発見し、嬉々として基地に帰還する。帰還して早々に彼の研究が成功したという地球からの報告書を手渡される。手渡した隊員は彼が2重に喜ぶと思っていたのに、何故か彼は落胆してしまう。
この空間を見よ
Watch this Space
月の上層大気を研究するため、ナトリウムを射出することになった。太陽の光を浴びるとナトリウムが輝き出すが、そこにはある文字が映し出されていた。
移住期間の問題
A Question of Residence
地球へ帰還することになったが、ソ連の宇宙船が故障してしまう。協議の結果、修理を諦めロシア人は米英の船で帰還すること、米英のどちらかが先に出発すること、が決まった。先に帰還した者がより大きな栄誉を手にすることは明らかだったが、「私」は何故か月に残ることを自ら申し出た。

経緯

『書誌学的な注釈』によると、クラークは当初、イヴニング・スタンダードの依頼を断っている。たった1500語で異質な環境を舞台にした物語を一般読者にも理解できるように書くことは不可能に思えたからだという。しかし後に興味深い挑戦だと考え直し、結局は依頼を引き受けた。このシリーズは好評だったようで、翌年の1957年には再び『天の向こう側』という6篇のSF短編をイヴニング・スタンダードに連載している。

参考文献

  • アーサー・C・クラーク『天の向こう側』山高昭訳、早川書房、2007年。ISBN 978-4150115999

月に賭ける

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 00:14 UTC 版)

天の向こう側」の記事における「月に賭ける」の解説

月に向けて出発することになったアメリカ、イギリスソビエトの各探検隊出来事を、次に挙げる6編のオムニバス形式したもの「スタート・ライン」 3隻の宇宙船は、宇宙ステーション3号軌道上組み立てられた。試験飛行発進演習行い燃料積み込まれた。発進時間も厳密に決められていた。ステーション発進し地球2度回ってからである。イギリス隊に極めて地位の高い人物から緊急電話があった。地球1度だけ回ったとき、電話指示従ったイギリス宇宙船ロケット点火した地球の影から出たときに後ろを見ると、他の2隻もついてきている。みんながフライング・スタートをしたのだ。宇宙空間では、余分な加速をすれば減速にも燃料消費する。それは帰還できないことにつながる。そのままの状態で航行した3隻は、ほとんど同時に月面着陸した。 「ロビンフッド教授最初補給ロケット無事に到着した。だが2隻目の補給ロケットは、自動操縦で高さ500フィート平らな山頂着陸してしまった。断崖人間登ることはできず、月の長い夜迫ってきていた。月面スポーツとして特殊なアーチェリー考案したイギリス隊の天文学者が、山頂にむけて矢を放ってみたが、月の低重力中でも届かなかった。そこで4本の矢をロープでつなぎ、1本目飛んでいるうちに2本目放ち、さらに次の矢を放ってみた。ロープ山頂まで届き無事に補給物資降ろすことができた。やがてその山は、月面図に「シャーウッドの森」と記されることになった。 「みどりの指」 ソビエト隊のスーロフ隊員が、1人行動している姿がイギリス隊に目撃された。事故のときの対応のため、2人上で行動することが決められているのに。植物学者のスーロフは、その後1人行動している姿をたびたび目撃された。ある日ソビエト隊の隊長からスーロフが行不明になったので捜索協力してほしいと連絡がきた。イギリス隊は彼が目撃されていた方向探した。スーロフは宇宙服ヘルメット前面割れた状態で発見された。もちろん死亡していた。死体近くには、厚い皮でおおわれ植物があった。彼は植物学者として、北極でも育つ小麦つくりあげたが、月面でも生育できる植物研究していたのだ。そして植物繁殖するために、小石のような種子を飛ばすところに遭遇しヘルメット割られたのだ。その植物は「スーロフのサボテン」と呼ばれるようになった。 「輝くものすべて」 アメリカ隊のペインター博士は、妻から逃げるために月面に来たと噂されていた。彼女は浪費家で、特にダイアモンド執着していた。ペインター地球上でも、別の研究平行して進めているらしく、共同研究者頻繁に通信行っていた。ある日探検に出かけていた彼のグループは、とんでもないものを発見し意気揚々と帰ってきた。それはダイアモンド原石で、今まで知られているダイアモンドの中では、少なくとも2番目の大きさだった。彼が帰着する前に地球から届いていた電文を隊長手渡した。それにはこう書かれていた。「実験大成功大きさ制限なし。費用はわずか」。ペインター人工ダイアモンド製造研究していたのだ。彼が言った。「これは昨日までなら、100万ドル価値があった。今日から数百ドル価値しかない」。彼が持ち帰ったこのダイアモンドは、妻のアクセサリーになったが、それは3ケ月のあいだだけだったペインター製法によるダイアモンド市場出回ると、妻は精神的虐待理由離婚した。 「この空間見よアメリカ隊が、地球からも観測できる実験行った。それは月面の上空にナトリウム原子放出し太陽光線をあてて発光させるというものだった補給ロケット届けられ通称ナトリウム爆弾」は、高熱気化されナトリウム蒸気を、特殊なノズル通して上空噴出し上昇していくあいだに日光浴びて輝かせる、というシステムだった。月面での日没直後実験行われることになり、3つの探検隊あらゆる観測装置もちろんのこと地球上のほとんどの望遠鏡むけられた。点火回路スイッチ入れられ爆弾内部圧力上がっていった。突然、ノズルからナトリウム蒸気吹きだして上昇していく。太陽光線が当たった瞬間、それは黄色に輝きだした。口径5センチ望遠鏡でも見られるその光は、世界中知っている飲料広告だった。AやC、LやOで書かれ文字ノズル加工した地球技師はくびになったが、彼の老後の生活まで飲料メーカーによって保証されていた。 「居住期間問題3つのチームによる探検は、大成功だった。5ヶ月間の活動での死者ソビエト隊のスーロフだけでその死因わかっていた。だが月面あちこち置かれ装置はまだ計測続けていて、そのデータ地球自動送信することはできなかった。そのため1チームが残る必要があった。そんな中ソビエト宇宙船事故使えなくなった隊員たちはアメリカとイギリス宇宙船便乗して帰還することになったイギリス隊の1人教授隊長に話をした。隊長もその話に同意して遅く帰還することにした。アメリカ宇宙船出発してから1ヶ月後、イギリス隊も2人ソビエト隊員乗せて帰還した。彼らは宇宙で7ヶ月間も過ごしていた。会計年度半分以上の期間、イギリスにいなかった隊員たちは税法恩恵受けた

※この「月に賭ける」の解説は、「天の向こう側」の解説の一部です。
「月に賭ける」を含む「天の向こう側」の記事については、「天の向こう側」の概要を参照ください。

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