曲とレコーディング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 07:21 UTC 版)
「思い出のキャロライナ」の記事における「曲とレコーディング」の解説
この曲ではテイラーがノースカロライナ州で育った年月が言及されている。テイラーはこの曲をビートルズのレーベル、アップル・レコードでの海外録音中に作った。メリルボーンハイストリートにあるプロデューサーのピーター・アッシャーのロンドンフラットでこの曲を書き始め、地中海のフォルメンテラ島での休日に作業を再開し、出会ったばかりのスウェーデン娘のカリンと過ごしたイビサ島近くの島で仕上げた。この曲には自身の家族、犬、故郷と離れた当時のテイラーの望郷の念が反映されている。 Dark and silent late last night,I think I might have heard the highway calling ... Geese in flight and dogs that biteAnd signs that might be omens say I'm going, I'm goingI'm gone to Carolina in my mind.暗く静かな昨夜遅く、ハイウェイが呼んでいるのを聞いたと思った…鵞鳥が飛び犬が噛みつきこの徴は僕が行く、僕が行く、僕が心の中でキャロライナに行く前兆だ。 オリジナルの録音は1968年の7月から8月の間の期間にロンドンのトライデント・スタジオで、アッシャーのプロデュースで行われた。歌詞の中の "holy host of others standing around me"(その他の聖なるホストが僕のまわりに立っている)はテイラーがアルバムをレコーディングしている時に同じスタジオで『ホワイトアルバム』をレコーディングしていたビートルズへの言及である。実際、「思い出のキャロライナ」のレコーディングにはベースギターでポール・マッカートニーの参加がクレジットされており、クレジットはされていないがバッキング・ボーカルにはジョージ・ハリスンが参加している。その他のミュージシャンとしてはオルガンにフレディ・レッド(英語版)、ドラムスにジョエル・"ビショップ"・オブライエン、そしてテイラーとならぶ2台目のギターにはミック・ウェイン(英語版)が参加している。テイラーとアッシャーはバッキング・ボーカルも担当し、アッシャーはタンバリンも担当した。リチャード・ヒューソンがストリングスの編曲と指揮を行い、30人構成の野心的なオーケストレーションが録音されたが使用されなかった。曲自体は評論家の称賛を浴び、ローリング・ストーン誌の1969年4月のレビューでジョン・ランドーはこの曲を「美しく」アルバムからの「もっとも深く惹き付けられる2曲」のうちの1曲と呼び、マッカートニーのベース演奏も「尋常ではない」と称賛している。テイラーの伝記作家ティモシー・ホワイト(英語版)はこの曲を「アルバム中の静かな最高傑作」と呼んでいる。アルバムのリリースから50年後に振り返って、ビルボード誌はこの曲を「甘美なテイラーの最高傑作」で、"stone-classic" と呼んでいる。 この曲はセルフタイトルのデビューアルバムに収録されて1968年12月(アメリカでは1969年2月)にリリースされ、後にシングルとしてイギリスでは1969年2月、アメリカでは1969年3月にリリースされた。しかしながら、アルバムのリリースと同じ(薬物中毒によるテイラーの入院によるプロモーション活動ができないという)問題に悩まされ、シングルのもともとのリリースは全米ポップ・チャートで118位に達したにとどまり、イギリスではチャートインしなかった。。実際のところ、テイラーはロンドンでのレコーディングセッションの間に依存症を再発しており、ビートルズに取り囲まれていると言う行のすぐ後に "Still I'm on the dark side of the moon"(まだ僕は月の暗い側にいる)と続けている。テイラーのセカンドアルバム、『スウィート・ベイビー・ジェームス』と、そこからのヒットシングル「ファイアー・アンド・レイン」の成功を受けて、アップルは1970年10月に「思い出のキャロライナ」をシングルとして再発売し、全米チャートで67位に到達した。(以前、リリースされなかった「思い出のキャロライナ」のアコースティックデモは『ジェームス・テイラー』のアップル・レコードによる2010年のリマスタリング版にボーナストラックとして収められた。)カナダでは、この句は1969年の春に最高64位に達し、1970年秋に再度チャートインして39位に到達した。 この曲と「彼女の言葉のやさしい響き」の2曲は1970ねんだいのアップルの使用許諾に対する頑なさによって、アップル所有のマスターの使用が不確実なことから、別バージョンがテイラーの1976年のコンピレーションアルバム『グレイテスト・ヒッツ』で使用するためにリメイクされた。新規録音は1976年10月にロサンゼルスのサウンド・ファクトリーで行われ、再度ピーター・アッシャーがプロデュースを担当した。 「思い出のキャロライナ」のこの時の解釈はオリジナルよりもゆっくりしたテンポで、テイラーのアコースティックギターと共にペダル・スティール・ギターのダン・ダグモア(曲の最後で連続的に下がって行く音が注目される)、ベースのリー・スカラー、ドラムスのラス・カンケル、ピアノのクラレンス・マクドナルド、ハーモニウムのアンドリュー・ゴールドおよびフィドルのバイロン・ベルリン(英語版)などのLAのセッション・ミュージシャンが参加した。バッキング・ボーカルはゴールドとテイラーが担当した。『グレイテスト・ヒッツ』は2001年までに米国内で1100万枚をうりあげ、ダイアモンド・レコードとなり、「思い出のキャロライナ」はこのバージョンが最も広く知られることになった。リメークはオリジナルよりも評論家の称賛を集めた。オールミュージックのビル・ジャノヴィッツ(英語版)は1976年の録音について「この曲のけだるい、哀愁を帯びた悲惨なカントリーの憂鬱を強調した」と述べ、1979年の『ローリング・ストーン・レコード・ガイド(英語版)』では、評論家のスティーヴン・ホールデン(英語版)が「見事な」リメイクがテイラーの歌唱がこの数年で強化されたことを示していると述べている。伝記作家のホワイトはオリジナルのオーケストレーションがなくなったことが曲に恩恵を与えていると信じていた。 1976年の再録音はテイラーの2003年のコンピ―レーションアルバム『ベスト・オブ・ジェームス・テイラー(英語版)』にも収録されている。
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