戦争体験 - 政治と詩とは? わかりやすく解説

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戦争体験 - 政治と詩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/25 22:54 UTC 版)

フランシス・ポンジュ」の記事における「戦争体験 - 政治と詩」の解説

1914年15歳のときに第一次世界大戦勃発これを機に、ポンジュは政治への関心深めていった。1916年法学バカロレア取得した後、高等師範学校受験準備のためにパリ出てリセ・ルイ=ル=グラン入学。ジャン・ド・ボンヌフォン(フランス語版主宰の詩誌『プレスキル(半島)』に初めソネット十四行詩)が掲載された。「憎しみ抱き続けるために」と題する詩で、彼の政治への深い関心とりわけ国民団結という当時理念沿った好戦的な愛国主義への傾倒が伺われる。ポンジュの家族(主に父親)との書簡未刊行のものを含む)から、この頃のポンジュの政治への関心詩作との関連性分析したブノワ・オークレールは、当時のポンジュは愛国的英雄的行為自己の存在理由を見いだそうとし、詩をこのための手段と考えていたと論じている。 翌年1917年ソルボンヌ大学法学哲学科入学するが、試験2度失敗した最初同年11月哲学学士号取得のための試験で、筆記試験合格した後、口頭試験臨んだ課題は「精神生活において功利主義的な動機が担う役割は何か」というものであったが、ポンジュはこのとき、道徳精神に関する彼の解答表現)が自分外部にある基準従った評価を受けるということ、そのために自分正直な気持反した解答表現)をしなければならないという矛盾した状況直面し言葉発することができなかった。翌1918年3月高等師範学校受験でも同様に筆記試験には合格したものの、口頭試験では言葉一言も出なかったために落第した。ポンジュはこれについて父親の手紙に、「言葉をつなげること」ができずに深い無力感徒労感覚えたと書いているが、オークレールは試験前日パリ空爆受けたこと、これによって彼が受けた衝撃考えると、彼の葛藤は一層複雑であると指摘する実際、ポンジュは1916年従兄のマルク・ソーレルが戦死したのを機に学業中断して志願兵として出征する決意をしたが、急性虫垂炎罹って断念せざるを得なかったという経緯がある。この希望実現しファレーズ(カルヴァドス県)歩兵連隊入隊したのは、試験失敗翌月1918年4月のことである。ところが、前線送られ歴史的事件身をもって関わることで、これまで抱いていた信念崩れていく。たとえば、1918年10月13日には、前線では多く出来事次々と起こるために茫然自失となって物事客観的に見ることができないという趣旨の手紙(未刊行)を父親書き送っている。また、1919年の冬に、ジフテリア患ってシャンティイ戦時病院移されたときに書かれた「私たち温室散歩」では、言葉に対して助けたまえ!もはや踊るすべも、身振り秘密わからず動作による直接的表現を行う勇気知恵持たない人間助けたまえ!」と訴えており、ポンジュにとって詩はもはや政治参加の手段ではないこと、むしろ政治参加によって表現危機に陥っていることがわかる。こうして、当初好戦的な愛国心抱いていた彼が、軍隊個人に強いる服従と「馴致」に反発覚えるようになり、実際、軍の規律違反してマント=ラ=ジョリー駐屯地から無許可外出したために、終戦時には身柄拘束されていた。オークレールはこれを政治参加(アンガジュマン)から離脱解放(デガジュマン)への転換捉えている。すなわち、戦争体験によってポンジュのなかに生じたこのような葛藤転向詩人として方向決定づけたのであり、このことは、後に詩人としてのポンジュが政治革命思想さらには芸術・文化革命社会革命つなげようとしたシュルレアリスムと常に一定の距離を置いていたことを理解するうえで重要になる

※この「戦争体験 - 政治と詩」の解説は、「フランシス・ポンジュ」の解説の一部です。
「戦争体験 - 政治と詩」を含む「フランシス・ポンジュ」の記事については、「フランシス・ポンジュ」の概要を参照ください。

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