富嶽による米本土爆撃機計画とは? わかりやすく解説

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富嶽による米本土爆撃機計画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 05:16 UTC 版)

「富嶽」記事における「富嶽による米本土爆撃機計画」の解説

1942年昭和17年)、アメリカ軍による初の日本本土空襲ドーリットル空襲)と、日本軍による初のアメリカ本土空襲が行われた。この年中島飛行機創始者である中島知久平立案した必勝防空計画』に書かれていた、アメリカ合衆国本土空襲した後にそのままヨーロッパまで飛行し同盟国であったナチス・ドイツまたはその占領地着陸することが可能な大型長距離戦略爆撃機Z飛行機構想が、のちの富嶽である。同年8月15日大本営陸軍部は「世界戦争完遂ノ為ノ決戦兵器考案」を陸軍省要望した。その中に「超遠距離飛行機」「特殊気球(フ号装置)能力増大」という項目があった。 アメリカ本土爆撃視野入れ日本飛び立ち太平洋横断してアメリカ本土爆撃そのまま大西洋を横断してドイツ寄り補給を受け、再び逆のコースアメリカ再攻撃しながら戻ってくるか、またはソ連爆撃しつつ世界一周すると言う壮大な計画であった全長45 m(米軍太平洋戦争実戦投入した4発戦略爆撃機ボーイングB-291.5倍)、全幅65 m(B-291.5倍)、爆弾搭載量20トンB-292.2倍)、航続距離19,400 kmB-29の3倍)、6発エンジン目指した。 中島飛行機設計にかかわる。1943年昭和18年5月31日中島軍令部官邸での夕食会本機富嶽)の構想説明する昭和20年にはB-29大型爆撃機大量配備され「要スルニ現状デハ日本軍需工場全滅シテ戦力ヲ失フノハ明カデアルカラ、大型機ヲ急速ニ設計生産着手セネバナラヌ」と指摘しB-29対抗するには「其ノ飛行場使用不能ニスル事ガ考エラレル」と述べた中島は、東條英機首相をはじめ、陸海軍大臣関係者にも構想訴えていたという。 このあと陸海軍共同計画委員会によって計画承認され、これに軍需省加わった体制開発進められた。しかし陸海軍要求性能大幅に異なったため調整苦労強いられ、かつ軍需省途中で独自に川西航空機設計案を作らせ、しかも陸海軍他社はおろか中島飛行機内部にさえ根強い反対論があるなど、開発体制には多く問題があった。第一次案では、下記仕様のごとくハ54×6基であったが、空冷四重星型という新形式の開発手間取り応急案としてハ44空冷二重星18気筒、2,450馬力/2,800 rpm)やハ50空冷二重星22気筒、3,100馬力/2,400 rpm)6基装備暫定的に計画進めたこの影響爆弾搭載量20 tから15 t減らされた。 当時日本はおろか戦後すぐのアメリカにおいてすらも、その技術力工業力では手にあまると思える空前スケール機体1946年初飛行したアメリカ製超大型爆撃機B-36ピースメーカー推力不足に悩まされ当時としては最新鋭装備であったジェットエンジンやむなく追加したであったため、実現までに解決せねばならない諸問題山積し与圧キャビン研究新式降着装置開発行われた1943年昭和18年)より中島飛行機三鷹研究所構内組み立て工場の建設開始された。しかし1944年昭和19年4月28日日本軍陸海軍当事者軍需省、関係製作会社集めて重爆撃機「富嶽」研究続行するかを検討した富嶽予定どおり生産した場合日本陸軍四式戦闘機疾風)の943機減産海軍陸上爆撃機銀河235機の減産を招く見通しとなった資材工作機械技術研究観点から、富嶽研究は「遺憾ながら中止せざるを得ない」との結論至った日本軍同年6月下旬マリアナ沖海戦敗北絶対国防圏の東の鎖ともいうべきサイパン7月6日陥落最大支援者であった東條首相周囲からの排斥によって7月18日辞職した本土防空戦のための戦闘機開発優先開発機種削減方針により、「この戦争間に合わない」と判断され富嶽開発中止となった

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