大晦日から元日にかけての終夜運転
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 03:34 UTC 版)
「終夜運転」の記事における「大晦日から元日にかけての終夜運転」の解説
「初詣臨時列車」も参照 深夜帯でも需要があり、社会的な習慣でもある年末年始の初詣については、終夜運転により対応が行われている場合が多い。首都圏・近畿圏・名古屋・福岡などの大都市圏を中心に実施されている。 日本においては1902年の大晦日から初詣客を対象とした列車が運転されており、当時は東京都交通局(都電)の前身である東京電車鉄道が新橋から上野・浅草間にて行われていた。なお、社名に「電気鉄道」とは書かれているが実際は馬車鉄道だったといわれている。 国有鉄道(鉄道省)では1921年から行われていて、当時は山手線の全線と京浜東北線(桜木町から上野間)・中央線(東京から中野間)の一部区間で実施された。1941年に太平洋戦争が勃発したことを受けて、同年から終夜運転は行われず、終戦後の1946年に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指示を受けて都電が、サンフランシスコ平和条約の発効に伴い、日本の主権が回復した1952年に国鉄がそれぞれ終夜運転を再開した。 大手私鉄では、1928年大晦日より翌日1929年元日に掛けて実施した京成電鉄が最初の事例となり、以後急速に他社にも広まった。戦時体制下までに一旦大手私鉄全社で廃止されるも、1949年大晦日より同じく京成電鉄で復活した記録が残されている。1952年大晦日より京浜急行電鉄、小田急電鉄、東武鉄道でも終夜運転が復活した。西日本での終夜運転開始の明確な時期は不明だが、近畿日本鉄道では戦前以来実施し、戦時体制下までに一旦廃止されるも1952年大晦日に復活し、伊勢神宮をはじめとした多くの寺社への初詣客が見込まれる路線を中心に、特急の終夜運転も実施される。 かつては小田急電鉄でも一般列車に加え江ノ島方面を中心に特急「ニューイヤーエクスプレス」などを運行していた。 ただし、1990年代後半以降、一部の鉄道事業者(大手私鉄では東急電鉄や西武鉄道、小田急電鉄など)では「需要が認めにくい」等の理由により最終列車の繰り下げ(午前2時頃まで)や始発列車の繰り上げ(午前4時頃から)などで対応し、終夜運転とはならない場合もある。また名古屋鉄道では2004年度の運行を最後に中止している。JR各社でも、北海道旅客鉄道(JR北海道)と東海旅客鉄道(JR東海)では2014年度の終夜運転を中止した。東京都交通局(都営地下鉄)では労働争議により一時期終夜運転を中止していた。そのため一部鉄道路線では終夜運転を行わない路線が終夜運転を行う路線に振替輸送を行う措置を取った。 現在実施されている事業者においても、利用者の減少や運行コストの増大などにより、本数の削減、あるいは実施路線や運行区間の縮小が行われている事業者も多い。終夜運転に従事する乗務員・駅係員には深夜勤務・正月勤務合算の二重の手当てが上乗せされるのに対し、乗客から支払われる運賃は日中と同額になっている。 新型コロナウイルス感染症の流行第三波下で迎えた2020年の大晦日は、感染拡大防止の観点からJRや私鉄各社の多くが大晦日の終電繰り下げ、終夜運転、元日の始発繰り上げなどを行わないことにした。当初は終夜運転を行う予定だった東京メトロやJR東日本などの一部鉄道事業者も終夜運転を中止するように東京都知事の小池百合子など、首都圏1都3県の知事や国土交通省からの要請を受けたことを踏まえ、後日運転の取りやめを相次いで発表した。 日本以外では台湾(台北)で、12月31日より1月1日にかけて、主に年越しのために台北101へのカウントダウンを目的としたものが知られている。
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