大乗戒壇の設立とは? わかりやすく解説

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大乗戒壇の設立

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 06:10 UTC 版)

最澄」の記事における「大乗戒壇の設立」の解説

最澄弟子朝廷との交渉であった光定著した伝述一心戒文によれば弘仁9年818年)に最澄天台法華宗広めるために大乗寺を建て、光定一乗の号を名乗らせる告げた光定はこの事を藤原冬嗣通じて天皇上奏するが、南都の僧の反対にあって叶わなかった。『叡山大師伝』によると、同年3月最澄が「今後声聞利益受けず永く小乗威儀にそむくべし」とし、具足戒破棄した記される続いて最澄は『山家学生式』などを著し天台法華宗の僧育成制度について朝廷裁可要請する国宝とは何か。道心悟り求める心)を持つ人を名付け国宝という。ゆえに古来哲人は「径1寸の珠10国宝ではない。世の一隅を照らす人が国宝である」と言う。 — 最澄、『天台法華宗年分学生式』 この中で最澄大乗戒のみによる受戒十二年籠山行など革新的な受戒制度育成制度提唱する弘仁10年3月15日に『天台法華宗年分度者小向大式』が提出されると、嵯峨天皇は「真理叶ったものであれば取り計らうように、真理に叶わなければ取り計らってならない」と返答。この件を玄蕃寮長官真苑雑物僧綱護命告げ護命南都七大寺意見求めたうえで、最澄主張には道理がないとして反対の意を上奏した。この上奏文天皇の勅により10月27日最澄渡された。これに対し最澄は翌弘仁11年821年2月29日に『顕戒論』と『内証仏法相承血脈譜』を内裏提出して反論。さらに弘仁12年3月に『顕戒論縁起』を朝廷提出する。しかし最澄提言生前叶う事は無かった天台宗独自の制度樹立図った最澄意図についてはいくつ考えられる第一護国である。奈良時代仏教東大寺国分寺建立見られるように護国期待されていたが、災害疫病絶えなかった。最澄はその原因小乗戒(具足戒)を受けた僧に求め、これを大乗僧の純粋培養によって克服しようとした。第二時代である。釈迦入滅し2000年い年月が経って末法が近い世で悟りに至るには、長く時間のかかる方法ではなく大きく真っすぐな道によらなくてはならないとした。この二点を解決するために戒律制度の改革提唱した鑑真日本もたらした戒律制度は唐の天台宗含めて諸国標準となっていたもので、僧になるためには具足戒三師七証前に受戒せねばならず、また菩薩戒具足戒受けた僧が補助的に受ける、あるいは在家信者が受ける戒としていた。それに対し最澄梵網経菩薩戒のみで僧になれるとし、あわせて受戒釈迦仏文殊師利菩薩弥勒菩薩三師とし、一切の仏を証師としたうえで一人伝戒師居ればよく、伝戒師が居なければ自誓受戒でもよいとした。また在家出家は姿(剃髪袈裟)で区別できるとする。このような大胆な戒律制度日本独自大乗仏教育み、のちに延暦寺から輩出され鎌倉新仏教の礎となった最澄意図した第三比叡山から僧の流出を防ぐことである。前述のように天台法華宗受戒した僧が法相宗に度々奪われていた。第四天台教団独立である。南都六宗僧綱頂点とした管理機関を持ち天台法華宗年分度者であっても東大寺受戒していた。また僧は治部省属す玄蕃寮掌握していた。この二点を克服する手立て比叡山上で受戒と、続く12年に渡る籠山などであった天台法華宗年分度者与えられてから10年間で受戒した20名のうち、比叡山住するものは僅か6名であった。これは南都の寺に所属する僧が天台法華宗割り当て利用して受戒していたことも原因一つ考えられる最澄得度受けてから受戒経てその後修学にいたるまで比叡山内で完結させることで、多く天台僧を育成することを図った考えられるそれまで籠山修行をする僧は居たが、これを制度化したのは最澄初めてである。また籠山終え学問修行共に満足であった者には、最高の僧位である大法師位を与えて欲しいと訴えている。最澄大法師位を授かったのはこの後の事で、非常に高い要求であったことがわかる。さらに大乗戒受けた僧については僧籍治部省移さず民部省置いたままとしたうえで、受戒にあたって発給される度縁については具足戒同様に官印を捺してもらうとしている。また官の派遣により俗別当(僧でない管理者)を置くことや他宗からの入門規定、あるいは官費給付不要破戒僧処罰などを明文化している。これらは天台法華宗既存仏教政策から離脱し太政官直下置かれて独自の管理組織構築することを意図していると考えられる

※この「大乗戒壇の設立」の解説は、「最澄」の解説の一部です。
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