国内における状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/06 12:51 UTC 版)
雑誌媒体が広告の中心であった当時において他の機種がグラフィックスによる高精細な表示を実現するのに対し、キャラクタグラフィックスのみの本機はスクリーンショットの写真などでは見劣りがした。テキストならではの高速な表示を生かしたソフトウェアもあったものの、ライト志向のユーザーを獲得しつづけるには至らず、結果市販ソフトはあまり多く供給されなかった。また、他のシリーズや旧機種と異なり、初心者向けというコンセプトからか周辺機器、開発ツールなど、セルフ開発が可能になるようなオプションの発売が遅れ、特にフロッピーディスクドライブに関しては純正品の発売は拡張I/Oボックスの発売が1983年、FDDの発売は更に先の1984年4月と、後継機であるMZ-1500の発売前月まで待たされることとなった。こうしたメーカーの姿勢はヘビー志向のユーザーが離れる一因ともなり、その間に待てなかったユーザーの一部では雑誌の紹介記事を元にケーブルを加工して旧機種の拡張I/OユニットであるMZ-80I/Oを接続し、FDDや、旧機種のシステムプログラムを用いて環境を構築するなどの試みもあった。また、カタログ掲載はない物のMZ-1C18が同等の配線のアダプタとして存在している。 このように、低価格帯の入門機、言い換えれば低機能でさほど魅力のない機種とみなされがちであった同機であるが、評価が変わるのはOh!MZ誌の1986年11月号に「ゼビウス(タイニーゼビウス)」が掲載された頃である。仕様としては低機能な機種ではあるが、多くの機種のテキスト画面と異なり、背景色も文字単位で指定することができ、全ての要素を含んでも1キャラクタに対して必要な容量は2バイトである。40×25の1000文字で1画面が構成可能であると同時に、他に手段がないため、結果として表示に対して必要なデータ量はビットマップグラフィックスの利用と比較して圧倒的に減少することになる。上記のタイニーゼビウスでは、後半こそ縦に縮小された様なマップになっているものの、データ圧縮なしに全てのマップがオンメモリで格納されている。他の機種が同ゲームの移植時にテープデバイスやフロッピーからゲーム中に順次ステージデータを読み込んだり、データの圧縮によってメインメモリに押し込んだこととは対照的である。その後もアトリビュートとキャラクタを駆使した幾つかのゲームプログラムや、MacIIのToolboxを参考に作成された汎用ライブラリの発表などが行われた。それらのノウハウを元に発想を更に割り切り、チェッカ(市松模様)のキャラクタをタイリングパターンとしてテキストVRAM一面に敷き詰め、1文字分を1ピクセルに見立ててアトリビュートのみを書き換えることで、40×25ドット36色として画面を構成したのが、Oh!X誌の1988年10月号に掲載されたスペースハリアーである。他機種の同ゲームの移植作品が操作性や速度・容量に苦心している中、見た目こそモザイクのかかったような画面ではあるものの、動きと色表現に注力し他の移植作があきらめたフィーチャーまで含む比較的再現性の高い移植をオンメモリで実現した。 これら素直なコーディングによって引き出されてきたMZ-700の機能ではあるが、1999年からラスタ単位での制御を行う事によって本体のみでビットマップ表示を行う試みが出てきた。キャラクタパターンをディスプレイコントローラが1ライン描画するごとに別のキャラクタに変更することで、見かけ上表示されるエリアは48×200のビットマップを構成するというものである。最終的に3行ほどの非表示エリアを作り、そのタイミングを利用しアトリビュートの書き換えを行うことで、88×176のビットマップ表示が実現され、サンプルプログラムとして野球拳が作成されている。 その後、2000年代に入っても、動画サイトなどにおいてさまざまな試みが行われている。上記のような制御の発展として72×42ピクセル8色の表示を経て、実機で実現できる範囲という条件のもとで外部にメモリボードを増設し、フレームごとの表示色の切り替えによる擬似的な多色表示とPWM変調によるPCM再生を同期させた動画再生を行うなど、発色、動きなど様々な面に対して様々なアプローチがとられた。これらの処理はハードウェアのサポートをほぼ受けられないこともあり、CPUの命令処理時間を考慮して処理タイミングをディスプレイコントローラと同期させるコーディングを行うことで実現している。 2016年には、MZ-1500で拡張された部分と一部オプションを実装した「MZ-1500バージョンアップアダプタ」を拡張バスに接続することによって、MZ-1500相当にする試みが個人によっておこなわれ、幾つかのMZ-1500用のソフトウェアがMZ-700で動作する様が動画で公開されている。
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