テキストVRAM
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 23:34 UTC 版)
「キャラクタ (コンピュータ)#キャラクタディスプレイ」も参照 コンピュータにおけるRAMの容量が小さかった時代では、文字のグリフのような高度なグラフィックスデータをそのまま保持しておくことは困難だった。そこで初期のコンピュータでは、キャラクタ(文字)のみの描写に特化したテキスト(文章)画面を持っていた。これは画面上に表示する文字のキャラクタコードのみをVRAMに記憶し、走査時にCRTコントローラがVRAMの値を元にあらかじめキャラクタジェネレータROM内に用意されたフォントデータを文字として展開するものである。 国産機種の場合、CG-ROM内には、ASCIIコードに含まれる英数字の他、空き部分には、カタカナ、記号等が割り当てられ、記号は機種によって異なったほか、平仮名のフォントを持っている機種も存在した。通常、書き込む値は、ASCIIコードと一致していたが、MZ-80シリーズと、その後継機はディスプレイコードという特殊な並びのデータを書き込むようになっており、テキストモードしか持たない同機では、キャラクタコードの一部を4×4のピクセルに見立て、その組み合わせである空白を除いた15個のパターンを割り当て、80×50ピクセルのビットマップパターンとして見立てる様になっており、擬似的に超低解像度のビットマップを実現していた。広告では「セミグラフィック」と記述されている。 テキストVRAMには、その文字の属性、色等を示すアトリビュートエリアが文字そのもの以外の領域として多くの機種が持っていた。グラフィックスプレーンを兼用する場合は、その場所のデータをどう扱うかというものや、純粋にテキスト用のエリアであっても、複数の文字単位ないし、文字単位で、文字色、背景色、ブリンク、キャラクタテーブルの指定等を行えるようになっていた。これらの構造は、ハードウェア的にキャラクタディスプレイの機能を持たない機種であっても、サブプロセッサ領域内に相当する領域が設けられており、少ないデータによって文字列を処理することを可能にしていた。 また、キャラクタジェネレータROMは、単色、256パターンのフォントを書き込まれたROMであることが多かったが、この部分をRAMにし、物によっては、カラーでデータを持てるようにしたものが、PCGである。ワープロや、一部機種の外字、ゲーム機のBG画面のパターン等も同様の機能と利便性を提供する。 これらの実装では、1文字に付き、文字種の指定が1バイトとなっており、空白を含め、256種しか取り扱えず、英語圏では有用ではあったものの、日本語の文字情報を取り扱うには仕様として不足していた。そこで、テキストVRAMのテキストを取り扱う部分自体を拡張した、漢字テキストVRAMをハードウェア的に持つようになった機種も生まれた。8ビット機では、X1turbo、MZ-2500。16ビット機ではPC-9801シリーズがこれらの仕組みを持っており、グラフィックスプレーンにソフトウェア的に処理するよりも格段に早く、快適な日本語のテキスト処理を可能としていた。 その後、ハードウェアの進化に伴い、日本語処理もソフトウェア的に処理するDOS/Vや、文字の座標が不定であるGUIなど、速度的に問題がなくなったり、ハードウェアによって表示座標や文字種、フォントが固定されることが問題になる実装が出てくると、ハードウェアによるテキスト処理は見られなくなっていった。ゲーム機などにおけるタイルパターン等の実装も、ポリゴンとテクスチャマッピングを基準とした構造のハードウェアが増えるにつれ、前述のような構成・機能を持つことは無くなった。 2019年5月現在のPCでもPOST画面等、最低限のシステムで文字情報が表示できるよう、同じ手順で文字を表示する仕組みを備えている。
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