キャラクター‐ディスプレー【character display】
キャラクタディスプレイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/19 18:38 UTC 版)
「キャラクタ (コンピュータ)」の記事における「キャラクタディスプレイ」の解説
通常のラスタースキャン方式のディスプレイでは、表示する際に、ピクセル毎にその輝度を決定する必要がある。RAMが高価だった時代、コンピュータで使用したのは主にコマンドラインインターフェースであり、文字情報しか表示しないものにディスプレイ全面のピクセルに対応するRAM(VRAM)を用意するのはコストが合わなかった。そのため、ある一定の大きさ(8×8など)のドットマトリクスごとに1バイトの記憶領域を割り当てて、VRAMの容量を節約するキャラクタディスプレイが一般的だった。また、それに合わせたディスプレイコントローラーが使用された。現在のPC/AT互換機のチップセットにもこのような表示用の機能が残っており、BIOS画面等で使用しているものもある。 日本製パーソナルコンピュータの黎明期にも多くの機種は同様の構造を持っており、テキストVRAMの値を基準としてキャラクタディスプレイが行われていた。多くの場合、8×8ピクセルで構成されたパターンがあらかじめ定義されたキャラクタジェネレータROMを本体に持っており、大文字、小文字のアルファベット、数字、カタカナに加え、記号が定義された。記号の中には、4×4ピクセルのパターンを定義することで、それを配置することによって擬似的に図形等を表示し「セミグラフィックス」と呼称していた。記号部分については、機種によって様々であり、曜日の定義や、ゲームに使うようなキャラクター、トランプのスートなど様々なものがあり、ひらがなのパターンを持つ機種も存在する。 キャラクタディスプレイのみという制限を補完するため、テキストVRAMには、別途アトリビュート領域が設けられることが多く、表示色、背景色、ブリンク等の指定を、複数キャラクタ毎またはキャラクタ毎に指定することが可能になっていた。 各キャラクタ群のみの組み合わせて絵を書くことをアスキーアートと呼ぶことがある他、アトリビュートなどを併用したこれらのテキスト画面によって描かれた絵をキャラクターグラフィックと呼んだ。MZ-700にはグラフィック用のVRAMはないものの、テキスト、背景の色をキャラクタ単位で指定できるため、これらを応用し、チェッカを用いたディザリングをはじめとする方法によって描画する試みもあった。これらの手法は、解像度は低い反面、非力なCPUでもダイナミックな描画を実現できるというメリットもあった。 グラフィックスプレーンを持つことが可能になった時期には、文字の描画をサブプロセッサと、その周辺回路に持たせ、グラフィックスプレーンに直接描画するという実装もあった。その場合でもこのテキストVRAMに相当するエリアは存在しており、「文字コードのみ」でテキストを扱う手段は存在している。 これらの実装は、英語圏や、英数字のみを扱う場合には有用だったが、日本語を取り扱うには大きな制限となった。多くの機種では、グラフィックスプレーンに対し、漢字ROMを併用することでソフトウェアでROM内のパターンを描画していたが、ハードウェア的に拡張されたテキストプレーンを追加し、キャラクタディスプレイの形で漢字表示を実現している機種も存在する。 8ビット機では、X1turbo、MZ-2500。16ビット機ではPC-9801シリーズがこれらの仕組みを持っており、キャラクタとして漢字を取り扱うことでグラフィックスプレーンに描画するよりも高速に処理することが可能になっており、PC-9801シリーズが日本で普及した一因ともいわれている。ただし、この実装では、画面に展開するフォントを本体に持っている必要があり、ROM、RAM等のメモリが高価な時代では、オプションであったり、JIS第1水準のみが実装されているケースもあり、その場合、本体に含まれないフォントについては正常に表示されないことになる。
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