TK-80BSとCOMPO BS/80
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 04:23 UTC 版)
「TK-80」の記事における「TK-80BSとCOMPO BS/80」の解説
上述の通りTK-80は本来μCOM80プロセッサを売り込むための「お試しキット」であるため、高級言語への対応などは、まったく想定されていなかった。しかしながらホビイストからの熱狂的アプローチで、専門誌でTK-80でBASICを動かす記事が掲載されるようになり、さらにはサードパーティからTK-80用と称した拡張機器が(NECとは関係無しに)販売されるようになると、NECも事態を静観できなくなり、ついにはメーカー公式のBASICキットを発売する運びとなった。 そのメーカー公式BASICキットは、広く一般に型番で「TK-80BS」と呼ばれ(なおメーカー内部の品名としては「μCOM Basic Station」という名称が一応はあったが、メーカー関係者の大多数も、販売店の人々も、ユーザーたちも「TK-80BS」としか呼んでおらず、雑誌記事でも通常「TK-80BS」となっていた)、内容としてはベーシック・ステーションボード、基板を接続するバックプレーン、キーボード等がセットになったものである。ベーシック・ステーションボードはTK-80と重ねて実装できる基板で拡張RAM、BASICインタープリタのROM、キーボードインターフェイス、キャラクタディスプレイ用V-RAM、カセットインターフェイスを装備していた。 BASIC ROMは初期は整数BASICであるLevel-1 BASICであったが、後に実数BASICであるLevel-2 BASICが標準となり、Level-1 BASIC購入者にはLevel-2のBASIC ROMが無償配布された。この際、Level-1 BASICのROMは回収されなかったので、配布対象ユーザーはROMを差し替えることでLevel-1 BASICとLevel-2 BASICの両方を利用することができた。 Lvel-1とLevel-2のBASICには互換性が無いから、Level-2のROMを装着するとLevel-1で作ったプログラムが実行できなくなってしまう。どうしても必要なときはプログラムを書き換えるかROMを差し替えるしかない。そこでスイッチで切り替える方法が考えられた。BASICが入っているROM (μPD2332) には2つのチップセレクト端子 (CS1,CS2) がある。CS2 がhigh (5V)、CS1 がlow (0V) のときこのROMがセレクトされる。基板のパターンの特徴を生かして表にLevel-2のROM、裏にLevel-1のROM (逆も可) を装着するとすべての対応する端子を追加配線無しに並列に接続することができる。そこでCS1だけを横に曲げ、残りの端子をすべて並列に接続する。CS1の端子から引き出した配線を切り替えスイッチに接続すればLevel-1とLevel-2を切り替えられるようになる。 その後、BASICマシンとして販売されたCOMPO BS/80は電源、カセットテープドライブを装備したケースにTK-80BSを収めた完成製品であるがこれにはTK-80基板は含まれていない。プロセッサユニットは、バックプレーンボード上に実装されていた。このプロセッサ基板には当然LEDディスプレイ、キーパッド、TK-80モニタープログラムなどは実装されておらず電源投入でBASICが起動するようになっていた。 完成品のCOMPO BS/80とは別にケース、電源は部品としても販売されていた。部品のケースを購入し、TK-80基板とベーシック・ステーションボードを重ねてバックプレーンで接続したユニットとキーボードを内部に装着すると完成品のCOMPO BS/80と同等のものにできた。この構成ではBASIC環境を起動するためにTK-80のキーパッドを操作する必要があるが、このケースはキーパッドの上部が開閉可能なフタになっており自由にTK-80基板を操作することができた(完成品のCOMPO BS/80も同じケースを使っていたので、このフタもあった。もちろん、開けても下の基板が見えるだけである)。 日本のホビーパソコンとしては珍しく、COMPO BS/80は電源スイッチがキースイッチであった。また、キーボード右側部分に内蔵可能な専用カセットデッキは、BASICからテープの早送りや巻き戻しをコントロールすることができた。 元々COMPO BS/80は「始めから完成されたTK-80BSが欲しい」というニーズに答えて、既製のTK-80BS相当品に電源とカバーを付けただけの即席品である(売れ残ったらケースを取っ払ってキットとして発売するつもりでいた)。この頃は既に別ラインでPCX-1(PC-8001のコードネーム)の開発が進められていた。
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