哨戒飛行艇とは? わかりやすく解説

哨戒飛行艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/07 17:34 UTC 版)

Be-12 (航空機)」の記事における「哨戒飛行艇」の解説

Be-12は、陸上機であるIl-38とともに前任機の大型哨戒飛行艇Be-6代替する目的開発され1960年初飛行行った。TANTKベリーエフではこれより以前大型飛行艇Be-10を飛行させていたが、これがリューリカ=サトゥールン製AL-7PB(АЛ-7ПБ)ターボジェットエンジン2 基を後退翼である主翼付け根下面搭載した画期的な機体であったのに対し一方Be-12開発ではよりオーソドックススタイルが採られていた。 Be-10とBe-12開発はともに1950年代行われたが、この時代はまだ技術確立せずさまざまな模索続けられていた困難な時代であった。そのため、初のジェット飛行艇であり先進的だが技術的には不安の大きいBe-10と、すでに成功収めているBe-6構造そのまま踏襲したようなBe-12とを平行して開発することは、二度手間ではあるが海軍からの要求スケジュールどおりにこなすためには必要な保険であると言えた。結局当時ソ連最大出力発揮できたがいまだ完成の域に達していなかったAL-7エンジン搭載したBe-10は芳しい結果得られず、その派生型Be-10Nも生産されずに終わった一方Be-12設計局が全精力をBe-10の開発注いでいたため開発が遅れ、1957年11月になってようやくはじめの模型関係者の間で公開された。その後機体の設計思いのほか手間取り1960年6月30日試作初号機完成し同年10月18日初飛行果たしたものの、試験その後ながらく続けられた。先人のひとつである日本の二式飛行艇でもそうであったように、大型飛行艇開発陸上機にはない離着水問題など多く困難な課題持っていた。それに加えBe-12では新し哨戒システム対応することが求められたため、新型電子機器類の開発平行して行われていた。 Be-12Be-6から特徴的なガル型翼受け継いでいたが、これはプロペラ海面からできる限り遠ざけるために有効な手段であると考えられた。尾翼は、機体安定性高めるために2枚垂直尾翼備えたエンジンには、最終的に従来レシプロエンジンにかえてイーフチェンコ=プログレース製の新しターボプロップエンジンAI-20D(АИ-20Д)が選定された。 試作2号機1962年9月完成したが、この機体初号機とは本質的に異な機体となっていた。この機体をもとに試験続けられ量産型Be-12完成された。 量産型Be-12には、PPS-12(ППС-12)自動捜索・追跡システム搭載された。このシステムには、イニツィアチーヴァ-2B(«Инициатива-2Б»:инициативаは「イニシアチヴ」のこと)または頭文字をとって単にI-2B(«И-2Б»)と呼ばれる無線ロケーター・システムや水中音響ブイ接続するSPARU-55(СПАРУ-55)航空ラジオ受信装置、ANP-1V-1(АНП-1В-1)自動ナヴィゲーション装置、PVU-S-1(ПВУ-С-1)またはスィレーニ-2M(スィリェーニ-2M;«Сирень-2М»:сиреньは「ライラックリラ」のこと)と呼ばれる追跡コンピューターオートパイロット装置AP-6Ye(АП-6Е)などが含まれた。 Be-12配備1965年の春から始められた。Be-12それまで試験行ってきたタガンローク置かれていたBe-6装備飛行隊配属され若干習熟期間ののち実動体制入ったその後黒海艦隊をはじめ多く航空隊へ配備進み最終的にすべてのBe-6置き換えたBe-12改良その後続けられ最新哨戒システム搭載していたため基本的にソ連国外へ輸出されなかった。これは、国土防空軍の迎撃戦闘機防空システム機密を守るため基本的に輸出されなかったのと同様のことである。例外ソ連直接要員派遣していたエジプトヴェトナムで、少数機がこれらの国で運用された。 Be-12は、初期にはIl-38Be-6Ka-25Mi-4PLMi-14などとともに、のちにはIl-38Tu-142、Ka-27PLなどとともにソ連沿岸哨戒任務就いたソ連の崩壊後も、Be-12独立したロシア多数運用された。予算不足により後継機配備遅れていることもあり、機体経年にも拘らず運用続けられている。また、ウクライナでもBe-12運用している。ウクライナ海軍航空隊所属しているBe-12は、1 機が2007年9月実施され大規模軍事演習「アルテーリヤ2007」(Артерія – 2007)に対潜攻撃機として参加している。この他モルドヴァ空軍Be-12保有していたとされるが、実際に運用はされなかったものと見られている。 なお、中華人民共和国ではBe-12日本のPS-1を参考水轟五型(SH-5)が開発されている。同機Be-12同様の対潜哨戒任務のほか、対艦攻撃救難輸送などに幅広く使用されている。

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哨戒飛行艇 (PS)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 01:36 UTC 版)

対潜哨戒機」の記事における「哨戒飛行艇 (PS)」の解説

長時間わたって洋上飛行するという任務性格上、特に初期には飛行艇投入されており、アメリカカタリナ日本二式飛行艇用いられた。しかし洋上使用するため、海水による塩害などにより、耐用命数及び経済性などの点で、陸上機よりも劣る難点もあった。 その後ソノブイ技術戦術未発達であった時点では、ヘリコプターよりも高速長距離進出できる飛行艇によって吊下式ソナー展開することに期待されたこともあった。しかしソノブイ技術戦術発達するとともに飛行艇による浅海面でのソナー捜索優位性失われていった1960年代中盤までに、西側諸国での哨戒飛行艇の運用はほぼ終了しており、上記のような吊下式ソナー運用想定した日本のPS-1も1989年までに運用終了した。また東側諸国では飛行艇開発継続されており、ソ連では1965年よりBe-12配備したが、こちらも陸上機によって代替されていった一方中国水轟五型SH-5)を開発し1984年より配備開始したが、これは2014年現在飛行艇対潜哨戒機として新規に配備され最後の例となっている。 カタリナ(PBY-5A) PS-1 Be-12

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