名詞の格変化 (declinatio)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 18:24 UTC 版)
「ラテン語の文法」の記事における「名詞の格変化 (declinatio)」の解説
ラテン語の名詞は、数 (numerus) ・格 (casus) によって語の形を変える。これをdeclinatioという。日本語では、格変化と呼ばれる。数には、単数 (singularis) と複数 (pluralis) がある。古典ギリシア語のような双数はない。格には、主格 (nominativus) 、呼格(vocativus) 、属格 (genitivus) 、与格 (dativus) 、対格(accusativus) 、奪格 (ablativus) 、地格 (locativus) の七つがあるが、呼格は大体において主格と同形であり、また、地格についてはこの格を持っている語自体が稀である。従って、通常の名詞については、五つの格を覚えればよいということになる。つまり、通常一つの名詞につき、2*5=10の形を覚える必要がある。 しかし、ラテン語では、格変化はおおよそ規則的であり、パターン化されている。大概、典型的なものについて十個の形を覚えておけば、他の名詞については、単数主格と単数属格の形が分かれば、他の形は類推できる。このため、辞書には単数主格と単数属格の形しか出ていない。単語を書く際には、この二つの形を並べて書く(こうすることで、名詞であることも明らかになる)。 なお、名詞には必ず性があり、これを覚えておかないと、形容詞を正しく変化させることができないから(数・格のみならず、性をも一致させる必要があるため。これを性数格の一致という)、これも覚える必要がある。性には、男性(masculinum)・女性(femininum)・中性(neutrum)がある。中性は、イタリア語やフランス語などでは消失してしまったが、ドイツ語には現在でもある。
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名詞の格変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 06:43 UTC 版)
名詞(主格語尾により4つの変化形を持つ)および代名詞(人および無生物に分かれる)は七つの格(主格、対格、生格、与格、向格、奪格、具格)を持つ。 第1型第2型第3型第4型アーヴ真珠紅玉操舵士主格abh lamh duc saidiac 対格abe lame dul saidél 生格bar lamr dur saidér 与格bari lami duri saidéri 向格baré lamé dugh saidégh 奪格abhar lamhar dusar saidiasar 具格bale lamhle dule saidéle 語末のc, e, 子音の後ろのrは発音されない。よって、第3,4型の主格語尾-c、第2型の生格語尾-rは発音されず、具格語尾のleの発音は[l]である。 また、『星界の紋章読本』(ISBN 415208359X)巻末のアーヴ語会話入門の文例では、発音の片仮名表記から、これらの語尾がアンシェヌマンすることが分かる。 それぞれの格は次のような意味を持つ。 意味形態語源主格主文の主語 -h, -c が 対格直接目的格 -e, -l を 生格(1)所有格、(2)関係節の主語 -r の 与格間接目的格 -i, -ri に 向格位置 -ré, -é, -gh へ 奪格(1)時間的出発点、(2)空間的出発点、(3)順序の起点 -har, -sar から 具格(1)手段、(2)道具、(3)コピュラ文の補語、(4)位置 -le で それぞれの格が持つ意味は起源となった現代日本語の格が持つ意味と大体において一致するが、いくつか注意すべき点がある。 現代日本語では関係節の主語を専らガ格で表すが、アーヴ語では(主格ではなく)生格を用いる。De samade sote loma far sori sa? (直訳:私のここに同席することをあなたが構わないか?) 現代日本語のニ格は間接目的語と位置の二つの意味を持つが、アーヴ語ではそれぞれ与格と向格によって表される。 また、向格はヘ格に起源を持つがアーヴ語ではその意味を失っており、<方向>は名詞sath(語源は「方(かた)」)を用いた"saté + (生格)"という統語的構造によって示される。ここでsatéはsathの向格である。 位置を表す格には向格と具格があるが、この使い分けはニ格とデ格の使い分けと一致すると考えてよい。 具格にはコピュラ文の補語を示す役割があるが、これは「AはBだ」という文がアーヴ語においては"A(主格) ane B(具格)"のように表現されるということである。日本語「AがBである」のような構造に現れるデ格の用法に起源を持つと考えられる。 条件例第1型語源がV1CV2(V1=V2)の構造をもつ名詞 abh(アーヴ)、 ath(アーヴ文字)、 azz(敵) 第2型語幹が子音でおわる名詞の大部分(第1型以外) éboth(微笑)、 ïomh(恋人)、 laimh(国民) 第3型語幹が母音もしくは半母音でおわる名詞の大部分(第4型以外) greuc(星)、 goc(時空)、 nuïc(耳) 第4型動詞語幹が語尾-iacによって派生した名詞 izomiac(挑戦者)、 rinusiac(記事)、 useriac(移民) 第1型に属する単語のうち、現代日本語において語源が「ん」で終わる名詞(lorann<とうさん, sarann<かあさん, aronn<あそん 等)は例外的に主格語尾-nを持つが、このような名詞も主格以外においては第1型と同じ格語尾をとるようである。
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