歴史と文法構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/25 07:21 UTC 版)
ドラヴィダ語を代表すると共に、外来の要素が最も少なくその古典的な形を維持しているのは、インド最南端とも言える場所に位置するタミル・ナードゥ州の公用語であるタミル語である。テルグ語は、ドラヴィダ語ではあっても、西暦1世紀頃に、南インドに勢力を確立したアーリヤ系のアーンドラ朝(サータヴァーハナ朝)の文化影響を大きく受けている。その文字ともあいまって、サンスクリット語からの語彙の借用や造語がきわめて多い。またヒンドゥスターニー語(ヒンディー語、ウルドゥー語)やペルシア語、アラビア語からの語の混入もある。 また北インドにイスラム諸王国が築かれると共に、逆に南におけるヒンドゥー文化の正統維持者の自負を持ち、カースト制を重視した。この結果、テルグ語の古典詩人たちは多く、サンスクリットでも作品を造ったため、テルグ語にはさらに多くのサンスクリット系の語彙が流入した。またこのようなヒンドゥー文化の重視のため、テルグ語話者自身にテルグ語伝統への求心性が薄く、多数の方言に分化して、20世紀になるまで共通語の試みも自然的な収束もなかった。20世紀になってようやく共通語化が進められたが、それでも方言分化があり、逆に後退しているようにも見える。英語や近隣のドラヴィダ語などを話者が併用するため、膨大な使用人口を持ちながら、消滅へと向かっている可能性があるとさえ指摘する者もいる。 テルグ語は、名詞の格変化を表現するのに、すべての名詞の単数形・複数形に適用される決まった接尾音節を加える。この接尾音節は日本語の「格助詞」に似ている。そのため、インド・ヨーロッパ語のような屈折言語というより、日本語や、アルタイ諸語の言語に似ており、膠着語に近い。複数形を厳密に区別しなければならない点を除くと、日本人には理解しやすく修得しやすい文法構造である。
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